中国への返還が発表された和歌山県のジャイアントパンダ。別れを惜しむファンが集まりました。上野動物園の双子パンダの返還も来年の2月に期限が迫る中、日本からパンダがいなくなる可能性も出ています。 ◇ 和歌山県といえば…。 記者 「ゆっくりとまずはご飯でしょうか」 なんといっても、パンダ。 ただ、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドでは4頭のパンダを飼育していますが、6月末ごろ、すべてを中国に返還すると発表しました。 来場者の中には、涙をぬぐいながらパンダを見つめる女性も。 「帰らないでほしい。ここで生まれたんですよ。中国の広い山でひとりぼっちはかわいそうすぎる」 新たなパンダが来る予定はまだないといいますが、施設側は、中国側との協議を続けていくということです。 アドベンチャーワールド 今津孝二園長 「この30年で培って得た経験なり知識がありますので、継続できるように強く私たちも願っております」 ◇ パンダが姿を消すかもしれない場所は他にも。 記者 「パンダのポストがあって写真を撮る方もいます」 多くの人に愛されてきた、双子のパンダが見られる上野動物園。ある女性は… 記者 「パンダのグッズいっぱいですね、かわいい」 60代 「パンダ見に来る時いろいろ持ってきます」 撮影したパンダの動画も見せてくれました。 60代 「かわいいんですよ、おいしそうに食べるので。タケノコおいしそうに食べていました」 しかし、そのパンダが…。 60代 「日本では会えなくなるので最後に会っておきたい」 双子のパンダ、シャオシャオ(オス・3歳)とレイレイ(メス・3歳)。2頭の中国への返還期限が来年2月に、迫っているのです。 その事実を知り、双子に会いにきているという女性は。 双子パンダファン 「いや…ちょっともう…。上野で生まれてからずっと見守っているので、たくさん思い出ありがとうって感じですね。赤ちゃんの時からいるじゃないですか。生まれた時も双子で感動だったし、2人で授乳する姿も見てきているので、生活の一部みたいな」 双子の親になったような気持ちで、週に3回ほどは動物園へ。心の支えになっているといいます。 約10か月後には、上野でパンダの姿が見られなくなるかもしれない…。そんな思いに駆られてやってきた人は多く…。 60代 「みんなの心をわしづかみにして帰っていくと思うと切ないですよね」 ──わしづかみにされてます? 60代 「わしづかみです。あとは成田から“元気でね”って泣きながら送るだけです」 14年もの間、ほぼ毎日、上野動物園に通い続け、写真を撮り続けた男性は… 14年間通い撮影 高氏さん 「6、7千枚は(きょうだけで)撮ってると思う」 ──どういうことですか? 6、7千枚!? 双子が大人になっていく成長の日々を撮り続けた男性。この日のベストショットは…。 14年間通い撮影 高氏さん 「こんな感じのタケノコ手にして“おいしー!”って。シャオシャオ、レイレイは自分の子ども同然の存在で大切な大切な宝物です」 ◇ 嘆きの声は、近くの商店街からも。様々なパンダ商品を展開するアメ横では… パンダ専任大使 二木忠男さん 「パンダは重要なポイントなんです。看板役者だから」 こう話すのは上野のパンダ誘致に尽力した二木さん。これまでも、赤ちゃんが生まれるたびに、セールをするなど盛り上がりを見せてきた商店街。 パンダ専任大使 二木忠男さん 「パンダの経済波及効果って大きいですから、話題性がなくなりますよね。上野は(パンダ)絶対不可欠」 返還期限まで10か月ほどある中で、東京都は「パンダの繁殖に向けた日中共同プロジェクトの継続や、次のパンダに向けた話し合いを希望している」ということです。 相次いで日本から姿を消すパンダ。 中国は“外交の手段”として日本をはじめ世界の動物園にパンダを貸し出す「パンダ外交」をしてきましたが、今回、中国側の狙いはどこにあるのでしょうか? NNN中国総局長・柳沢高志記者 「今の微妙な日中関係を反映しているとも言える。中国がアメリカのトランプ政権と“貿易戦争”を繰り広げている中で、“日米”で中国に対立するような事態にならないか中国は警戒している。(今回も)『アメリカと組むな』という中国のメッセージとも読める。日本をけん制する有効な手段としてパンダを利用しているとも言える」 パンダの愛くるしい姿はこの先も見られるのでしょうか。