【独自】「良くて無期懲役、悪くて死刑のレベルですね」…女児刺傷「勝田州彦」が手紙に綴っていた逮捕直前の“自供”内容

 兵庫県警は11月7日、「たつの市女児刺傷事件」に関与したとして勝田州彦容疑者(45)を殺人未遂容疑で逮捕した。別の女児刺殺事件で服役中だった勝田容疑者は、同じく女児が被害に遭った「加古川女児殺害事件」についても関与を認めているという。  筆者は2021年11月から、勝田容疑者と手紙のやり取りを続けてきた。そして、逮捕のおよそ2ヵ月前に未解決事件への関与を“告白”されていたのだ。【高橋ユキ/ノンフィクションライター】 〈全2回の第2回〉  第1回【「ワタクシがやったんですよ」…女児刺傷事件で逮捕「勝田州彦」が“手紙”で告白していた未解決「女児殺傷事件」への関与】の続き 【写真】逮捕は「200%間違いないですね」…獄中から届いた便箋は、昔の女子中高生が書くような“丸文字”で埋められていた。赤や青のボールペンを使ってカラフルな印象だが、「無期懲役」「死刑」「再審請求」といった強烈な言葉が並ぶ。  今回、勝田容疑者が関与を認めたとされる「加古川事件」、「たつの事件」と同じように、無期懲役の判決を受けるに至った「津山事件」も発生から長い捜査期間を経ての逮捕だった。勝田容疑者は、岡山県津山市で04年9月に当時9歳の女児を殺害したとして殺人罪などに問われ、23年9月に無期懲役の刑が確定。「津山事件」は04年に起きたが、18年の逮捕に至るまで実に14年もの歳月を要している。 手紙に記された勝田容疑者のサイン  実は、「津山事件」で逮捕された際も、勝田容疑者の身柄は今回と同じく“刑務所”にあった。兵庫県内で女子中学生をナイフで刺したという殺人未遂罪で懲役10年の判決が確定し服役していたからだ。さらに、その前にも同種の前科があった。00年には10歳前後の少女数名に対して暴行と強制わいせつ事件を起こし、保護観察付きの執行猶予判決を受けている。10年には少女の腹部を殴ったり、ドライバーで突いたりする傷害や暴行事件を起こして懲役4年の判決を受けていた。 「津山事件」の発生後、岡山県警は殺人事件として捜査を開始したが、長年、容疑者特定には至っていなかった。県外にも捜査を広げるために兵庫県警へ協力を求めたところ、17年に“女児に犯罪を繰り返す人物”として男の存在が浮上(一審岡山地裁・検察側冒頭陳述より)。勝田容疑者は逮捕に至る。 「嘘をついていて、たいへん申し訳ありませんでした」  ところが、逮捕当初こそ「刃物で刺して殺した」と供述していた勝田容疑者は、逮捕6日後に「すべて自分で考えたデタラメ」と供述を翻し、それ以降は発言内容を二転三転とさせ、公判では完全否認という姿勢を見せたのだった。  岡山地裁の法廷で勝田容疑者は、否認に至る前夜、当時の担当弁護人から「認めたら死刑になる」と言われたことを明かしていた。つまり、男が最終的に「津山事件」について否認した動機は“死刑を避けるため”であったことがわかる。 だが、9月12日に筆者に送られてきた手紙で、勝田容疑者は「津山事件」についてこう明かした。 〈ユキ女史、この際だから正直に言いますね。津山事件もワタクシがやったんですよ。嘘をついていて、たいへん申し訳ありませんでした。本当にごめんなさい、です。この件についても、今後詳しく正直にお話ししますね。〉  それに加えて「たつの事件」、さらに「加古川事件」への関与を認めることになれば、改めて死刑に処せられる可能性が浮上するはずだ。実際、勝田容疑者は筆者宛ての手紙の中で、未解決となっている両事件のことも告白していた。 〈どちらも自分がやった事なので、この前刑事に自供したんですよ。〉 〈初めは今年の5月27日に兵庫県警察の刑事がたつの市の殺人未遂事件の取り調べで来ていたのですが、まず7月3日にたつの事件のことを認めて、そして8月下旬に加古川事件の方を認めたんですよ。途中から取り調べの雲行きが怪しくなって、加古川事件の方も言わざるをえなくなったんですよ〉 「これは10年どころか…」  そして、こう続ける。 〈これは10年どころか、良くて無期懲役、悪くて死刑のレベルですね。〉  津山事件の公判では、死刑になることを恐れて供述を翻し、否認を続けていた。にもかかわらず、一転して津山事件への関与を認め、それどころか2件の未解決事件の〈真犯人〉として名乗り出た。しかも、自ら〈悪くて死刑のレベルですね〉と認めている。  かつての勝田容疑者は、決して津山女児殺害事件を認めようとしなかった。著者が手紙で疑いを向けると〈アタクシは絶対に殺害していませんっ!!!〉と怒り全開の返信が届いた(23年6月)こともある。一体、なぜ翻意したのか。その理由については、現在、本人に尋ねているところだ。  もちろん、未解決事件の闇が解明されることは望ましい。ただ、これはあくまでも「津山事件」について長きにわたり「絶対にやっていない」と言い続けてきた勝田容疑者の言い分である。2件の未解決事件への関与を認め、実際に兵庫県警に逮捕されたわけだが、それでも今後、勝田容疑者が否認に転じる可能性はゼロとは言い切れない。 第1回【「ワタクシがやったんですよ」…たつの女児刺傷「勝田州彦」が“直筆手紙”で告白 2つの“未解決事件”で「真犯人として逮捕される予定です」 】では〈大事件ですっ!!また逮捕されそうですっ。〉という言葉から始まった勝田容疑者の生々しい“告白”について報じている。 高橋ユキ(たかはし・ゆき) ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。 デイリー新潮編集部

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