【エルサレム＝福島利之】イスラエルの国内諜報（ちょうほう）機関シンベット（安全保障局）のロネン・バル長官は２１日、自身の解任を巡り、最高裁判所に宣誓供述書を提出した。 バル氏はベンヤミン・ネタニヤフ首相から反政府デモを監視したり、首相の裁判を妨害したりするよう求められたが拒否したため、首相が解任を試みたと主張した。 首相府は２１日、「虚偽に満ちている」としてバル氏の主張を否定した。パレスチナ自治区ガザでの戦闘が続く中、諜報機関トップと首相が対立する異例の事態となったのを受け、野党は「国家の安全保障を脅かす」とネタニヤフ氏を批判する共同声明を出した。 供述書によると、バル氏は首相側近による機密文書漏出に対する捜査を承認し、ネタニヤフ氏との関係が悪化した。ネタニヤフ氏の汚職裁判に同氏が安全保障上の理由から出廷できないと裁判所に伝えるよう求められたが、バル氏は拒否した。首相から反政府デモに関与する市民の捜査も要求されたという。バル氏は「職務でなく、首相への個人的忠誠を求められた」と主張した。 ネタニヤフ政権は３月２１日の閣議で「信頼を失った」としてバル氏の解任を決めたが、最高裁は手続きに欠陥があるとして解任の一時差し止めを命じている。
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