レクサス新型「ES」世界初公開! 最速で「徹底解説!」 開発キーマン2人に直撃! デザイン・パワトレ、そして走り… 次世代セダンの開発秘話とは

レクサス新型「ES」世界初公開! 世界最速でチーフエンジニア&チーフデザイナーにインタビュー!  1989年にレクサスブランドの立ち上げ以降、一度も途切れることなく続くモデルはLSとESです。    特にESは80以上の国と地域で販売してきた基幹モデルです。しかし、直近はRX/NXなどのSUV系モデルの人気に押され気味だったのも事実。    そんな中、上海モーターショー2025で世界初公開されたのが、8代目となる新型です。    開発コンセプトはズバリ「セダンの復権」ですが、どのような思いで開発が進められたのでしょうか。 レクサス「ES」世界初公開! 最速でインタビュー!(撮影:山本シンヤ)  すでに様々なメディアを通じて第一報が報告されていますが、ここではチーフエンジニアの千足浩平氏とチーフデザイナーの熊井弥彦氏にお話しを聞きました。 【実車画像】超カッコいい! これがレクサス「新型ES」です! 画像で見る(30枚以上) —— ESはレクサスのビジネスを差支える重要なモデルですが、直近ではRX/NXをはじめとするSUV系モデルがトレンドとなっています。セダンをやめるメーカーもある中、ESはセダンと言いながらも、大きくコンセプトを変えてきました。その辺りの経緯は?  千足:私は入社以来ずっとレクサスを担当、中でもGS/LSとセダンの開発を主に行なってきました。  セダンの魅力は構造や慣性諸元など工学的に合理性のメリットがある一方で、視点の低さや乗り降りのし辛さと言ったデメリットもあります。  そこで今回はセダンの良さをしっかりと維持しながら、これまでのセダンにはない魅力……目線の高さや開放感が味わえるクルマを目指しました。 —— これまでESのメインマーケットはアメリカでしたが、直近は中国だと聞きました。今回、上海モーターショーで世界初公開されましたが、中国市場をかなり意識しているのでしょうか?  千足:YESかNOかと言ったらYESですが、「中国に寄せた」と言うわけではありません。  皆さんもご存じ通り、中国メーカーの「挑戦する姿勢」や「スピード感」は学ぶ部分がたくさんあります。  そういう意味では、それらをキャッチアップしていち早くチャレンジするための「実験の場」、「鍛える場」と言う意味で強く意識したと言うイメージです。 —— エクステリアはオーソドックスなセダンと言うより4ドアクーペ的なフォルムが特徴になっています。デザインは従来モデルを踏襲しつつも、JMSでお披露目された次世代BEVのコンセプトカー「LF-ZC」のイメージが色濃く盛り込まれています。  熊井:デザイン的には大きく変えていますが、「ESらしさ」はかなり意識しました。  見比べると似ていないようで似ていると感じていただけると思います。  個人的には先代は日本にいた時の大谷翔平、新型はアメリカに行ってからの大谷翔平のようなイメージですね。 チーフエンジニアの千足浩平氏とチーフデザイナーの熊井弥彦氏にインタビュー!(撮影:山本シンヤ/上海モーターショー2025) —— ちなみに全高は1550mmと先代よりも100mmアップ。この条件でセダンらしさを表現するのは大変だったと思いますが?  熊井:パッケージが大事だと言っても、まずはカッコ良くなければダメです。  私自身、過去に苦い経験(中国向けクラウンや5代目ビスタ)をしていましたので、「あの全高でエレガントかつ伸びやかなプロポーションを実現するためには、全長も全幅も上げる必要がある」と。  この辺りは黄金比ではありませんがバランスが大事ですのでミリ単位で調整を行なっています。 —— その結果、ボディサイズは従来モデルからアップ、現行LSに近いです。  千足:これは日本市場で色々言われる事も覚悟した上での判断です。  全幅1900mm超えは最後まで悩みましたが、当時レクサスのプレジデントだった佐藤が背中を押してくれました。  ただ、DRS(=後輪操舵)の採用により取り回し性能は従来モデルより高めています。 いままでのレクサスとは違う? インテリアの挑戦とは —— インテリアは決して派手さやインパクトはありませんが、レクサスの本質である「精緻」、「仕立ての良さ」がより表現されているように感じました。  千足:せっかく視界が広く開放感ある室内空間をつくりましたので、それをより引き立てられるようなデザインをお願いしました。  熊井:中国はインパクト重視ですが、我々は「どうすればレクサスになるのか?」を強く意識した結果、シンプルモダンの考えを随所に盛り込んでいます。  その結果、どこの席に座ってもベストポジションで快適な時間を過ごせる室内空間が実現できたと思っています。 新たにステアリングとインパネ部に採用した「レスポンシブヒドゥンスイッチ」(撮影:山本シンヤ/上海モーターショー2025) —— 最近は多くのメーカーがタッチパネルから物理スイッチへの回帰が進んでいますが、その辺りに関しては?  熊井:シンプルモダンはスイッチが無いほうが表現しやすいですが、やはりいざと言う時にスイッチをパッと触れない/探せないのはクルマとしてNGです。  要するに、普段は必要なないけど、必要な時に出てくるスイッチが理想と言うわけです。  千足:デザインと機能を両立させるために新たにステアリングとインパネ部に採用した「レスポンシブヒドゥンスイッチ」です。  これは一見静電タッチパネルのように見えますが、押すとクリック感があるので押し間違えはありません。  更に機能アイコンは普段は消灯していますが、手をかざすと点灯する演出を盛り込んでいます。 —— レクサスのインパネ周りは時代によって様々なアイデアが採用されてきましたが、「これぞ!」と言う決定打に欠けていたのも事実です。ただ、新型ESを見て明確な方向性が見えてきたような気がしました。居住性に関してはどうでしょうか?  千足:FFレイアウトに加えてホイールベースは2950mmですので、後席の足元空間は現行LSを超える広さを実現しています。 新型ESは、HEVとBEVの2本立て、具体的な進化は? 豊田会長もお墨付き!? —— パワートレインはBEVとHEVの二本立て。この辺りはマルチパスウェイの考えに則ったモノだと理解していますが、今までと違う部分はありますか?  千足:BEVとHEVのラインアップと言う意味ではUXもそうですが、新型ESはBEVファーストで開発を行なっていることですね。  トップモデルとなるES500eは前後2モーターのAWD(DIRECT4)で、システム出力は342.6ps。0−100km/h加速は5.9秒とスポーツセダン並みのポテンシャルです。 —— HEVは2Lが中国専用と聞きましたが、2.5LはES300h(システム出力:201.2ps)とES350h(システム出力247.4ps)と2タイプあるのはなぜですか?  千足:ハード自体は変わらないのですが、排ガス対応の差ですね。ちなみにES300hはユーロ7対応になっています。 —— フットワークに関してはどうでしょう?  千足:形式上はGA-Kですが、電動化を見据えて大きく手を入れました。  正直に言ってしまうとほぼ新設計です(笑)。  サスペンションはフロント:ストラット、リアはES初となるマルチリンクを採用しています。 —— 直近のレクサスは素性を鍛えることに一生懸命ですが、当然新型ESも?  千足:レクサスはモデル横断で「味磨き」に取り組んでいますが、このモデルはそこで得た知見の中で、フロント前端/フロア/リア後端の剛性にこだわった構造を採用しました。 —— 走りのポテンシャルは相当高そうな感じがしますが、走りの方向性は?   千足:それは「エレガント」ですね。運動性能の限界値は常に高める。  それがレクサスのどのクルマも同じですが、新型ESは性能の限界を全て使い切るのではなく、「ゆとり」と「余裕」に使おうと考えました。  もちろん社内では「もっとスポーティでもいいのでは?」と言う意見もありましたが、そこはブラさないように徹底しました。  また、BEVとHEVではパワートレインやバッテリーを含めて様々な諸元が異なりますが、どのモデルに乗っても同じ走り味/乗り味になるようにセットアップをしています。 マスタードライバー(豊田章男氏)も評価!? 日本でのデビューが待ち遠しい(撮影:山本シンヤ/上海モーターショー2025) —— マスタードライバー(豊田章男氏)もその辺りはチェックされていますよね?  千足:ダートではなく舗装路でしたが、「電動車だけどちゃんとレクサスになっている」、「他の電動車とは“格”が違う」と評価いただき、我々の狙い、目指した方向が間違っていなかった事を確信しました。 —— 新型ESは日本にも導入される予定ですが、日本のユーザーの中にも「SUVは飽きたけど、いいセダンがない」と思っている人はいると思います。そんな人に一言。  千足:SUVに移られてしまったユーザーにも「やっぱりセダンっていいよね」と思っていただけるクルマに仕上がったと自負しておりますので、是非ともご期待ください。

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