【2025年問題】地域で愛されるレトロ喫茶を引き継いだ看護師出身の女性…「事業承継」のリアルな現場(静岡)

4月、40年続いた喫茶店が、それまで看護師だった女性へと引き継がれました。いわゆる「事業承継」といわれるものですが、そのリアルな現場と成功の鍵を追いました。 4月10日、静岡・三島市でレトロな雰囲気漂うこの喫茶店がリニューアルオープンしました。元々、地域で42年間愛され続けてきた店ですが、店主も高齢となり閉店を考えていたところ、看護師だったこの女性が店を継ぐことになったのです。 (店を引き継ぐことにした 加藤 茜さん・31歳) 「たまごサンドがすごくおいしかったので」「これが三島からなくなったらもったいないと思って」「継ごう!って決心しました」 店の看板メニューは「たまごサンド」。多くの客の記憶に刻み込まれたこの味を先代から教わり引き継いでいきます。 (先代オーナー  市川喜久子さん) 「ほんとね、店名もそのままなんて聞いた時、あーよかったって思って!」 全くの未経験でゼロからの挑戦でしたが、果たして無事オープンすることはできたのでしょうか?? (店を引き継ぐことにした 加藤 茜さん・31歳) 「ドキドキ大丈夫かな?」 「エブリィライフ」は高齢化や後継者不足で中小企業の廃業が増える中いま注目される事業承継。そのリアルな現場を取材しました。 みなさん「2025年問題」という言葉聞いたことありますか?これは、団塊の世代が75歳以上となることで生じる、社会や経済の様々な課題を指しますが、中でも、中小企業の多くの経営者が引退する年齢を迎えながら後継者がいないために、かなりの数の会社が廃業することが心配されています。そのため、いま、会社の資産やノウハウなどを第三者に引き継ぎ事業を譲渡する「事業承継」が注目されていて、その成立数もここ数年で増加しています。 三島駅から歩いて4分のコーヒーショップ「ジェミニ」も、4月に事業承継を行いました。 昭和レトロでどこか懐かしさを感じる店は1982年に創業。子どもからお年寄りまで、幅広い世代のお客さんでいつもにぎわっていて、昔から変わらない味のカレーなど手作りのフードメニューが大人気。 (客) 「ちょっと辛くてちょうどいいぐらいの辛さでおいしいです」 (客) 「これは懐かしい味が」 地域の人々の安らぎの場所としても40年以上愛され続けてきました。店を営むのは市川喜久子さん・洋之さん親子。元々は、喜久子さんの夫である浩さんが始めましたが体調を崩してしまい喜久子さんも体力的に厳しくなったためことし3月で閉店することにしたのです。 そんな中、三島市内のクリニックで看護師として働いていた加藤茜さんが「ジェミニ」を引き継ぎたいと名乗り出たのです。 (店を引き継ぐことにした 加藤 茜さん・31歳) 「叔父とふらっと、ここに来た時に、今まで来たことなかったし、開けた瞬間に、この雰囲気がかわいくて気にいちゃったのと、『たまごサンド』がすごくおいしかったので、これが三島からなくなったらもったいないと思って、それで『継ごう』と思いました」 初めて訪れた「ジェミニ」で食べたのが薄焼きの熱々たまごとからしマヨネーズを合わせた店オリジナルの「たまごサンド」。加藤さんは、これを一口食べてそのおいしさに感動し、「このお店は残さなくては」と、店を継ぐことを決心したのです。それを聞いた喜久子さんは…。 (閉店を決めた 市川 喜久子さん) 「ほんとね名前もそのままなんて聞いた時、あーよかったって思って。本当にそれだけは忘れられないですね」 店を閉めるしかないと諦めていた市川さん親子でしたが、加藤さんが事業承継してくれると聞き、安心とうれしさでいっぱいになったといいます。「ジェミニ」が閉店せずに新たなオーナーのもとで続くことを聞いた客は…。 (店が続くと聞いた 客) 「昭和の記憶がある雰囲気のお店はなかなか東京ではないし、続けてほしいわね」 (店が続くと聞いた 客) 「応援します。来ます」 加藤さんは、単に店を続けるだけでなく、これまで愛されてきた「ジェミニ」のメニューも、その味を忠実に守り、提供し続けることを決めていました。そのため、コーヒーの入れ方からサンドイッチの作り方まで、ひとつずつ細かく喜久子さんから教わります。 (閉店を決めた 市川 喜久子さん) 「できたてのパンなんですよ。朝届けてくれてね、おいしそう」 喜久子さんが、作り方からテクニックまで手取り足取り丁寧に伝授し、 看板メニューの「たまごサンド」も安心して任せられるお墨付きが与えられました。 (閉店を決めた 市川 喜久子さん) 「すごく頭のいい子でね、手先も器用で何もやることないよ」 そして、42年続いた喜久子さんたちによる「ジェミニ」は閉店となりました。 そして、4月10日、加藤さんがオーナーとなった新生「喫茶店ジェミニ」のオープン日。 (店を引き継ぐことにした 加藤 茜さん・31歳) 「ドキドキ大丈夫かな?みんな手伝いに来てくれたので、みんなでやれば大丈夫だ」 加藤さんの家族も総出で開店をサポートします。娘の大きなチャレンジをそばで見守ってきた母・みきさんは…。 (加藤さんの母・みきさん) 「うまくやっていけるのか、やはり一番心配でした。ここまで来たらワクワクですね。あとは楽しんで家族みんなでやっていきたいと思います」 そして、11時。 (店を引き継ぐことにした 加藤 茜さん・31歳) 「オープンします」 「記念すべき第一号。ありがとうございます」 オープンと同時に早速お客さんがやってきました。 (客) 「イチオシは何ですか?」 (店を引き継ぐことにした 加藤 茜さん・31歳) 「たまごサンドです」 加藤さんが初めて提供するのは、喜久子さんから引き継いだ「たまごサンド」。 気になるお客さんの反応は? (客) 「サンドイッチって、あまり出来立てを食べる機会ない。それをカウンターで話しながら食べるのはかなり新鮮」 評価も上々のようで、まずは一安心。 多くの人が加藤さんの門出を祝い、店は大にぎわい。 40年以上地域に愛され続けた喫茶店の事業承継。その成功の鍵は、店を手放す側と、それを引き継ぐ側とが、それぞれの思いを尊重し協力することにありそうです。 (店を引き継ぐことにした 加藤 茜さん・31歳) 「今まで、ご夫婦が作ってきた喫茶店ならではの、ほっとするお料理と、この素敵な昭和のノスタルジックな空間を大切にして、これからも、三島の地元の人に愛される喫茶店を目指していきたいです」

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