4月初頭、まだ寒さが残る田舎町のスーパー。夜、真っ暗になった店内から、短髪の男性が出てきた。3月31日、フジテレビらが設置した第三者委員会から、元アナウンサー・X子さんへの性暴力や人権侵害を認定されたタレント・中居正広氏(52)の長兄である。 【写真】中居氏の小学校時の卒アル。「タレントU」らが滞在したとされるスイートルーム、帽子にサングラス、マスク姿で外出する中居氏ほか 駐車場に停まる愛車に戻ってきた長兄に声をかけると、「こんなに遠くまで、わざわざありがとう」と、弟・正広とよく似た柔和な笑みを浮かべる。タバコを吸いながら、最愛の弟について約30分、思いを語った。【前後編の後編。前編から読む】 「俺は何もわからないけど、やっぱりどうしても兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」──中居氏の長兄は、第三者委員会が認定した弟の「性加害」について、こう言葉を絞り出した。公表された中居氏の言動は、兄としては信じがたいものも多いのだろう。10度を下回る寒空の下、長兄は心配そうに夜空を見上げながら、言葉を紡ぐ。 「全く連絡取っていないんだ。あっ、でも、メールはしたかな、騒動が起きてからかな。最後に連絡を取ったのはメールで、『大丈夫か? 何か手伝うことがあればやるよ』と伝えたら、『ありがとう、大丈夫だよ』とだけ返事があった。それきり、俺からも全然連絡してないのよ」 「お母さんはすごく心配してる。本人に電話しても折り返しがないって、俺に電話してくるくらいだから。でも、俺たちが騒いだって仕方ないって、俺も(母親に)言っているんだよ。 連絡をしなくなったのは、やっぱりある程度距離を保ってるのかな。色々心配されるのもストレスになるんじゃないかな。だから、外野が騒ぐことではないって、俺は皆に言っているのよ、そっとしておくのも優しさじゃないかな」 第三者委員会によって「性暴力」を認定された中居氏。それでも「本当にあったことだとは思えない」と口にした真意を改めて問うと、こう答えた。 「やっぱり信用じゃない。俺は正広を信用しているんだよ。俺が勝手に思ってることだけど、別に兄が弟を信用したって、他の人に迷惑かけるわけじゃない。自分の気持ちだよ」 「優しいし、家族思い。人前に出るようになっても、それは変わらないよ。兄としては自慢だよ、だってあんな大スターの兄には、なかなかなれないからね。色々してもらったし、感謝しかない」 中居氏もまた、彼を自慢の兄と思ってきたことだろう。1997年、「ザテレビジョン」のインタビューでも、2人の兄について《この兄ちゃんたちでよかった》と感謝を口にしていた。それだけ、兄弟間には強い信頼関係があるのだろう。 スーパーの駐車場に置かれた長兄の車は、星空が映るほどピカピカに磨かれていた。中居氏も“シャコタン(車高を低くすること)”の「Y33シーマ」と呼ばれる車への「愛」をよくメディアで語っていたが、長兄の車もシャコタンだった。車の趣味が同じなのかと問うと、彼は嬉しそうに話した。 「趣味は合うんだよね。(弟と)車の話はよくしてた。俺ら昭和世代はヤンキーに憧れてた世代だからさ、シャコタンとか、こういう車に憧れるのよ。音楽も、最近の曲はあまりわからないけど、昭和の音楽はいいよね。スマホじゃなくてさ、レコードでガンガン聴いてさ」 中居氏も数々の名曲を届ける存在だったが、長兄からするとこれまでもずっと「弟」だったのだろう。 ──本人には、これからどうしてほしいですか? 「ゆっくり休んでほしいね、ここまでよく頑張ってきたなと思うよ。むしろ今まで、38年も真面目にやってきたんだから。兄としては、ただ誇らしい。そう、やっぱり真面目に、一生懸命やってきたからこそ、ファンのみなさんも支えてくれてたんだと思う。 まあ本人は、話す時が来たら話すんじゃないかな。それはもう、時間が必要だから。だから、しばらくはもう、自分のために時間を使ってほしい」 そう言うと、「遠くまでわざわざありがとうね」と記者をねぎらい、車に乗り込んで暗い闇に消えていった。 1月23日、ファンクラブのウェブサイト上で「さようなら…。」と別れを告げて以降、口をつぐんでいる中居氏。家族も心配する“真相”が、本人の口から語られる日は来るのか。