30代は独身を謳歌 年収1300万円の50代「イケオジ」が婚活市場で大苦戦

5年ごとに実施されている国勢調査で2020年(令和2年)の統計では15歳以上の未婚者数は2973万人(総務省統計局、次回国勢調査2027年)未婚率は男女共に、年齢に関係なく上昇している。また45歳から49歳、50歳から54歳での未婚率を平均した生涯未婚率も年々増加しているが…。 【画像】焦って婚活した50代男性の理想のタイプ 自称イケオジ年収1300万円50代は婚活市場でのニーズがない 「自分は結婚適齢期である30代は独身を謳歌し、結婚なんてしないと豪語していました」 そう話すのは、都内在住の若林浩正さん(51歳・仮名)。 年収は1300万円超え、さらに週2のジム通いが功を奏しているのか見た目も若い。だが、婚活市場では「全くニーズがない」と話す。 「見た目に気を使い、年収も高い。貯金も一応1000万円はあります。周りの結婚できている奴に比べても優良物件だと思うんですが…」 婚活を始めたのは49歳になったばかりの頃。これまで独身を謳歌してきたが、ふと「寂しくなった」と苦笑する。 「ずっと既婚者のことを『バカだな』と見下していました。いくら頑張って仕事をしても月の小遣いは3万円とかで飲み会にも満足に行けない。子ども優先で、旅行や自分の好きなものも買えず、口を開けば嫁の愚痴ばかり。そんな奴らを横目に自由に生きてきました。 それが、50歳を前にして若い時のように娯楽に興味がなくなってしまって…。家に帰れば家族がいて、子どもの成長を楽しみに生きている既婚者を羨ましいと感じるようになったんです」 そこで若林さんは即行動に移した。まずはマッチングアプリを始めたが、世間の評価と自己評価のギャップに苦しんだという。 「婚活アプリを使いましたが、50代というだけでパパ活相手にしか見てもらえない(苦笑)。会う時に『家が遠いので交通費もらえますか?』とか『借金があるので支えてくださる方を探しています』とか。自分の市場価値がここまで低いとは思わなかったのでショックでした」 そして結婚相談所に登録したそうだが、ここでも若林さんは苦戦を強いられる。 「自分のDNAが入った子どもが欲しい」 「自分の子どもが欲しい。だから相手の女性は25歳から35歳を希望しました。収入はそんなになくていいから家庭的でアナウンサーみたいな雰囲気の子を…と伝えると『そんな人いません』とキッパリ。 多くの女性は、やはり男性と同じで若い異性と結婚したい。年収は高いに越したことがないけど、子どもを望むなら男性も若い方がいい…と。これには本当に驚きました」 結婚相談所から紹介されたのは“同い年のキャリアウーマン”と、“43歳のシングルマザー”だった。 「本当に結婚をしたいなら現実を見ろ、と言われたようでした。仮に今から結婚して妊活しても、子どもができて成人を迎える頃にはもう70歳を超えている。 だったら、すでにそこそこ大きいお子さんがいる女性か、自分と同じように稼いでいるバリキャリと悠々自適な老後を楽しむ方がいいんではないか?とのアドバイスを受けました」 若林さんはこの2人の女性とも「一応会う予定だ」というが、いまいち気乗りはしていない様子。 「もともと子どもが好きなわけではないので、どうせなら他人のDNAではなく自分のDNAが入った子どもが欲しいんです。紹介された2人とは、会ってみたら気が合うかもしれない。でも妥協はしたくないので、他の結婚相談所にも入会を検討しています」 本当は結婚したくないが世間体のために婚活を始めた50代 一方で、上野洋一さん(53歳・仮名)は、今年で婚活3年目になるが「本音を言えば結婚したくない」と真顔でいう。 「本当は誰かと暮らすのも、子どもがいる生活も望んではいないです。だけど、今働いている会社の体制が古く、既婚者でさらに子持ちの方が評価が高い。 社長は『家庭があると責任感が違う』『子どものために頑張らなければな』と、いちいち言ってくる。それに誰かが結婚したり出産した時にお祝いを出す一方で、こちらがもらえる機会はほとんどなく、金銭的損失が著しいんです」 そういった事情から上野さんが求める条件は「利害関係の一致」だとか。 「30代半ばくらいで周りが結婚出産していく中、そんな予定がなく気まずい思いをしているような女性がいいのではないかと。世間体のために結婚はしたいけど、家庭生活は円満とか、週末は家族と出かけるとか、そういうのを求めない女性がいないかな?と思っています」 上野さんは年収800万円で、ローンが残り少ない都内のマンションを所有しているが、それでも「女性が食いつくのは最初だけ」だとため息をつく。 「結婚相談所の方に『女性に最初からストレートに結婚と言うと嫌がられてしまうかもしれませんので控えめに』とを言われましたが、結婚って取引ですよね。なので商談をすすめるのと変わらないはずだと思っています。 淡々と自分の条件を話し、相手の条件を聞き、こちらもそれを飲めれば結婚…という流れで考えていたんですが、今まで会った人には全員断られてしまいました」 現在登録している結婚相談所には「もう紹介が難しいかもしれない」といわれてしまったそうだが、上野さんは「全く理解ができない」という。 「自分は年収そこそこで、見た目は普通。薄毛が進行してるわけでもないし、極端に太ってもいない。相手に連れ子がいてもいいし、子どもが産めるなら産んでもいい。 お金の面ではできる限りサポートしますが、余計な会話や趣味の共有などは不要です。あくまで利害が一致する方を探しているのですが、それってそんなに難しいことなんでしょうか?」 「50代が20代と結婚は無理。贅沢すぎる」 先日、『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演し、辛口コメントが話題となった結婚相談所マリーミーの代表である植草美幸さんに、2人の婚活男性についてコメントをもらうと「どちらも贅沢すぎますね」と苦笑いした。 「まず若林さん。年収1000万円でも、50代が20代と結婚するのは無理。貯金が1億円あっても難しいです。20歳も歳の差があったら、交際になっても親御さんの反対もありえますから、同世代かアラフォーの方とお見合いされることをおすすめします」 また年収1000万円以上の50代は婚活市場では多く、同じ年収の男性がいた場合、バツがついている方が有利なんだとか。 「既婚者はやっぱり女性の扱いが上手いです。婚活市場においては年齢が上がれば上がるほど、未婚よりも一度結婚されている方のほうが人気が高い。というのも、結婚して家族を作って維持するということは、一大プロジェクト。経験者か未経験者か選べと言われたら経験者の方がいいという人が多いんです」 50代の婚活が増えていることについて植草代表は「日本には四季があることも関係していると思います」と分析する。 「日本には四季があるから、お正月や節句、夏の花火やクリスマス…。歳を重ねるほど、周りは家族が増えていくので、四季折々の行事を家族と過ごしている既婚者を見て寂しさを感じるんだと思います」 そんななか令和に入り、女性の結婚観はかなり変わってきているそうだ。 「昔は専業主婦が当たり前の時代でした。そして専業主婦になるならお相手はよりいい人、昔でいう3高(高学歴・高身長・高収入)と結婚したいと考える女性がほとんどでした。でも令和は真逆。基本は共働きですし、離婚してしまうことも想定して、出産してもバリバリ働きたいという人が増えています。 年相応の人と毎日『疲れたね』『今日会社でさ…』と気取らない会話をしながら、一緒に歳をとっていきたいと考えている人が多い。ですから、夫だけど、戦友であり同志のような関係を望む人が多いです」 そういった背景から2人目の上野さんに関してはこう分析する。 「そもそも最近の婚活女子の思想と全くマッチしないですね…。若林さんも上野さんもお子さんを望んでいますが、今から結婚できて妊娠、出産までスムーズにいっても3年はかかる。となると子どもが成人を迎える頃にもう定年を過ぎていますが、お子さんの学費、自分たちの生活費、万が一自分に何かあった時の対策は考えているのでしょうか」 自分の年齢を客観視することが成婚への近道 またマリーミーに相談にくる女性の多くは10歳以上年上の男性を見ると「結婚相手には無理。上司ににしか見えません」と口を揃えて言うそうだ。 「男性は気がついていないけれど、年下女性に対してやはり上から目線な方が多いです。電車の中で自分が結婚したい年齢層の女性が一緒にいる男性を見てください。きつい言い方ですが、彼らはあなたと同世代ですか? あなたは彼らと勝負ができますか?」 厳しい現実を突きつけられるが、一概に「50代で成婚することは難しい」というわけでもないようだ。 「弊社の会員の50代の方は、皆さん同世代や少し年下のアラフォーの方と成婚しています。現実を見れる人は必ず結婚できます。(若い女性と結婚したいという男性は)おそらく芸能人がすごく年下の人と結婚したのを見て『自分もいける』と思ってしまっているのかもしれません」 植草代表は今、婚活がうまくいっていない50代男性は「自分の年齢を客観視して、お相手を探すことで結婚に1歩近づきます」と微笑んでいた。 取材・文/吉沢さりぃ

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