「お酒も塩分もまったく控えていません」 40代後半の頃、最高血圧が220という状態が5年くらい続いた時期がありました。それでも特に何もしていませんでした。 僕自身、血圧が高いこと自体、全然悪いことだと思っていなかったのです。血圧が高いと脳の血管が破れやすいとします。それを避けるために、血圧を下げて血管への負担を和らげるというのは一つの考えです。しかし、僕は血管が破れないように、血管を丈夫にしようと考え、なるべくタンパク質を摂る生活を心がけていました。 塩分摂取量を控えると死亡率が上がるリスクも ただ、一つだけ見落としていることがありました。血圧が高すぎると、心臓への負担が強まり、医師から「このままでは、心不全になりますよ」と忠告され、薬で血圧を下げることにしたのです。しかし、正常値とされる140未満まで下げてしまうと頭がフラフラする。それで医師が処方した薬の半分程度を服用することにして、今も最高血圧が170くらいになるようコントロールし続けています。 塩分は一切控えていません。そもそも1日の塩分摂取量を7.5g未満に抑えるという目安は、医学的根拠のないものです。米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された論文によれば、「1日の塩分摂取量が10〜15gの人の死亡率が一番低い」とされています。それを7gまで下げると40％も死亡率が上がるというのです。塩分を控えるという、原始的で危険な方法を僕は支持することができません。 お酒もまったく気をつけていません。僕は、自分の楽しみを減らすことは免疫力の低下につながると思っています。塩分やお酒を控えて、生活の質が下がり、免疫力が落ちたら、がんで死ぬリスクが高まります。生活の質を下げて他の病気にかかるくらいなら、血圧は高いままでいい。そう考えています。 和田秀樹（精神科医） 「週刊現代」2025年4月5・12日合併号より 失神して転倒、そのまま寝たきりに…「血圧下げすぎ」が引き起こすヤバすぎるリスク