WECは忘れろ 『スーパー耐久シリーズ』の方が断然面白い 英国記者の視点

バラエティに富んだ車両が参戦 耐久レースと言えば、特注のハイパーカーと世界屈指のスポーツカーが肩を並べる世界耐久選手権(WEC)を思い浮かべる人も多いだろう。 WECは素晴らしいレースではあるが、参戦車両のコストや技術の複雑さをふまえると、2〜3年も見続けていれば少し飽きてしまうかもしれない。 スーパー耐久シリーズには多種多様なチーム、車両、ドライバーが参加する。(写真は2023年) スーパー耐久シリーズ ポルシェ、トヨタ、フェラーリのどこかが総合優勝することはほぼ間違いないし、GT3クラスはポルシェ(またか)とBMWの一騎打ちになるだろう。 さらに、パドック周辺で繰り広げられるプロフェッショナリズムはフォーミュラ1(F1)に匹敵、あるいは上回るかもしれない。そのあたりが、レース全体を少し冷たく感じさせることもある。 その解毒剤となるのが、日本で開催されるプロ・アマ共闘の選手権、スーパー耐久シリーズだ。 なんと8つのクラスがあり、一度に56台ものクルマがコースを走る(2024年)。一般的なホンダ・フィットからトヨタGRヤリス、メルセデスAMG GT3まで、さまざまな車種が参加している。 また、カルト的人気を誇る名車もちらほら見かける。筆者のお気に入りは、ST-2クラスでGRやタイプRと競い合う2台の三菱ランサー・エボリューションXだ。 グリッドの先頭と最後尾のペースの差は、マシンの性能とドライバーの腕前によって大きく開くので、退屈な瞬間は決してない。 例えば、ホンダ・シビックがフィットを追い抜こうとしているところをポルシェ・ケイマンが追い抜き、さらにそれを日産GT-Rが追い抜く、というような光景も珍しくない。同じコーナーでこのようなことが起こるのだ。うまくいくことも多いが、大波乱が起きることもある。 しかし、スーパー耐久シリーズの真の面白さは、そのラインナップの斬新さだけではない。ST-Qクラスでは、さまざまなメーカーが最新の実験車両を投入するなど、意外な技術的ホットスポットにもなっている。 現在注目されているのは、持続可能燃料である。水素燃焼のトヨタGRカローラ、バイオディーゼル燃料のマツダ3およびマツダ・ロードスター、そしてトヨタGR86、スバルWRX、ホンダ・シビック・タイプRなどはカーボンニュートラル燃料を使用している。 ST-Qクラスで走る車両にはポイントは与えられないが、各々の新技術を極限まで試すことに重点が置かれており、それでいて友好的な競争も繰り広げられる。 トヨタの豊田章男会長がGRカローラのハンドルを握るなど、著名人の参加も目立つ。 レースカレンダーも、こうした新技術が適切にテストされるように組まれている。昨年はスポーツランドSUGOでの4時間のシーズン開幕戦に続き、富士スピードウェイでの24時間レース、そしてオートポリスでの5時間レースが行われた。 わずか7戦のシーズンだが、メーカーははるかに高額なWECに参戦するのと同じくらい、多くのことを学べるだろう。 何よりも、筆者がスーパー耐久シリーズで惹かれるのは、公道や市販車との親和性の高さだ。 このレースは、世界で最も熱狂的なファンや選手たちとともに楽しむことができるだけでなく、内燃機関を少しでも長く存続させることにも役立っている。筆者はそのことに感謝している。

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