年収「103万円の壁」見直しても…130万円でまた社会保険料の“壁” 課題は?

税制改正へ向け、いわゆる“年収の壁”をめぐる自民党と国民民主党の政策協議がスタートしました。国民民主党が実現を迫るのは、年収の壁の1つとされる非課税枠「103万円」の引き上げです。税収が大幅に減る課題などもあり、協議の行方が注目されます。    ◇ 働く側も、雇う側も、頭を抱える“年収の壁”。今、この壁を変えようとしているのが、「103万円の壁」の見直しを公約で掲げていた国民民主党です。 国民民主党 玉木代表(8日) 「若い人や現役世代の声に応えるために、選挙で掲げた政策、この手取りを増やす経済政策を何が何でも実現していきたい」 8日午前11時ごろ、自民党と国民民主党の政調会長が会談し、見直しなどに向けた政策協議がスタートしました。 その中で、自民党に国民民主党が求めたのが、年収の非課税枠を103万円から178万円に引き上げるという案です。現在、最低賃金は、約30年前から1.7倍となっているので、壁もその倍率にあわせた額、178万円に引き上げるというものです。 国民民主党の試算によると、引き上げた場合には… ・年収200万円の人は8万6000円の減税 ・年収800万円の人は22万8000円の減税 自民党も“103万円の壁”の見直し自体は受け入れる方向で、11日に石破首相と玉木代表が会談するなど、今後、具体的な引き上げ幅や制度設計について協議していく考えです。 ただ、“103万円の壁”の見直しに伴って出てきた課題もあります。1つは「税収減」。政府の試算によると、178万円に引き上げた場合には、国と地方の合計で年間約7兆6000億円の税収減になるといいます。    ◇ さらに、働く人たちにとっての課題も。働く人からは、次のような声が上がっています。 「103万円の壁が178万円になっても、社会保険料を払えって言うんでしょ」 「130万円超えたら、社会保険に入って手取り額が減ってしまう」 立ちはだかるのは「社会保険料の壁」。税負担が発生する「103万円の壁」を178万円まで引き上げても、106万円や130万円という社会保険料に関する壁にぶつかるという声です。 このうちの1つ、106万円の壁についても今、撤廃の議論が行われています。 厚生労働省は、106万円の壁を撤廃し、週20時間以上働く場合は、年収や企業規模に関係なく、その企業の厚生年金に入るという案を検討しています。これは今の手取りを増やすという観点では保険料を納めるために手取りが減る人もいますが、保険料の半分は企業が納め、年金額は増えるため、将来の安定につながるということです。 制度の見直しが進む中、専門家は、次のように語ります。 ファイナンシャルプランナー・塚越菜々子氏 「制度がこれだから、これくらいしか働いちゃだめとしていくと、やはりちょっとゆがんでしまう。就業調整について、議論が進むといいのではないかなと思います」 (11月8日放送『news zero』より)

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