トランプ関税を巡る交渉が始まりましたが、気になるのは経済対策。現金給付が見送りの方針となる一方、消費税減税は実現するのでしょうか。 【画像】「極めて異例」トランプ大統領らと50分間面会した赤沢大臣 ■“現金給付”見送りへ自民党 中村裕之衆院議員 「まずは食品に係る消費税8%を恒久的に0%にしていくと。ヨーロッパでも取り入れられている軽減税率でありますし。内需を拡大することがトランプ関税に対しての日本の対応として必要だと考えています」 長引く物価高やトランプ関税を受け、与野党から経済対策を求める声が17日も上がっています。 自民党の積極財政派の議員たちからは、消費税の減税を求める声が上がりました。 政府・与党は今国会での補正予算案を見送る方針で、これに伴い、一定規模の財源が必要な国民一律の現金給付も当面見送られる方針となりました。 その理由について自民党幹部は…。 自民党幹部 「補正見送りはやっぱり世論調査が大きかったようだ。現金給付への反発がものすごかった。『給付ができないなら補正を組む必要もない』ということだった」国民民主党 玉木代表 「補正予算の編成もしない、また、評判が悪いから現金給付もしない、ということで報じられておりますけども。世論調査を見て現金給付の評判が悪いからやめようとか、やろうとか。それこそポピュリズムなんじゃないかなと思います」 家計支援策として政府・与党は電気・ガス料金について先月で終了した補助を再開し、電気需要が増加する6月から8月までの3カ月間、補助することを検討。 また、ガソリン価格については、来月半ばから来年3月末までの間、1リットルあたり10円程度引き下げる案を検討しています。 ■“食料品減税”実現の可能性は そんななか、多くの野党が求めているのが消費税の減税です。 国民民主党 玉木代表 「消費税の減税、時限的な減税なども柔軟に検討して対応を用意しておくことが必要だと」日本維新の会 前原共同代表 「国民の窮状に対して最も適切な対応策というものが、食料品の消費税を時限的に引き下げることだと思っております」政治部 官邸キャップ 千々岩森生記者 「石破総理は食料品に絞った消費税の減税策に関心を示している。実際、実現が可能かどうか、模索を始めている。もし減税に踏み出すとすれば、今後のスケジュールは、まず、7月の参院選前に大枠を決める。今の税率8%を、例えば5%にするか0%にするか。期間は1年なのか2年なのか。そのうえで、秋の臨時国会に法案を提出します。成立すれば、来年前半から消費税の引き下げが実施される見通し。ただ、自民党内には反対論が根強い。総理側近の中にも、財政赤字を懸念する声はあふれているので、今後、激しい綱引きが始まることになる」■日米関税交渉 波乱の幕開け そして問題の“トランプ関税”です。トランプ大統領のSNSを開くと現れるのが、この投稿。 トランプ大統領のSNSから 「貿易に関する日本の代表団に会えたことは大変、光栄だ。大きな進展があった!」 写真の中でトランプ大統領(78)の横に立つのは日本の交渉担当、赤沢亮正経済再生担当大臣(64)です。 関税を巡る初めての会合のため、ワシントンに入ったのです。 赤沢大臣 「(Q.トランプ大統領が出席を表明した?)大変ありがたいことだと思います」 赤沢大臣のワシントン訪問は、元々はトランプ政権側の担当者、ベッセント財務長官(62)らと閣僚同士の協議をするためです。ところが16日の朝、トランプ大統領が急きょ、自らも参加すると表明したのです。 赤沢大臣によると、ホワイトハウスでベッセント財務長官やラトニック商務長官ら同席のもとトランプ大統領と50分間面会。その後、トランプ大統領は席を外し、75分間の協議をしたと言います。 赤沢大臣 「明らかにもう、格下も格下ですので、出てきて直接話をしてくださったことは、本当に感謝しております」 予定になかったトランプ大統領の出席。どのような協議が行われたのでしょうか。 赤沢大臣 「私自身が自動車、それから鉄鋼、アルミ、10%の相互関税、すべて含めて遺憾であると、その見直しを求めるということを向こうに強く申し入れています」 ではアメリカ側、トランプ大統領からはどのような話が出たのでしょうか。 赤沢大臣 「米国の関税措置について、率直にいろいろご説明をいただき、そのうえで日本との協議が最優先であるとのご発言があったわけです」 赤沢大臣は、アメリカ側から何の話が出たかは明かさなかったものの、何の話が“出なかったか”は、明らかにしました。 赤沢大臣 「(Q.今回の協議で為替や安全保障に関する話も出たのか?)はい、この言い方をすると、ちょっと分かっちゃうところもあるんですけど、為替については出ませんでした。以上です」■“電撃参加”トランプ大統領の狙いは?ワシントン支局長 梶川幸司記者 「閣僚同士の協議に大統領が出てくるのは極めて異例。早く交渉をまとめたい、成果を出したいという『焦り』があるんだと思います。関税による経済の先行き不透明感でマーケットの動揺は現在も続いているため、短期間で一定の成果を上げることはトランプ政権にとって大きな課題。また、関税の応酬で膠着(こうちゃく)状態にある中国との交渉を前に動かすためにも、同盟国から交渉をまとめ、中国にプレッシャーをかけたい狙いも。他の国に先駆けて行う日本との交渉は今後を占う試金石となるだけに、相当な意気込みがトランプ氏にあるものと見られます」 トランプ政権にとっての試金石となる交渉。それは日本にとって良いことなのでしょうか。それとも。 ワシントン支局長 梶川幸司記者 「関税についてはトランプ氏が最終的な決定権を持っています。そのトランプ氏が交渉の入り口から乗り込んできたことで、もし交渉が早く決着できれば日本国内の打撃を最小限にできる可能性があります。一方、アメリカからすると今後の交渉の『前例』となるため、他の国に示しがつくよう、日本への要求が厳しくなる恐れもあります」