ドクターヘリの運航調整、災害時は都道府県に一元化…能登半島地震の教訓生かし厚労省が指針改定

 医師が治療しながら負傷者を搬送できるドクターヘリを大規模災害時に効率的に活用するため、厚生労働省が運用指針を初めて改定した。  都道府県の災害対策本部に離着陸場所などの調整を一元化し、ヘリを運航する病院側が治療や搬送に専念できるようにした。都道府県をまたぐ広域災害時には、厚労省に連絡窓口を設け、ヘリの需要などの情報を集約することも盛り込んだ。  新たな指針は各都道府県に3月31日付で通知された。昨年の能登半島地震では離着陸場所が決まらず時間を要したこともあり、現場での混乱をなくす狙いだ。  改定では、同本部が離着陸場所や給油場所などの調整にあたる。消防や自衛隊など各機関のヘリがどの現場に向かうのかについても、やりとりを一手に引き受ける。結果を受け、病院側が優先順位の高い場所などを判断し、運航する。  能登半島地震では、各地から派遣されたドクターヘリの離着陸場所の確保が難航した。各機関との情報共有が不十分で複数のヘリが同じ現場に向かう混乱もあった。石川県災害対策本部と、その指揮下でヘリを運航する病院側の双方に、けが人などに関する連絡や問い合わせが相次ぎ、情報が錯綜(さくそう)したことも要因とみられる。  都道府県をまたぐ広域災害時には、被災した都道府県と関係省庁などとの連絡窓口「ドクターヘリ支援本部」を厚労省内に設置することも盛り込んだ。被災地以外から派遣できるヘリの数や被災地の要望、情報を病院側にスムーズに伝える考えだ。厚労省地域医療計画課は「指揮系統を見直し、現場が混乱せず、ヘリを円滑に運航できるよう関係機関に周知していく」と話している。  ◆ドクターヘリ=都道府県が導入し、救命救急機能を持つ病院に配備している。厚労省によると、東日本大震災時に全国で26機あり、現在は57機。能登半島地震では8機が出動し、計84人を搬送した。

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