「24時間無料で利用出来るのサイコー」だが… 「道の駅」の車中泊トラブル、なぜ後を絶たない? ゴミ&トイレ問題も 何に気をつけるべきか

 GW中にロングドライブに出かける人も多いと思いますが、ドライバーにとって非常に助かる存在なのが「道の駅」です。    道の駅は国土交通省が管轄する一般道路上の休憩施設で、全国に1221か所(2024年4月時点)にあります。    道の駅は「24時間、無料で利用できる駐車場・トイレ」を謳っており、週末や大型連休になるとたくさんの来場者が訪れます。    ほとんどのドライバーは、トイレ休憩や買い物といった使い方で、滞在時間が短いのですが、クルマで旅をする途中で使う人も。    その使い方で問題となっているのが、以前から取り沙汰されている「車中泊」についてです。    では、車中泊をする人はどんなトラブルを起こしているのでしょうか。 「道の駅」での車中泊トラブルはなぜ絶えないのか(画像はイメージ/フォトAC)  全国の道の駅をピックアップしてリサーチを行ったところ、一番多かったのが「ゴミの放置」。 【画像】「えっ!」 24時間無料でも「22時以降消灯!」の道の駅はこれです(18枚)  旅の過程で溜まっていくゴミを、道の駅に捨てていくというものです。  そのなかには駐車スペースにそのまま置いていくという悪質な例もあるようですが、とにかく道の駅側として困るのは、処理コストと人手不足なんだとか。  多くの道の駅は地元自治体が運営していることが多く、ゴミなどの処理代は住民の税金が使われることになります。  また道の駅のスタッフは物販や情報発信をメインに行っているため、ゴミ処理などに手を取られると施設運営自体に多大な影響が及ぶようです。 「ごみ問題」だけではない…? 苦情が多い「問題」とは  他の利用者からの苦情が多いのは、「トイレ問題」。  車中泊をする人はトイレで洗顔をする人が多いとのことで、これが要因で手洗いスペースが汚れることがトラブルになっているのだとか。酷いケースでは、トイレで洗髪をする人もいるようです。  さらに車中泊ドライバーは、長時間にわたって駐車スペースを占有するケースが多く、これによって利用(駐車)できないという苦情が寄せられるといいます。  同じ駐車スペースに連泊する猛者がいるようで、さらに屋根のある障害者用スペースに駐めてしまうという事例も珍しくないようです。 道の駅では「ごみ問題」以外の苦情も…(画像はイメージ/フォトAC)  道の駅や高速道路上の休憩施設で、必ずといって持ち上がるのが「何時間以内の駐車なら車中泊にならないのか?」ということ。  しかし、その定義を施設側が決めるのは現実的に難しいようです。  ある道の駅の運営スタッフは、次のように話してくれました。 「利用する人の身体のコンディションもありますし、どれだけ休めば安全運転できるのかというのは人によってまちまち。  休憩という言葉の中には仮眠も入るので、それを何時間以内とはなかなか言いづらいところです。  仮に連泊している人がいたとしても、理屈で反論されたらこちらは何も言えません」 ※ ※ ※  道の駅の中には「車中泊禁止」を大きな看板で告知している施設もあるようです。  しかし、そこでも利用者から“休憩だ”と言われてしまうと、「結果的には容認せざるを得ない」と語る施設関係者もいました。 ナンバーを申告すれば「車中泊OK」の道の駅も  一方で、道の駅で車中泊することを容認しているところもあります。 「道の駅おとふけ」は、自車のナンバーを施設側に知らせることで、駐車場での車中泊を認めています。  なぜナンバーを記録するのでしょうか。運営スタッフは理由をこのように語ります。 「施設内でトラブル、ルール違反があった時のためにお聞きしています。他の利用者さんから苦情が出た時に対処するための対策です」  この対策によって、果たしてトラブル減少に効果は出ているのでしょうか。 「やはりゴミを捨てる人はスタッフがいない夜間に多いので、なかなか決定打になっていない気はします」 「道の駅おとふけ」は、自車のナンバーを施設側に知らせることで、駐車場での車中泊を認めている(画像:フォトAC)  国からの支援を受けて造っている施設という性格上、閉鎖などの強硬な手段に出られない実情が運営側にあるといいます。  一方で、広島県内にある「道の駅・西条のん太の酒蔵」では、ドリフト族やバイク族の騒音発生に対策するため、22時以降は全消灯するという対策を講じました。  24時間開放という施設の特質を考えると、異例の方法と言えるでしょう。 道の駅の悩みは「車中泊」だけではない? 悩ましい問題とは  これから夏に向かって、多くの旅行者が訪れる北海道。  この地は道の駅が充実していることで知られていますが、やはりゴミ捨てや騒音といったトラブルは多いようです。  しかし、それに対する反応は施設によって温度差があるのだとか。北海道道の駅連絡会に聞いてみました。 「連絡会に直接報告があるわけではないのですが、たしかに車中泊トラブルはあるようです。  しかし、どの施設も車中泊お断りかといえば、そうではないというのが実情です。  海沿いなどクルマの通りが少ない施設では、“車中泊トラブルよりも、まずモノが売れないことが問題”だと言います。  道内の施設の中には、有料車中泊スペースを作って車中泊する人を積極的に誘致している施設もありますね」  地域住民によって運営される施設ゆえに、やはり経済効果が優先されるということのようです。  しかし、この施設による対応の違いが利用者の中に誤解や勘違いを生じさせるということもあるのかもしれません。 地域住民によって運営される施設ゆえに、やはり経済効果が優先されることも  ただ、連絡会のスタッフはこのようにも語ります。 「あるジャーナリストさんが車中泊トラブルについて述べられていたのですが、利用者の利用意識が問題の根というのはやはりあるかもしれません。  道の駅で車中泊をする人の一番の目的は、“無料”だというわけです。  宿泊代が浮きますし、RVパークやキャンプ場と違って利用料もかかりません。  ですが、無料であることが利用時の気軽さだけでなく、ゴミ捨てや長時間駐車をしてもいいという意識に繋がっている部分もあるかもしれません」 「道の駅」での車中泊、利用者はどう思っているのか?  では、利用者はどのように感じているのでしょうか。  関東のある道の駅で、車中泊をしていたドライバーに話を聞きました。 「夜遅く来て早朝には出発するので、車中泊というより仮眠していると思っていますね。  駐車スペースにキャンプ用品を出したり、火気を使ったりしていないので、マナー違反ではないと思います。  トイレで洗顔をすることについても、洗面台を汚しているわけではないので、特に問題ないと思っています」 トラブルを防ぐには「お互いが気持ち良く使えるように」という意識を持つことが大事  筆者も車中泊派ですが、倫理に反する行為はせずに車中で睡眠を取るだけなら問題がないのではと思っています。  ですが、一般の利用者から見ると寝ていること自体が反社会的で、不快だと感じるのかもしれません。  多くの車中泊派は道の駅を利用する時に、「不必要に駐車スペースを使わない」「キャンプ行為をしない」「騒音を出さない」という基本的なことを守っているようです。  しかし、車中泊装備のないクルマで来ているドライバーの中には、マナーを知らずに迷惑行為をしている人も見かけます。  不特定多数の人が利用する公共施設という点を考えれば、マナーや利用規約を徹底することは難しく、今後もトラブルは続くのかもしれません。 「お互いが気持ち良く使えるように」という意識を持つことしか、解決方法はなさそうです。

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