熊本地震から9年となりました。地震が起きたときにどう対応するのか。家族や身近な人と防災について話すきっかけ作りになるサービスがLINEヤフーから配信されています。どういった思いから開発したのか、ネットだからできる防災対策とはどんなものがあるのか、取材してきました。 ■「スマホ避難シミュレーション」で考える日々の防災 熊本地震から9年。地震など災害対策の重要性は年々高まっています。しかし、内閣府の世論調査では、「身近な人と災害時のことを話し合ったことがない」と答えた人が4割に上りました。その理由として最も多く挙がったのが、「話し合うきっかけが無かった」。そんなきっかけ作りを目指したサービスがあります。「スマホ避難シミュレーション」。一体どんなサービスなのでしょうか。 ネット黎明期から日本のインターネットを支えてきた「Yahoo!JAPAN」、そして2011年にサービスを開始した「LINE」。このLINEとヤフーのグループ会社が合併して2023年に誕生したのが「LINEヤフー」。 今回はプロジェクトを担当した大藤さんと共に、森葉子アナウンサーが実際にシミュレーションを体験してみました。 LINEヤフー株式会社 ブランド企画部 企画担当 大藤彰子さん 「スマホ避難シミュレーションは外出先からの避難と自宅からの避難、両方のストーリーを体験できます」 「ずいぶん大きな地震だったので、その情報がスマートフォンに届きます。Yahoo!の災害通知とLINEスマート通知で情報を確認することができる。どちらか選んでいただけますか」 このシミュレーションでは、身近な状況で災害が起きた場合の行動をクイズ形式で学びながら、スマートフォンでどんな情報を確認できるのかを体験することができます。防災アプリの使い方だけでなく、LINEの画面でも…。 大藤彰子さん 「LINEのホーム画面に緊急時に『安否確認』という機能が表示される。ここから『登録情報』、お友達の登録情報を確認できます」 森アナウンサー 「動いていたキャラクターが自分のように思えてきました」 大藤彰子さん 「ストーリーに入り込んでいただきたいというところもありまして、震災があった時にどう行動するのか、防災意識を知識と共に高めていただく。Yahoo!JAPANとLINEのサービスや機能を使いながら、どういうものが防災に役立つか、知っていただくいい機会になるかなと」 このシミュレーション、実は2021年のスタートから毎年3月と9月に地震編と水害編の二つが毎年リニューアルしながら公開されています。 大藤彰子さん 「(Q.このシミュレーションを始めたきっかけは?)弊社のアンケートで災害に関する防災行動をしたい意識はあるが、実際に行動に移せていないというユーザーの声があった。どうすればよいかというところで、気軽にどなたでも体験しやすいシミュレーションゲームという形で体験してもらえるときっかけにもなる」 「(Q.利用者からの反応は?)実際に行動に移すきっかけになった声も届いています。『防災って何をすればいいだろう』っていう漠然としたものがあると思うんですけれども、一連のストーリーを体験いただいて、最後に『自分だったらどうなるんだろう』と考えたり、親子で話すきっかけになったり、きっかけ作りができたというところはとてもうれしいですね」 ■LINEヤフーが考える 防災行動の役割 このシミュレーションでは災害情報を通知するアプリの動きも体験することができます。この災害情報を出しているアプリが「Yahoo!防災速報」です。このアプリを手掛けている堤さんにもお話を伺いました。 LINEヤフー株式会社 Yahoo!天気・災害 企画担当 堤浩一朗さん 「災害時に気象情報や自治体からの情報、警察からの防犯情報などを受け取れる。災害や困ったときにすごく助かる助けになるようなアプリかなと」 このアプリには、自治体などからの情報の他にも、ユーザーから寄せられた情報を載せた「災害マップ」という機能もあります。災害時はデマの拡散が問題になりますが、その対策はどうなっているのでしょうか。 堤浩一朗さん 「言える範囲で一番分かりやすいのはそもそも現在地にいないと投稿できない。例えば東京から能登の『災害が起きてます』という情報は投稿できない形になっている。それ以外は最後まで流れてきたところは『いたずらの投稿だな』とすぐ分かるものは、目視で『これはいたずらですよね』と担当者でチェックしてやっています」 ヤフーが防災に関する取り組みを始めたきっかけは、およそ20年前の新潟県中越地震でした。 堤浩一朗さん 「(当時)インターネットはそれなりに普及し始めていたが、災害情報を伝えるメディアとして認知されていなかった。テレビとかですぐやっているのを会社の人間が見て、『これはインターネットでもやるべきだ』というところで始めたと聞いています。災害って本当に災害ごとで必要となる情報は違ってきたりする。能登半島地震の時は災害マップに給水所やお風呂の情報をいっぱい載せた。フレキシブルな対応ができるのはインターネットやスマートフォンのアプリの強みかなと」 「(Q.スピード感ある情報提供でどんな役割を果たしたい?)判断ができる情報をお伝えしたい。その人が今ここに留まるべきか、避難すべきか、判断材料になりうる情報を出していきたいなと思っています」 今回のシミュレーションを手掛けた大藤さん、実は熊本地震では親戚が被災されたそうです。 大藤彰子さん 「熊本地震のときに親戚たちが多く住む地域だったので、連絡をもらえるまで不安だったと思う。防災というのは知識があればあるほど落ち着いて行動できるということを実体験でも感じているし、最終的に自分や家族の命を守ることにつながると年々実感していて、企画の方にも思いが向いていくというのはあったと思います」 「(Q.今感じる課題や今後については)そもそも避難シミュレーションを体験していない方に『どうしたら体験してもらえるだろう』『知ってもらえるだろう』『どうやったら興味を持って、実際にスタートボタンを押して最後まで体験してもらえるのか』『防災行動のきっかけにしてもらえるのか』まだまだ課題がありますので、これからも考えていきたいなと思っています」