馬力のあるクルマが、必ずしも楽しいとは限らない 英国記者の視点

シャシー設計にも目を向けるべき 最近のAUTOCARの試乗レビューをいくつか見てみると、良識的な小型EVのルノー5には4.5つ星を与えているが、刺激的なはずのポルシェ・マカン・ターボ・エレクトリックとマセラティ・グラントゥーリズモ・フォゴーレには3.5つ星しか与えていない。 【画像】ポルシェの人気SUVがフル電動化【ポルシェ・マカン・エレクトリックを写真で見る】 全26枚 AUTOCARは時代遅れでユーモアのセンスを失ってしまったのだろうか? それとも、EVはどれもこれもつまらないということなのだろうか? 四輪駆動の高出力EVは、必ずしも面白いわけではない。 AUTOCAR いや、そうではないと願いたい。ここで示されているのは、自動車メーカーは、最上級のハイパフォーマンスモデルの設計アプローチを根本的に考え直す必要があるということだ。 かつてはもっと単純で、「速い=良い」だった。1990年代のBMW 3シリーズを思い浮かべてみてほしい。あたなが欲しいのはフル装備の328i、あるいは予算に余裕があればM3ではないだろうか? 4気筒エンジンは少々うるさいし、下位モデルの6気筒エンジンもまだそれほど速くはないが、M3のエンジンになるとモータースポーツの刺激が加わってくる。 一般的な高性能EVでは、追加モーターによる四輪駆動と、さらに多くのパワーが得られる。 しかし、筆者はそれらが特に望ましいとは思わない。四輪駆動は、雪山を登ったり、トレーラーを牽引したりする場合には非常に便利だが、最新のトラクションコントロールやスタビリティコントロール・システムがあれば、公道ではそれほど必要にならない。もし、公道でも四輪駆動が必要なほどパワフルなクルマなら、それは単にパワーがあり過ぎるだけかもしれない。 そういえば、90年代のM3のエンジンは、一般的な320iのエンジンとは根本的に異なるキャラクターを持っていたが、600馬力のEVでは同じようなものばかりだ。 また、廉価モデルがパワー不足というわけでもない。ベーシックなマカン・エレクトリックでも最高出力は360ps、0-100km/h加速は5.7秒で、一般的に公道で使うには十分すぎるほどの性能がある。 特にマカン・ターボ・エレクトリックは、下位モデルの劣化版といった印象だ。M3で316iより燃費が悪くても許せるのは、6気筒エンジンが7200rpmまで回転し、素晴らしい音を響かせるからだ。 EVの高価なバージョンで航続距離が短く、ランニングコストが高くなるのは、何の見返りもないと受け入れがたい。 解決策は、馬力という “麻薬” から抜け出し、別の楽しみを見つけることだ。ルノーの考えは正しい。アルピーヌA290はルノー5より少し速いだけだが、シャシーの差別化に多くの労力が費やされているため、もっと楽しく、もっと遊び心があり、もっと魅力的だ。 アイオニック5 Nも同様である。ヒョンデは、快適でゆったりとしたアイオニック5を、本格的なドライバーズカーに変えた。これは、シャシーのフィーリングがまったく異なるためであり、また、ヒョンデが型にはまらない大胆な発想をしたためでもある。 電気モーター自体が目立った音を発しないのであれば、まあ、好きなように音を鳴らせばいい。そして、2つのアクスルの間に物理的な接続がなければ、トルクの配分はほぼ無限に変化させることができる。 アイオニック5 Nは、電気駆動の可能性を最大限に活用し、完全に独自のフィーリングを生み出している。 もう1つの進歩は、EVの普及によって後輪駆動が再び一般的になりつつあることだ。現状では、ほとんどのメーカーはオーバーステアやアクシデントを恐れ、ステアリングフィールの向上やシャシーバランスの改善といった、潜在的な可能性を活かしきれていないように見える。 最新のトラクションコントロールは非常に洗練されており、電気モーターのパワーを正確に制御できるため、シャシーバランスの世界にはまだまったく開拓されていない領域があると思う。モーターの追加でその扉を塞がない限り。 小さな爆発よりも人工的で本能的ではない、という意見もあるかもしれないが、法規制が現在のままなら、新しい内燃エンジンをあと5年は楽しめる(2025年3月執筆時点)。 今のうちにエンジンを味わっておこう。しかし、その時間を使って、パワー以外のものにも目を向けるべきだ。

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