ドジャース・大谷3安打も…新井宏昌氏が課題を指摘 【MLB】ドジャース 8ー4 パイレーツ(日本時間27日・ロサンゼルス) ドジャースの大谷翔平投手は26日(日本時間27日)、本拠地で行われたパイレーツ戦に「1番・DH」で出場。5打数3安打1打点と躍動し、チームは連敗を3で止めた。無安打だった前日から一転して長打3本の活躍。現役時代に通算2038安打を放ち、オリックスのコーチとしてイチロー氏を育てた野球評論家・新井宏昌氏は「バットはよく振れている」とする一方で「まだ右投手の速い直球を捉えられていない」と課題を挙げた。 1点を追う初回、大谷は先発右腕ケラーの2球目のスライダーを右中間にはじき返し二塁打。再び1点を追う5回1死ではチェンジアップを捉えて右翼線三塁打とし、いずれも同点のホームを踏んだ。7回には左腕ファーガソンの甘く入った直球を左中間に同点二塁打。3安打1打点2得点で逆転勝利に大きく貢献した。 それでも大谷に求めるものは大きい。新井氏は「最初の2本は変化球を捉えましたけど、右投手の直球は捉えてないし、直球にはタイミングが遅れていました。今年はまだ、中途半端なタイミングの打席が多い」と指摘。「速球に遅れ気味だと、打者は早めに振らなきゃと思う。強く打とうとして、体の回転が早くなっている。動きだしが早い分、変化球を引っかける場合がある」と説明した。 中堅から左方向へ強い打球を打つことを理想とする大谷の打撃の現状は「内角のボール気味の球に手を出したり、引っかけたりしている。左投手の逃げていく球を追いかけすぎたり、気負いや力みから、つい手が出ているように見えます。力強い打球を打ちたい気持ちからだと思います」。その傾向は真美子夫人の第1子出産による「父親リスト」入りする前から感じられたという。 今季はここまで25試合に出場し打率.277、6本塁打、9打点、6盗塁。まだシーズン序盤とはいえ、打点の少なさも気になるところである。この日の試合でも2回1死二、三塁で見逃し三振。8回無死一、三塁は直球を捉えたもののセカンドライナーに終わった。打点を稼げる絶好機で2度凡退。「外野フライでもいい打席で、状況に応じた打撃ができていない。アウトになっても凡打になっても打点は挙げられる場面で、それができていない。これが打点が少ない状況につながっている」と解説する。 長くしたバットの影響「まだ慣れ切っていない」 わずかに生じているタイミングのズレ。それはバットの長さにも一因があるという。大谷は今季、昨年の34インチ(約86.4センチ)から34.5インチ(約87.6センチ)〜35インチ(約88.9センチ)に伸ばしたと報じられている。バットが長くなれば、遠心力が増して飛距離アップが期待できる代わりに、操作の難易度が増す。新井氏は「バットはよく振れているし、扱うこと自体は問題ない。ただ、長くなった分、少し早めに動かないといけない中で、速い球に遅れたりファウルになったり、まだ慣れ切っていない」と指摘した。 大谷は2年前も34インチのバットを34.5インチに変更。当時は試行錯誤を繰り返し、最終的には34インチに戻して44本塁打を放って初の本塁打王のタイトルを獲得した。昨年は54本塁打、130打点で2冠を獲得。「さらに上を目指してバットを長くしている。2年前は34インチに戻したけど、今年は使い続けるのかどうかも見どころです」という新井氏は「慣れない中でも威力を発揮している。これから慣れてくれば本来の力を発揮できる」と期待する。 「父親リスト」から復帰後の5試合はノーアーチ。本領発揮のポイントは打球方向にある。「バックスクリーンに向かって強く振ってほしい。センター方向に強い打球を飛ばすのが彼の一番いい打撃。センターから左に強い打球がいきだせば、去年のような打撃になる」と強調する。長いバットの操作に慣れ、中堅への大飛球が増えてくれば、手が付けられない状態になる。万全ではなくても“猛打賞”の大谷が本来の調子になれば——。胸は高まる。(尾辻剛 / Go Otsuji)