ネガティブな報告のコツは「結論」から!そこまでの努力や不幸に”共感”を求めてはいけない

上司と部下、先輩と後輩、取引先、夫婦、親子……、いつも会話がすれ違うのは、じつは対話の様式が大きく違っているから。累計100万部超の「トリセツ」シリーズ産みの親が、満を持して書き下ろしたコミュニケーションの秘訣『対話のトリセツ ハイブリッド・コミュニケーションのすすめ』から、注目の章をご紹介! 結論から話すコツ テーマを言う、数字を言う とはいえ、伝えたい内容が少し込み入っていて、結論を一文では言えないこともあるはず。そんなときには、初めにテーマを言うといい。「○○の件で、相談したいことがあります」「○○について、報告します」「○○について、提案があります」 誰かが話を始めたとき、それを聞きながらタテ型回路が探っているのは「これは何の話だ? 自分は何をすればいい?」なので、「これは何の話か」が最初に提示されれば、脳のシンキングコストをうんと下げられる。逆に言えば、ゴールの見えない話には、「これは何の話だ?」という信号が何度も強く起こって空回りするので、本当に苦しいのである。 そして、項目が複数あるときには、あらかじめ項目数を告げよう。「企画書の変更点について、話があるの。ポイントは3つ」「解決策についてお話しします。方法は2つあります」 タテ型優先の人は常にゴールを探しながら人の話を聞いているので、項目数が複数あるときは、最初にその数を知らせてあげたほうが親切なのである。「3つ」と言われれば、脳内に3つのゴールを設定して、それをクリアするゲームステージのようにして、話を聞いてくれる。これで、タテ型が苦手な長い文脈にも耐えられる。あらかじめ3歩行くとわかって跳ぶ三段跳び——あれが「1歩のつもりで跳んだら、もう1歩あると言われ、これで終わりかと思ったらまだ1歩あった」だったら、へとへとになっちゃうでしょう? それと同じだと思ってあげよう。 ネガティブな話は、結論から言わないとボコボコにされる 「相談があります」「報告があります」と前置きしたからといって、やはり「結論は先に、できるかぎり簡潔に」が基本。延々と事情を述べるのも止めよう。特に、ネガティブな事情は要注意。 ネガティブな報告をするとき、あるいはネガティブな提案をするとき、人は、つい事情から話してしまう。「○○の件、うまくいきませんでした」を言う前に、そこに至るまでの努力と不幸を先に聞いておいてもらいたい。「そんなに手を尽くしたのなら、しかたない」と納得しながら、結論を聞いてほしいからだ。 一文で手短に言えるのならそれもありだが、事情が複雑だったり、話題が複数に及ぶときは、やはり、どんなに言いにくくても、結論から言わなくてはならない。理由は、あなた自身の身を守るためだ。 たとえば、「あんなことがあって、こんなことがあって、そこにそんな事情も加わって、動きが取れなくなった。ついては、来月の開発目標をいったん下方修正して、事態の収拾に当たりたい」のような話し方をすると、タテ型の上司は、「あんなこと」「こんなこと」「そんな事情」にそれぞれ即座にアドバイスをくれる。なにせ「これは何の話だ? 何をすればいい?」という強い意志で話を聞く人たちなので、雲行きが怪しい話には、即座に食らいついてくるのである。もちろん、攻撃するためじゃなく、大切な相手を守るために。 ところが、その先、ネガティブな提案をしようとしている身になってみると、いちいち責められている気分になってしまう。タテ型の特性上、「こうするべきだった」「目論見が甘かった」「もっと早く報告すべきだった」などとダメ出しの列挙になるので、「お前は、とことんダメな奴だな」と言われているような気分になってくるのだ。 これでは、ネガティブな結論なんてとても言えやしない。ヨコ型は、「そんなことがあったの?」「そりゃ、大変だったね」と話を聞いてもらって、言いにくい結論を何とか言い出そうとしていたのだから。 このため、どうしたって「上司はちゃんと話を聞いてくれない」「気持ちをわかってくれない」「私ばっかり責められる」と思い込むことになる。プライベートな関係でこれが起こると、追い詰められて「どうせ、私が悪いのよ」「全部、私が悪いわけ!?」と逆上する羽目に。 タテ型は、愛と正義と誠意で、自分に今できることを全力で尽くしただけなのに、ヨコ型は深く傷ついて先に進めなくなってしまう。これはお互い不幸なことだし、実はよく起こること。こういうことを避けるために、「相手の話は共感で聞く」というマナーがあるわけだけど、ヨコ型のほうも、自分の身を守るために、ネガティブな話を聞いてもらうときこそ「結論から言う」を徹底したほうがいい。いくら「共感で聞いてあげよう」と思ってはいても、ことが深刻なほど、相手を案じているほど、タテ型の速攻アドバイスは止められないのである。 美しきタテ型話法 いろいろな事情が重なって、ネガティブな提案を余儀なくされたときも、「相談があります。来月の開発目標をいったん下方修正しようと思うんですが」と結論から言う。 相手の反応を確認してから(「どうした?」「理由は?」あるいはうなずいて先を促してくれたら)、「予想外の事態がいくつか起こって、チームが疲弊しているためです。遅れは2ヵ月でリカバーできる範囲だと思っています」のように、手短に理由と見込みを述べる。 その後、一呼吸おいてから、「開発工程に入って、客先から、いくつか仕様変更を受けました。一つ一つは些細なことだったので、現場のエンジニアが引き受けたんですが、客先のチーム内での合意が取れていなかったようで手戻りがあり、全体の整合性に不安が生じました。いったん全体性の見直しをかけたいんです」のように概況を述べる。 こんなふうに報告されれば、上司はぐうの音も出ない。「客先のチームの足並みが揃っていないのは、うちにとってもリスクだね。特にトップとナンバー2の相性は見ておいたほうがいい」くらいのアドバイスは受けても、いきなりのダメ出しを食らわないで済む。 【おすすめ】言いにくい結論には“キャッチフレーズ”を! キレる前に試したい、爽やかにネガティブな話をするコツ

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