被害総額1億円超 狙われる「高級盆栽」 高額“身代金”要求も 大胆犯行の一部始終

 全国各地で盆栽の窃盗が相次いでいます。なかには、盗まれた盆栽を取り戻すために高額な代金を要求されるケースもあるということです。 この記事の写真を見る ■一晩で24鉢、総額800万円相当を盗まれる  芸術的な立体美と圧倒的な存在感で多くの人々を魅了する盆栽。今、高級盆栽の盗難が相次いでいます。 盆栽園の経営者 「約800万円ですね。悲しい。その一言」  栃木県内で盆栽が盗まれる様子を捉えた映像です。時刻は深夜1時ごろ、雨が降るなか傘も差さず車から降りてきた2人組。1人が盆栽園に入っていくのが確認できます。  その20分後、園内にある別のカメラには、画面中央に映った怪しい人影がありました。  すると、犯人は盆栽を棚から次々と降ろし、防犯カメラに映らないよう、しゃがんだ状態のまま持ち去っていきました。  翌日、この盆栽園の経営者が目撃したのは…。 盆栽園の経営者 「おかしいなと思い見たら、こういう状態で品物がないなと思って」  高いもので30万円以上もする高級な盆栽が一晩で24鉢、総額800万円相当を盗まれたといいます。 盆栽園の経営者 「力が抜けるとかいうよりも、何が起こったか分からない状態。冷静に考えると、ただ悲しい限り」  日本盆栽協同組合によると、こうした高級な盆栽ばかりを狙った窃盗事件がおととし以降急増。被害総額は1億円以上に上るといいます。 ■世界で「BONSAI」ブーム 観光目的の一つにも  なぜ、高級な盆栽ばかりが狙われるのか。都内にある盆栽を専門に扱う美術館を訪ねました。  盆栽界の巨匠・小林國雄さんが設立した「春花園BONSAI美術館」。館内には2000鉢以上もの盆栽が並びます。  切り立った崖から枝が垂れ下がるよう仕立てられた盆栽「五葉松」。自然の厳しさに耐える姿が表現されたこの作品。付けられた値段は170万円だといいます。  一方、青々とした葉が印象的な「楓(かえで)」の盆栽。秋になれば赤く色付き、紅葉も楽しめます。過去には、コンクールで最優秀賞を受賞したこの作品。付けられた値段は、なんと1500万円だといいます。  美術館で最も高価な盆栽がこちらです。 春花園BONSAI美術館 小林國雄園主 「こちらが真柏(しんぱく)っていう樹種で、樹齢は1000年経っています」  樹齢およそ1000年の木で作られた盆栽。「雲龍」と名付けられ、付けられた値段は…。 小林園主 「1億円って言っていますけどね」  白く風化した幹や枝。それらが複雑にねじれながらも、葉の色は鮮やかで強い生命力が感じられるのが特徴です。 小林園主 「この木を見に海外からたくさんの人がこの美術館にはみえます。今、海外では盆栽っていう言葉も世界語になっていますから。“BONSAI”って言葉がね」  世界中でブームになっているという“BONSAI”。美術館を訪れる客の9割が外国人だといいます。 小林園主 「幹にちゃんとフィットするように巻きます」アメリカからの観光客 「オッケー!触るだけね」美術館スタッフ 「緊張しなくて良いですよ」  アメリカ人家族が行っていたのは「盆栽体験」。額に汗をかきながら、枝にワイヤを巻いていく父親。息子たちも真剣な表情です。作業することおよそ10分、オリジナルの盆栽が完成しました。 アメリカからの観光客 「アメージング!ただの木だったのに、盆栽になったわ。美しい!」アメリカからの観光客 「枝が垂れ下がっているのが良いですね。イメージしながらワイヤを巻きましたから」 「(Q.アメリカでも続けますか?)間違いなくやってみたいです」  今や観光目的の一つにもなっているという日本の盆栽。その人気は“あの温泉地”でも…。 台湾からの観光客 「見て!すごくきれい!」  台湾からの観光客が写真に収めていたのは、静岡県熱海市にある世界最大級の盆栽「鳳凰の松」。高さ5メートル、幅は13メートルもあり、一目見ようと多くの外国人観光客が訪れています。 カナダからの観光客 「平和を感じますね」 「穏やかで、静か。将来のこととかを考えながら、いくらでもここで時間を過ごせます」■盆栽熱が沸騰 ベトナムでブームに   世界中の人々を魅了する日本の盆栽ですが、今“BONSAIブーム”に沸いている国もあります。 ベトナムの盆栽事情に詳しいホア氏 「ベトナムでは大型の盆栽イベントが年間で平均20から30カ所で開催されています」  ベトナムの首都ハノイで開かれた盆栽展示会の様子。大小さまざまなベトナム産の盆栽が並び、集まった客の多さからも関心の高さがうかがえます。  元々、年配の愛好家を中心に盆栽が人気だったベトナムですが、最近増えているのが…。 ホア氏 「インターネットが普及して、盆栽人気が若者にも広がってきました」  SNSで若者にも人気が広がっているといいます。 ■盗難後に“身代金”要求  海外の調査会社によると、1兆円を超す規模まで膨れ上がっているという「世界の盆栽市場」。こうしたなか、埼玉県内にある盆栽園では、盗難被害直後に“身代金”を要求されたといいます。  去年、「真柏」や「黒松」など47鉢、およそ670万円相当の盆栽を盗まれたという松岡清之さん。20年近く手塩にかけて育てたものが盗まれました。  被害の2日後、松岡さんの知人からこんな連絡がありました。 松岡さんの知人 「SNS上で盗難被害に遭った盆栽が売りに出されている」  松岡さんは画像を確認し、販売元へ返却を求めると、ベトナム語で“身代金”を要求するかのようなこんなメールが届きました。 埼玉県内の盆栽園 松岡さん 「『200万円くらいで買い取れ』と。もう怒りですよ。買うか!と」  松岡さんは例え金を支払ったとしても盗まれた盆栽が返ってくる保証はないと考え、支払うことはしませんでした。  一方、熊本県内の盆栽園で発生したのが、盆栽の“組織的”窃盗事件です。 熊本県内の盆栽園 佐々木勇星さん 「がっつりやられていたんで。もぬけの殻ですよね。もうまず、あぜんとして。そこからふつふつと腹が立ってきて」  深夜1時半すぎ、画面右奥から現れた不審な人物。辺りをうかがいながら、棚に置かれた「真柏」や「黒松」などの盆栽を持ち去っていきます。この時、盗まれた盆栽は33鉢。被害総額は1880万円に上ります。  この事件で実行犯とされているのが、ベトナム国籍の男3人です。  3人は「侵入して盆栽を持ち出す役」「敷地外で受け取る役」「車に積み込む役」など役割を分担していて、その上に指示役もいたといいます。 (「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年4月22日放送分より)

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