「選択的夫婦別姓」が議論の俎上に載せられてから、およそ30年。多くの女性を悩ませてきたこの問題が、プリンセスの結婚の新たな障壁となっている。雅子さまが深く憂慮される、この国の現状を徹底レポート。 【写真】グレー調のセットアップとバッグを合わせ、パールのアクセサリーを身にまとう雅子さま。他、淡いブルーの着物姿の愛子さまや愛子さまと同じ淡いブルーの着物をお召しになる31年前の雅子さまなども うららかな春の日差しに包まれた東京・赤坂御用地内にある庭園・赤坂御苑。4月22日、春の園遊会が開催され、天皇皇后両陛下をはじめ、皇族方と約1500人の招待客が参列した。 「今回の園遊会では、62年ぶりに大きなルール変更が行われました。これまで、陛下を先頭に一列に並んで歓談されていたのが、3つのルートに分かれて歓談される形式に。雅子さまは時折身振りも交えながら、招待客とのやりとりを心から楽しんでおられるご様子でした」(宮内庁関係者) まぶしい笑顔を見せられた裏で、雅子さまはここ最近ご多忙を極められていた。 「4月7日に日帰りで硫黄島をご訪問し、11・12日には大阪・関西万博へ1泊2日でお出まし。さらに16日は『日本国際賞』の授賞式に出席され、その夜にはトンガ皇太子夫妻を御所に招いて夕食を共にされました。怒濤の日程をこなされた後はさすがにお疲れのご様子で、18日にご出席と目されていたバレエ鑑賞は陛下のみのご参加となり、雅子さまは姿を見せられませんでした。園遊会に万全の体調で臨むためのご判断だったのでしょう」(皇室記者) 激動の4月を過ごされた雅子さま。一方で国会では、愛娘・愛子さまの将来にかかわる重要な会合が行われた。17日、「安定的な皇位継承のあり方」を議論するため、衆参両院の議長・副議長と各党の代表者らによる会合が開かれたのだ。 「令和皇室は、皇族数の減少という大問題を抱えています。天皇陛下の次世代の皇族は、佳子さま、愛子さま、悠仁さまの3名のみ。さらに現在の皇室典範では、女性皇族は結婚後に皇室を離れることになります。このままでは、皇室の存在そのものが揺らぎかねない」(皇室ジャーナリスト) この危機的状況を受け、少しずつ協議が進められている。 「今回の会合では『女性皇族は結婚後、皇室に残るかどうか選択できる制度を設けるべき』という意見が相次ぎました。この点についてはすでに与野党各党の間でおおむね賛同が得られており、合意にいたるのはほぼ確実とみられています。なお、夫とその子供については、一般人の身分が保持される方針です」(政治部記者) 当事者である愛子さまご自身は、結婚後も皇室に残られることについて前向きにお考えだろう。 「大学卒業後、愛子さまが海外留学の道を選ばれなかったのは、皇族減少も含めた皇室の危機を深慮されたからこそ。成年皇族のひとりとして公務を担われ、両陛下をおそばで支えたいというお考えでしょう」(前出・宮内庁関係者) 整備されつつある愛子さまの将来の道。だが、どうしてもクリアしなければならない大きな課題がある。 「愛子さまの結婚後を具体的に想定すると“夫婦の名字のあり方”に関する難題が浮かび上がってくるのです」(前出・宮内庁関係者) 日本では現在、結婚すると夫か妻のどちらかの姓に統一しなければならないという「夫婦同姓」が法的に義務づけられている。 「愛子さまが結婚後、皇室に残られる場合、愛子さまを当主とする『宮家』が創設されます。現在、愛子さまは『敬宮』という『宮号』をお持ちですが、結婚されれば、陛下から新たな宮号が与えられると考えられます。宮号は称号ではあるものの、実質的には名字として機能しています。 仮に夫が愛子さまの名字を名乗るとなると、皇族でもない一般人の夫の名字が『○○宮』となり、現実的ではありません。一方、愛子さまが一般人の名字を名乗ることになれば、皇族という実態に適さない。現在検討されている方針では、『夫婦同姓』の原則にそぐわないのです」(前出・宮内庁関係者) 夫か妻か-─そのどちらかの名字を選択しなければならない現行の制度では、愛子さまは結婚もままならないという状況なのだ。 「解決策は『夫婦別姓』を採用することです。そうすれば愛子さまの皇族としてのお立場が揺れることはありませんし、将来の夫も仕事などに支障なく一般人としての日常生活を送ることができます」(前出・宮内庁関係者) 世論からあえて目を背けている 昨今、国政選挙でも重要な争点となっている「選択的夫婦別姓」。これは、夫婦が望む場合には、“結婚後もそれぞれが結婚前の姓を称することを認める”とする制度のことだ。 「使い慣れた名字を変更することは、日常生活や仕事のシーンにおいて多大な不便・不利益を伴います。女性の社会進出が当たり前になったいま、世論は夫婦別姓に対して前向きです」(別の政治部記者) 実際、今年2月に朝日新聞が行った世論調査によると、選択的夫婦別姓に賛成する人の割合は6割を超えている。にもかかわらず、政府は一向に答えを出すつもりはないようだ。 「自民党の保守派が強硬に反対しています。行政手続きでの混乱が予想され、伝統的な家族観が崩壊することを懸念しての主張ですが、世論からあえて目を背けて主張を押し通そうとしていると言わざるを得ない」(前出・別の政治部記者) この状況を最も憂えておられるのが雅子さまだろう。 「現在先進国で『夫婦同姓』を義務づけているのは日本だけで、国際社会の常識に照らしても異常な状況です。幼少から長く海外で暮らされ、国際的な感覚をお持ちの雅子さまは『夫婦別姓』への抵抗は少ないのではないでしょうか」(前出・皇室ジャーナリスト) 愛娘の結婚を妨げているとしたらなおさらだ。 「雅子さまは伝統が重視される皇室のあり方になじむことができず、体調を崩されたとされています。『夫婦同姓』に縛られ、愛子さまのご結婚への道筋が定まらず迷走しているこの現状に、心を痛めておられるのは間違いない。むしろ、愛子さまご夫妻が『夫婦別姓』でも幸せな家庭を築くことができると率先して国民に示され、新時代の家族観のロールモデルとなることを願われているのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者) 古い慣習に縛られ、愛子さまの将来が奪われることはあってはならない。 ※女性セブン2025年5月8・15日号