94歳男性、スキー検定1級に合格…コブの急斜面もリズミカルに「100歳まで滑り続けたい」

 高度なスキー技術が求められる公益財団法人「全日本スキー連盟(SAJ)」のスキー検定(バッジテスト)1級に、仙台市泉区高森の後藤次男さん(94)が合格した。  合格率は3割程度の難関で、90歳代の合格者は極めて珍しいという。スキーと出会って約70年。「100歳まで滑り続けたい」との夢を描いている。(東北総局 小山太一)  1級のテストはスプリングバレー仙台泉スキー場(仙台市)で3月27日に行われ、後藤さんは初挑戦で合格した。スキー検定は1〜5級があり、1級はアマチュアとして最高レベル。パラレルターンで急斜面やコブ斜面などを4本滑り、公認検定員3人が採点する。2023〜24年シーズンは7270人が挑戦し、合格率は35・7%だった。  表彰式は今月2日、同スキー場で開かれ、後藤さんは「自分の娘に見せても『そうなの』という感じだろうけど」と笑いを誘った。その後、ゲレンデに向かい、滑らかで安定感のあるターンを披露していた。  スプリングバレースキースクール代表で、検定員を務めた渡辺淳浩さん(63)は「若者でも怖がるコブ斜面を転ばず、リズミカルに滑る」と称賛する。  後藤さんは宮城県南郷町(現美里町)出身。陸上自衛隊に入隊し、初任地の北海道で訓練の一環としてスキーを始めた。スキーは未経験で、板を付けると平地でも転んだが、8〜9年目には隊内の競技会に出場するまでに腕を上げた。  当時、スキーはあくまでも訓練の一環だったが、自衛隊を退官し再就職先も退職して時間ができた60歳頃に再開。10年ほどのブランクで、滑ることに怖さもあったが徐々に感覚を取り戻した。「(滑り終えると)ストレスがなくなりスカッとする。疲れるけど翌日には滑りたくなる」と話す。  18年には脊柱管狭窄(きょうさく)症などで手術を受けたが、19年1月にはゲレンデに立ち、90歳代になってもシーズン中は2日に1度はスキー場に通った。そんな姿を見守り、年を感じさせない滑りに、渡辺さんらが検定受検を勧めた。渡辺さんは「94歳で新しいことに挑戦する姿勢は多くの人の目標になる」とエールを送る。  後藤さんは今も自宅近くの公園を1時間ほど約2〜3キロ歩き、腹筋を鍛えるなど体力維持を欠かさない。「スキーの発展と自身の体力の鍛錬にまい進したい」と力を込めた。

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