4月初頭、まだ寒さが残る田舎町のスーパー。夜、真っ暗になった店内から、短髪の男性が出てきた。3月31日、フジテレビらが設置した第三者委員会から、元アナウンサー・X子さんへの性暴力や人権侵害を認定されたタレント・中居正広氏(52)の長兄である。 【写真】学ラン姿での中居氏の卒アル。「タレントU」らが滞在したとされるスイートルーム、帽子にサングラス、マスク姿で外出する中居氏ほか 駐車場に停まる愛車に戻ってきた長兄に声をかけると、「こんなに遠くまで、わざわざありがとう」と、弟・正広とよく似た柔和な笑みを浮かべる。「タバコ、吸ってもいいかな」と言って、長兄は広い夜空を見上げながら、最愛の弟への思いをポツリポツリと話し始めた──。 中居氏をめぐっては、昨年12月に「女性セブン」「週刊文春」などがX子さんとのトラブルを報じた。トラブルを誘引した同局の体質が問われるなど、騒動は日に日に拡大。翌年1月には、中居氏は出演する全てのレギュラー番組から姿を消し、1月23日付で芸能活動引退を発表するに至った。 フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会によって3月31日に公表された「報告書」には、国民的アイドルグループのリーダーだった「中居くん」のイメージとはほど遠い“悪行”が記されていた。 「報告書には、中居氏と元フジテレビアナウンサーだったX子さんとの出会いや、複数回の会食、そしてトラブルが起きた昨年6月の中居氏所有のマンションでの出来事に至るまでの経緯が、詳細に記されていた。中居氏が、出演する番組プロデューサーだったフジ編成幹部・A氏と連携してX子さんを食事に誘う様子や、トラブルを揉み消そうとする2人の動きも、ショートメッセージなどのやり取りから判明しています。 中居氏のマンションで起きたトラブルの詳細については、第三者委員会の守秘義務解除の要請に中居氏側が応じなかっため、報告書にも記されていない。それでも委員会は、X子さんのフジテレビ関係者への被害申告や中居氏とのやりとりなどから、WHOの基準に則って中居氏の行為を『性暴力』『重大な人権侵害』と認定しました」(全国紙社会部記者) 1月に引退した中居氏はその後、表舞台に出てきてはいない。しかし報告書が公表される約3日前、「デイリー新潮」(4月4日配信)が中居氏の憔悴した姿を捉えていた。芸能関係者が語る。 「記事によると、中居さんは自ら高級外車のハンドルを握り、都内にある一級建築士の設計事務所を訪れていたといいます。全身をスポーツウェアで固め、キャップとサングラス、マスクで顔を隠していましたが、キャップの後ろからはみ出た長い白髪がその“苦悩”を物語っていた。 最近は外出も難しいでしょうから、美容院に行くこともできずにいたのかもしれません。恋人のダンサー女性をはじめ親しい人のサポートを受けながら、今後の流れを考えているのでしょう」 未婚を貫いてきた中居だが、16歳で「SMAP」のメンバーになった頃から何よりも大切にしてきたのが、家族の存在だった。中居家を知る地元の関係者が語る。 「中居さんは3兄弟の末っ子で、上に2人お兄さんがいます。中居さんが芸能界デビューしてからも何度も家族旅行に行くほど仲がよく、2008年の『オレンジページ』のインタビューでは『僕はもう一回、2人の兄と両親の家族5人で住んでみたい』と語ったこともありました。2015年に父親が他界する前も、中居さんは忙しい合間を縫って看病に通っていた。 長男は、中居さんの5歳年上。パンチパーマがトレードマークで、地元でも仲良し兄弟の一番上として知られています。中居さんが体調を崩した時にも駆けつけるほど面倒見がよく、中居さんと一緒にタレントの柳沢慎吾さんと食事した際には『もし(正広が柳沢に)生意気なこと言ったら、ぶっ飛ばしてくださいよ』と告げるなど、人情深い人物です。ずっと地元のスーパーで働いていて、中居さんの兄であることはみんな知っていますよ」 末っ子の窮地に、中居家の人々はどのように感じているのか。仕事終わりの長兄に話しかけたのが、冒頭の場面である。 トレードマークのパンチパーマは今は封印しているのか、シンプルな短髪で、黒のダウンを着ていた。記者が声をかけると、「こんなに遠くまで大変だったでしょう」と気を遣ってくれた。そして約30分間にわたって、弟について語ったのだった。 ──先日の第三者委員会の発表はご覧になられましたか? 「俺は何もわからないけど、やっぱりどうしても兄として、あれが本当にあったことだとは思えなくて。弟がやったことだと思えないんだ。本人は何も言っていないわけだから……。守秘義務があるから、本人はそれを守っているんだろうね」 長兄は心配そうに夜空を見上げながら、言葉を紡ぐのだった──後編記事では、トラブル後中居氏から長兄に届いた「メール」の内容や、兄弟で過ごした過去の思い出などについて、詳報する。