なぜ「ネコ耳」付いてる? カタチが“四角じゃなく丸い”の? 街中で見かけるタンクローリーの謎

強度と安定性のバランス!タンクローリーのタンクが楕円形の理由とは?  街を走るタンクローリーを見て、「なぜタンクは丸いのか」と疑問に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。  またタンクローリーのなかには尖った猫耳のようなものが付いていることがありますが、それにはどのような意味があるのでしょうか。 なぜタンクローリーは丸いのか?(画像はイメージ/フォトAC) 【画像】「えぇ!」これが「ネコ耳」です。画像を見る!(17枚)  一般的にトラックの荷室は四角い形状をしており、スペースを最大限活用するための設計になっています。  しかし、タンクローリーのタンクは潰れた円筒形のような形をしており、一見すると無駄な空間があるように見えます。  全長×全幅×全高を最大限に活用するなら、荷室は四角い方が効率的なはずです。  では、なぜタンクローリーのタンクはこのような形状になっているのでしょうか。  タンクローリーなどの特装車の製造を手がける極東開発工業の担当者は、次のように話します。 「容積では四角が最も積載量が多くなりますが、角部に力が集中します。  そのため、力を分散させることを考えると真円が理想的です。  しかし、今度はそうすると全高が高くなって、走行安定性が悪くなり、容積も確保できません。  結果、落としどころとして楕円に落ち着いたという形です」  タンクローリーは通常のトラックとは違い、ガソリンや水などの流動性が高い積荷を運搬する車両です。  また、タンクローリーは積載重量が大きくなる傾向があります。  さらに、ガソリンなどを運搬する場合は内部の液体が動き、荷重の変化によって重心が傾くおそれも。  そのため、少しでも重心を安定させるため、全高を抑えた楕円形が採用されているというわけです。  一方で、全てのタンクローリーが楕円形というわけではありません。  タンクローリーでは液化した高圧ガスなども運搬し、その車両では断面が真円形のタンクを採用しています。  高圧ガスタンクは、タンクローリーとは異なり、内部の圧力が極めて高くなるため、最も均等に圧力を分散できる円柱形の形状が求められます。  ガスは液体と違ってタンク全体に充満しており、走行中にタンク内で大きく動くことがないため、走行安定性の懸念が少なくなります。  強度を最優先して設計された結果、円柱形の形状が採用されているのです。 タンクローリーの内部(画像提供:極東開発工業株式会社) ※ ※ ※  ちなみに、危険物を取り扱うことの多いタンクローリーには、安全性を担保するため、他にも形状の面で工夫が施されています。    それは、「側面枠」と呼ばれる部品で、タンクローリーを前後から見た時にまるで猫耳のように見えるパーツのことです。  タンクローリーはタンクの形状から、横転した際にさらに転がって転覆してしまいやすいという性質があります。  万一車両が横転事故を起こした際に、上部の注入口から内容物が漏れ出してしまった場合、内容物の種類によっては大事故に繋がる危険性があります。  側面枠は車両の転覆によるさらなる転がりやそれに伴う内容物の漏れ出しやを抑えることが目的で、各車両に設置することが義務付けられています。  街でタンクローリーを見かけた際には、その形状に込められた技術的な工夫や安全性への配慮を思い浮かべてみると、新たな視点でクルマを楽しめるかもしれません。

もっと
Recommendations

スポーティすぎる新型「クロスオーバーSUV」!? ビッグ&ヘビーだけど走行性能は「スポーツカー」並み! BYD「シーライオン7」の実力とは【試乗記】

海洋生物から着想を得たデザイン・フィロソフィーのもと開発

【詳細データテスト】レンジローバー BEVの成功を予感させるPHEV 物理スイッチ類は減らしすぎ

はじめに歴代レンジローバーの中でも、現行のL460は革新的な世代のひ…

マツダの「超美麗“スポーティ”モデル」公開! ワイド&ローな「スタイリッシュボディ」&超高効率エンジン「X」採用! マツダ カイコンセプト登場

マツダブースでは「マツダ魁CONCEPT」が実車展示された

トヨタの「小さな高級車」がスゴい! 「センチュリー級」クオリティ×全長4.5mの「ちょうどイイサイズ」! 直6+FRも魅力的な「プログレ」とは

「小さな高級車」の挑戦と現在1990年代後半の日本の自動車市場は、…

2025年版 自動車専門誌が選ぶ、最高のステーションワゴン 10選 必要なものをすべて揃えたクルマ

今こそ改めて注目したい万能ワゴン多用途性、使い勝手の良さ、デザイ…

高速道路で見る「謎のコーヒーカップ」の正体は!? 「フォーク&ナイフ」とは意味が違う!? 知っていれば超便利!? 驚きの「違い」とは

実際どうなのか高速道路を走っていると、ときどき「コーヒーカップ…

快適に「車中泊」出来た? トヨタ新型「クラウンエステート」自慢の空間を体感! 拡張ボードの使い勝手は? 熟睡出来た?

トヨタ新型「クラウンエステート」で車中泊!快適に過ごせた?コロ…

スバルの提案「スバル360“復刻版”」に反響殺到!「これ絶対に売れる!」「ちゃんと360の雰囲気ある」と絶賛の声! デザインは「旧車」でも中身は“先進的”な軽自動車「エルテン」コンセプトとは!

軽自動車「スバル360」をモチーフとするリメイク版ともいえるモデル

ボルボ、ベストセラーEV『EX30』の欧州での生産開始 需要に対応

EX30の欧州生産を開始ボルボは4月25日、ベルギーのゲント工場で人気の…

トヨタ新「C-HR」に反響多数! 「赤いTOYOTAエンブレム」採用の「コンパクトSUV」! 新たな「ラウンジヒーロ」に「欲しい」の声も! 専用内外装の伊国モデルが話題に

ラウンジヒーロー登場!トヨタのイタリア法人は、2025年2月19日、コ…

loading...