被災者支援の専門AI、政府が事業費42億円…幻覚を防ぐシステムも盛り込む

 政府は、被災者支援に特化した国産AI(人工知能)の開発に乗り出した。  地震や豪雨などの災害発生直後に収集した被災地の情報を基に、効果的な支援策を提案することを目指している。提案を参考に災害関連死の防止や生活の早期復旧につなげる。AIには誤情報が混入しないようにする機能も備える予定で、今年度中に基盤となる技術の完成を目指す。  文部科学省所管の国立研究開発法人・防災科学技術研究所が技術開発を担う。事業費は約42億円。  AIが収集する情報は、〈1〉気象観測情報や人工衛星が撮影した画像、ライフラインや建物の被害推計などの「公的な情報」〈2〉被災者の年齢や性別、介護などの要配慮事項といった「被災者情報」〈3〉発信元が明確なニュースのほか現地の情報や写真——など多岐にわたる。  災害直後は混乱のため情報は限定される。個人情報を匿名化した上で、生成AIを活用し、必要になる食料や毛布などの物資配給計画の策定、病気などで医療や福祉の対応が必要な住民の抽出、被災者の質問に自動応答するチャットボットの運用支援などを行うことが想定されている。  能登半島地震などの大災害時には、被災自治体の職員は安否不明者の確認や道路点検、被災家屋の調査などの業務に追われる実情がある。AI開発により行政の人手不足を補うことで、きめ細かな被災者支援を目指す。  生成AIには、事実に基づかない情報を事実のように回答する「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる問題も指摘されており、AIには「誤情報」を検出して取り込まないようにするシステムを盛り込む。  過去の災害ではSNS上に、救助を求める虚偽投稿や「被災現場」を装った画像や動画などが拡散される事例が相次いだ。  防災科研の臼田裕一郎・総合防災情報センター長は「自治体職員が人手をかけて被災地ニーズをまとめて支援を要望する従来の方法では、南海トラフ地震クラスの災害に対応できない。AIを含むデジタル技術を最大限活用し、被災者一人ひとりのニーズに応える仕組みを作る必要がある」と話している。

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