宮城県岩沼市の海岸で、保育士の行仕由佳さん（35）の遺体が発見されてから3日目。事件の輪郭が徐々に明らかになってきました。 【画像】「職場に忘れ物を」そのあと何が？犯人像は？“保育士”殺人死体遺棄事件 ■遺体発見現場に「大量の血痕」 遺体を目撃したという男性が取材に応じました。 遺体を目撃した今泉日法さん　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「女性が倒れてたのは、あのこっちの石ありますよね。一番端。頭は海の方向いて、足は西の方向いて、女性が仰向けに倒れていた。波は穏やかで、遺体があるとこまでは、全然、海の水は来てなかった。いくら潮が満ちても、一切、あそこまではこない。遺体から1メートル半ぐらいのところに、こういうふうに（手を広げて）血痕がいっぱい落ちていた」 行仕さんは、胸などを複数回刺されていて、司法解剖の結果、死因は失血死だったことがわかっています。捜査関係者によりますと、傷の一つは、心臓に達するほど深く、強い殺意があったとみられるといいます。 男性が見たという血痕は、遺体の近くだけにとどまらなかったそうです。 行仕さんが発見されたのは、東日本大震災後に再整備された防潮堤の外側。周囲に建物はなく、夜に人が行き交う場所ではありません。ただ、防潮堤の内側までは、車で行くことができます。行仕さんが、この場所にどのように来たのか。もしくは、刺されてから連れてこられたのかは、わかっていません。 現場では、15日も警察による現場検証が続けられました。スマートフォンや財布など、行仕さんの所持品は見つかっていません。ただ、警察によりますと、発見時に脱げていた靴は、すでに見つかっているといいます。 行仕さんが行方不明になったのは12日昼ごろ。子どもに「忘れ物を取りに行く」と伝え、外出しました。そして、翌日13日午前10時ごろ、遺体で発見されました。 ■「職場に忘れ物を」その後何が 行方不明になる直前、自宅を出たときの状況について新たにわかったことがあります。行仕さんは「職場に忘れ物を取りに行く」と言って、アパートを出たといいます。 行仕さんは、車を持っていなかったそうです。自転車が残されていたことから、徒歩で出かけたとみられます。職場までは、電車を使い約30分の距離。しかし、警察は、自宅を出たのが、最後の生存確認としているため、職場には現れなかった可能性があります。 行仕さんは8年前、まだ小さかった子どもと仙台市の自宅に2人で引っ越してきたといいます。 子どもの同級生の保護者は口を揃え、「子ども思いだった」と話します。仕事をしながらも、学校行事には欠かさず参加していたそうです。 行仕さんが勤めていた保育園では、子どもだけではなく、保護者からも信頼されていました。 保育園の保護者　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「優しい、すてきな先生でした。娘の様子をよく見てくれて、迎えに行ったとき『きょう一日こんなことしていたよ』と教えてくれる。いつも優しい先生。ニコニコしてて」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「（Q.お子さんも先生のこと？）大好きです」 行仕さんは、山形市で育ちました。同級生は、まだ受け止め切れていません。 中学時代の同級生　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「バドミントン部ですごく強い子でした。東北大会まで行って、ダブルスで。友だちもたくさんいて、明るくて中心にいるような子。ムードメーカーでした。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「（Q.事件をどう受け止めていますか？）びっくりしたのが一番の印象。本当になんでこんなことに…」■周囲に「大量の血痕」犯行現場は ◆遺体の状況などから見えてくることについて、元埼玉県警捜査一課の佐々木成三さんに聞きました。 佐々木さんは「失血死するほどの刺し傷だったことを考えると、その場で大量の血が出る。殺害場所もこの海岸付近である可能性が高まった」とみています。 犯人像については、「土地勘があって、人気のない場所として、海岸を選んだ可能性が考えられる。被害者が自ら人気のない場所に行って、偶然、面識のない者に襲われることは考えづらい。被害者と犯人の間で、何らかのやり取りがあって、接触することになったのでは」といいます。 そして、佐々木さんは、今後の捜査について「ポイントは、被害者の足取り。地方や海の近くは、防犯カメラの設置台数が少ない。捜査は難しくなるが、自宅近くの防犯カメラからリレー捜査を行い、犯人と被害者の接点など、手掛かりを見つけていくのでは」と話します。