震える左手で描く愛犬、脳性麻痺の女性が念願の個展開催「障害があっても心は自由でいたい」

 10年前、60歳を目前にして本格的に絵画を始めた脳性麻痺(まひ)の女性がいる。  下半身と右半身が動かない中、震える左手で少しずつ愛犬を描き続けてきた。大阪市内で15日から、念願だった個展を開く。(上田裕子)  同市城東区の原田由紀子さん(69)。1歳半で脳性麻痺と診断された。両親からは「おとなしくして人に迷惑をかけず、かわいがられるように」と言われて育った。元々絵に興味があったが、両親は原田さんを外出させたがらず、絵画教室に通わせてもらえなかった。  20歳過ぎから30年以上、障害者支援施設で過ごした。食事や入浴、レクリエーションなど、学校の時間割のように決まったスケジュールの生活に息苦しさを感じ、2011年に施設を出てからは、ヘルパーや知人を頼りながら暮らしてきた。  「障害があっても、心は自由でいたい」と話す。15年には保護犬のトイプードル「さくら」を飼い始めた。施設ではペットを飼えなかったため、長年あこがれていたという。「なんてかわいらしいんだろう」。何げなく色鉛筆をとったのを機に、絵画にのめりこんだ。  左手で握るように色鉛筆を持ち、数センチの短い線をつなげて少しずつ描いていく。同系統の色を細かく重ね、ふわふわの犬の毛並みを表現。体の下には影をつけ、立体感を表現する。  当初は動物の表情や生き生きとしたしぐさをうまく表現できなかったが、動物画家の友人や地元の絵手紙教室の講師からアドバイスを受け、少しずつ上達した。2週間〜1か月かけて1点を描き上げる。作品は10年間で80点を超えた。  個展は大阪市福島区のギャラリー「studio coote gallery」で20日まで開催し、約30点を展示する。「障害者が描いた、というフィルターをかけず、純粋に楽しんでほしい」との思いから、案内状や会場の作品説明では障害のことに触れていない。  原田さんは「絵を描くと、障害の有無に関係なく、社会の一員として生きていると実感できる。これからも見てくれた人に喜んでもらえる作品を手がけたい」と話している。

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