中国への返還が決まった4頭のパンダ。 【画像】「水や空気のような存在」観光の町で“パンダ・ロス” 国内から“消える”可能性も? お別れの発表から一夜明け、アドベンチャーワールドには、多くの人が詰めかけました。 帰国は6月ですが、出発の約1カ月前からは隔離検疫のため、ガラス越しにしか会えなくなります。ゴールデンウイークが最後のチャンスになりそうです。 大阪からの来場者 「1人で運転してきました。(Q.なぜ来たんですか)楓浜を見たいからです。彼女たちは、まだ知らないし、胸がぎゅっとなります」 新鮮な枝葉しか食べないパンダたち。 20年前から、大阪・岸和田市と連携し、里山を侵食する竹をパンダの食事に活用しています。週に2回、100キロ以上の距離を運んできました。岸和田市も残念がっています。 中国との保護共同プロジェクトが始まったのは30年前。パンダたちが暮らしやすい環境を研究してきました。 東京からの来場者 「白浜は、繁殖の研究が進んでいるので、止めてほしくない」 1歳でやってきた永明は、この地で16頭の子どもを設けます。一般的なオスの繁殖年齢が20歳までと言われるなか、世界で初めて28歳で飼育下での自然繁殖に成功しています。今年1月、中国で生涯を終えました。32年の大往生でした。 白浜町では、至るところにパンダが顔を出します。 駅前の土産物店は、売り上げの半分がパンダです 土産物店店長 「本当にいなくなるのかなと半信半疑。いなくなることを考えたことがないので。物心ついたときからパンダいましたので」 観光客は。 岐阜県からの観光客 「(Q.パンダがいなくなったら)来る回数は減りそう」 足元の経済をよく知るタクシー運転手は。 タクシー運転手 「私らも、だいぶ売り上げが減るだろうし、大変ですよ。とにかく白と黒が来てほしい、他の色はあかん。白浜全体がつらいんちゃう。食費、生活費、お酒もやめなくちゃいけないかもしれない」 町長は、24日の報道で知ったといいます。 白浜町 大江康弘町長 「我々にとって、パンダというのは、水や空気のような存在で、あって当たり前。4頭、帰ることも実感として受け止められないのが、2万人の町民の思い。“ポストパンダ”、観光政策の転換をしなければいけない。パンダたちに大きな宿題を与えてもらった」 いま、日本にいるパンダは全部で6頭です。 6月末に中国に帰る予定のアドベンチャーワールドに4頭。そして東京・上野動物園にはジャイアントパンダの双子、シャオシャオとレイレイの2頭がいます。だだし、この上野の2頭も、来年2月20日に返還期限を迎えるということで、日本からパンダがいなくなってしまいます。 当初、“パンダ外交”の証として、中国から日本に贈られましたが、現在は、繁殖研究の目的で、パンダが日本に貸与されています。 上野動物園のパンダの返還期限は、なぜ来年2月なのか。 管轄する東京都によりますと、3歳の双子の返還期限は、“親に準ずる”といいます。 双子の両親であるリーリーとシンシンが来日したのが2011年。このとき結んだ協定で『期間は10年』でした。本来なら2021年が期限でしたが、中国側が「繁殖がうまくいっている」との理由で、5年間、延長してくれたといいます。 リーリーとシンシンは、高齢になる前に故郷に返したいとの理由で、期限を待たず去年9月に帰国しました。 あくまでも、日本にいる期間の決定権は中国にあるということです。 東京都は、今後も引き続きプロジェクトを継続したいそうですが、「中国次第なのでどうなるかはわからない」としています。また、6月に4頭、帰ってしまうアドベンチャーワールドも事業継続を希望しています。 中国のパンダ外交について、アメリカのシンクタンクは「長期的に良好関係が持続できているわけではないが、短期的な関係に効果はある。外交イベントや、対中貿易の規模で送り先を決めている。習政権発足以来、再び活発化した」と分析しています。