「思い描いた将来って? 私ってどう生きたいんだっけ……」 30歳までに結婚しようと人生計画を立てていたはずが、結婚目前で彼氏の浮気が発覚した茜。「ロールモデルがいない!」と仕事一筋の自分を振り返る瑞希。男性に自分の素をさらけ出せない婚活中の桜子。 東大卒のコラムニスト、ジェラシーくるみさんが企画・原案を務めた 『アラサー・ライフ・クライシス』 (KADOKAWA)は、自身や友人たちの体験をもとに、現実と理想のギャップに揺れるアラサー世代の心の動きを描いた作品だ。 恋愛、結婚、出産にキャリア……30代を目前に迫る“人生の選択”をどう乗り越えればよいのか? 本作で描かれるエピソードは、こうした悩みに大きなヒントを与えてくれるはずだ。 アラサー女性の「あるある」を描く 「アラサー女子必見…女の幸せに必要なもの6選!仕事?結婚?子ども?自由時間?健康?お金——?」 化粧品会社で広報を務める28歳の成田茜は、アラサーの年代に差し掛かり、今後の人生について思い悩んでいた。 そんななか、SNSで元カレが結婚したことを知り、大きなショックを受ける。決して未練があるわけではないのだが、先を越されたような、自分だけが置いていかれたような複雑な気持ち——。誰もがこうした経験に心当たりがあるだろう。 アラサー女性の仕事や私生活での「あるある!」を描き切った本作。原案を務めたジェラシーくるみさんはこう話す。 「本作は、友人や会社の同僚、いろいろな人の体験談をもとにしています。女性にとって、結婚・出産と自身のキャリアを両立させることは、複雑なパズルを解くような難しさがある。肉体的なタイムリミットがあるからか、年齢や職業を問わず、男性よりも女性のほうが総じて危機感が強いと感じます。 多くの人たちと悩みを共有し、社会全体で解決法を考えるきっかけになればと、女性の生きづらさを発信するようになりました」 男女間で異なる切実さ ジェラシーくるみさんのもとには、悩める女性たちから次々に切実な声が届くという。 「結婚している女性からは、夫の海外駐在や転勤についていくことになって、自分自身の仕事のキャリアが絶たれてしまったり、子供を持つ計画が狂ってしまったという話をよく聞きます。パートナーや周りの環境に人生を左右されてしまうことに対する悩みですね。 一方で独身の人は、『いつか子供を持ちたいと思っているけれど、今すぐという気にはなれない』といった、遠い未来の理想像はうっすら持っているのに、現在の自分の気持ちと噛み合わないことへのストレスを抱えていたりする。 昔だったらお節介を焼いてくれる人がいて『あんた、もう結婚したほうがいいわよ』と、アドバイスをくれていたのかもしれませんけれど、今はそういうわけにもいきませんからね。未婚既婚を問わず、みんな苦悩を抱えているんです」 ほかにも多いのが、生活スタイルが変化したことで女友達との共通の話題がなくなり、疎遠になってしまったという悩みだ。 「未婚・既婚、子どもがいる・いないでも変わりますし、たとえば旦那さんの転勤が多い人とかは物理的にも遠くなっちゃいますからね。 価値観の断絶を感じさせるような相手の一言が引っかかって、距離ができてしまったという話もよく聞きます。たとえば『やっぱり女は〇歳までには産まないと焦るよね』という発言。悪気なく発した言葉がきっかけで、学生時代の仲良しグループが分裂してしまったそうです。 男性の場合は、結婚や子どもの有無でここまで人間関係に大きな影響が出ることって、あまりない気がして。ちょっと不公平な気がしますね」 【マンガ】「憧れのタワマン生活」が一転…!《タワマンの低層階》に住む家族が味わった、残酷すぎる「格差の現実」