故・森永卓郎さんが若い人に「夢を持つな」と伝えてきたワケ…「やりたいことを全部やる人生」を生きるコツ

「夢を持つな。持つべきものはタスク(課題)である」。今年1月28日に逝去した経済アナリストの森永卓郎氏が、学生たちにいつも伝えていた言葉だ。このことを心がけていると、「生きがいのために生きる」人生に近づくことができるという。森永氏のラストメッセージとなった新刊『やりたいことは全部やりなさい』より一部抜粋し、お金に縛られない、豊かで幸せに満ちた人生を送るコツを学ぶ。 お金を稼ぐことが人生の目的なのか? 「生きがいだけのために生きる」——この言葉に戸惑う人は、私が思っている以上に多いかもしれません。 実際、「生きがいのために生きる」と言われても、自分にとって何が生きがいなのかわからない、つまり「自分が本当にやりたいことが何なのかが見つからない」と感じる人が、驚くほど多いのです。 では、なぜ多くの人が「やりたいこと」を見つけられないのでしょうか。そこには、私たちが無意識のうちに刷り込まれてきた、「お金を稼がなくては生きられない」という思い込みが深く関係しているのではないかと私は考えています。 資本主義社会は、たしかに利便性を高め、経済的な発展をもたらしてきました。しかし、その一方で、人々の価値観を「お金を得ることが人生の目的である」という方向に傾けてしまいました。 その結果、多くの人が「自分が本当に何をしたいのか」よりも、「何をしたらお金になるのか」を基準として生きるようになってしまったのです。 よく考えてみると、これはとても悲しいことです。本来なら、「自分がやりたいかどうか」で選ぶべきことが、「それで生活できるかどうか」「どれくらい儲かるか」という判断基準によって左右されてしまう。 これでは、まさにお金に依存し、人生の主導権をお金に渡してしまっているのと同じことです。果たして、そんな生き方で本当に幸せになれるのでしょうか。 持つべきものは夢よりも「タスク」 私は違うと思います。 人の幸せは、自分が本当にやりたいことをしているときにこそ感じられるものです。 もちろん、生活するためにお金を稼ぐことは必要です。しかし、お金を稼ぐことだけを人生の目的にするのと、「お金とは別に、自分が心からやりたいことを見つけ、それに取り組む時間を確保する」のとでは、人生の満足度は大きく違ってくるはずです。 私は大学で教えるようになって20年以上がたちますが、学生たちにいつも伝えていることがあります。それは、「夢を持つな。持つべきものはタスク(課題)である」ということです。 夢とは、「いつかかなえられたらいいな」と思うものです。そして、「いつか」は「永遠に起こらない」に等しい。つまり、「いつかできたらいいな」と思っていることは、「永遠に実現しない」こととほぼ同義なのです。 しかし、それを「タスク」として捉えると、話は大きく変わります。タスクとは、「取り組むべき課題」のこと。夢とは違い、タスクになった瞬間、それを実行するために何かしらの行動を起こさざるを得なくなるのです。 たとえば、私が童話作家としてデビューできたのも、それを夢ではなくタスクにしたからです。「童話作家になる」というのを、単なる夢ではなく「取り組むべき課題」と考えたので、実際に童話を執筆し、それを何度も出版社に持ち込むことができました。 つまり、「夢を持つな。タスクを持て」とは、「かなえたい未来像をただ夢見ているだけでは、永遠に実現しない。しかし、それをタスクとして設定すれば、現実的な行動を起こすことができる」ということなのです。 お金よりも大切なたった一つのこと では、やりたいことを見つけるには、どうすればいいのか。そのために必要なのは、「まずやってみること」です。 これまで「お金を稼ぐこと」を第一に考えてきた人にとって、これはいわば「マインドのリハビリ」といえるかもしれません。 「これで食べていけるかどうか」という考えはいったん脇に置き、とにかく興味を持ったことに挑戦してみる。さまざまな分野のことを試してみる。やってみて楽しかったら続ける。楽しくなかったら、さっさとやめて次に行く。 それだけの話です。お金を稼ぐためではないのですから、続けることに固執する必要はないのです。 この過程で、教養を身につけることも重要です。何か新しいことに挑戦する際、それについてある程度の知識がないと、それが本当に楽しいものなのかどうかも判断できません。 たとえば、「絵を描いてみたい」と思ったとします。もし、多少なりとも絵画の歴史や技法について学んでいれば、どのようなアプローチが自分に合っているのかが分かるようになります。 また、ただ漫然と描くのではなく、名作と呼ばれる作品を見たり、画家たちの考えを知ったりすることで、より深く楽しめるようにもなるでしょう。 「生きがいだけのために生きる」人生を こうした過程を経ることで、自分がどんなことに喜びを感じるのかが徐々に明確になり、本当にやりたいことが見えてくるはずです。そして、それが見つかったとき、自然と「これが私の生きがいだ」と思えるものに巡り合えるでしょう。 その瞬間、きっと誰もが実感するはずです。 「生きがいを持つ人生とは、なんと豊かで、幸せに満ちたものなのか」と。 「生きがいだけのために生きる」——これは、多くの人にとって理想的な生き方に思えるかもしれませんが、決して遠い話ではありません。少しずつ「お金優先」の価値観から脱し、自分の心が求めるものを探していくことで、それは誰にでも手の届くものなのです。 私は、まさにそのことを実感して生きてきました。 「やりたいことを全部やる」人生とは、「生きがいだけのために生きる」人生と同義だと思います。みなさんが今後の人生を豊かに、充実して生きるヒントが一つでもあれば幸いです。 【新NISA】だから「おやめなさい」と言ったのに…トランプ相場「塩漬けか、撤退か」の最適解

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