今シーズンは男女ともに、多くの選手が米ツアーに参戦します。その中でもとくに注目されている女子のトップ4選手をピックアップ。 みな美しいスイングですが、それぞれに特徴があり、それが各自の持ち味につながっています。 今回はティーチングプロの石井秀昌氏が、山下美夢有プロのスイングを解説します。 アドレス~バックスイング 【Point】体重移動で始動するのでヘッドが少し遅れて動き出す(写真右) アドレスはリキみがなく、ややカカト側に重心がある構えです。小柄な体格からか、ドライバーのトゥが上がっており、シャフトプレーンはかなりフラットになっています。ここからバックスイングをすると、クラブはインサイドへ入りやすくなる。体重移動で始動するので手元に対してヘッドが遅れて動き出し、フェースがボールよりも手前の地面を向く「シャット」な状態でクラブが上がっていきます。 トップ 【Point】左手首が真っすぐでクラブがオンプレーン(写真右) 胸が90度回ったタイミングでは手元よりもヘッドが高い位置にあるので、少しずつコックが入っているのがわかります。このとき、ヘッドが垂れたままだとドライバーのような長いクラブはインサイドへ入りすぎてしまうので、フックやプッシュアウトになりやすい。山下プロは「ヘッドを手元より高い位置」にもってくることでこのリスクを軽減しています。 トップポジションではクラブは左腕の延長線上にあり、ほぼオンプレーンです。左腕は真っすぐ、左手首も真っすぐですので、この時点でフェースはやや閉じていることになります。 切り返し~インパクト 【Point】両足が浮くほどの地面反力を使っている(写真右) 切り返しでは手元がグッと下がるため、シャフトが垂れることはない。インパクト直前の写真を見ると、クラブにかかる遠心力と体の引っ張り合う関係がよくできています。左のお尻がしっかりと引かれていて、クラブはオンプレーンを保ったまま前方へ加速。このポジションにクラブがくれば、ボールが曲がることはあまり考えられません。インパクト後を見ると両足が少し浮いていますが、これは地面反力を強く使っている証拠。ヘッドの“最後のもうひと加速”を生み出します。 フォロースルー~フィニッシュ フォローではフェースが地面を向いており、アームローテーションが入ることがよくわかります。フィニッシュではシャフトがターゲット方向を向くほど肩が深く回っていますが、これは一般人の可動域ではとても成し得ない動き。アマチュアがマネるのは難しいでしょう。 ココを比べてみよう! 山下美夢有プロ(写真左)と岩井千怜プロ(写真右) フォローでフェースターンを抑えた千怜プロと比べると、山下プロのほうがフェースを返しているのがわかる。とはいえ、手でこねているのではなく、あくまで「自然な範囲で」だから曲がらない。 いかがでしたか。山下美夢有プロのスイングをぜひ参考にてしてください! 解説=石井秀昌 ●いしい・ひでまさ/1989年生まれ、埼玉県出身。学生時代にティーチングプロライセンスを取得し、いち早く初心者専用ゴルフスクールの立ち上げなどに携わった。インスタグラムのフォロワー数は4万人を超える。恵比寿のインドアゴルフスクール「Bforcegolf academy」代表。 山下美夢有 ●やました・みゆう/2001年生まれ、大阪府出身。150cm。小柄な選手だが、ショットの精度はさながら“マシン”のよう。JLPGAツアーでは通算13勝をあげており、パリ五輪での活躍も注目されるなど、紛れもなく日本を代表する選手のひとり。 写真=ゲーリー小林 撮影トーナメント=ニチレイレディス