今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。 原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。 「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」 彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。 森永卓郎氏が全日本人に送る最期の提言！　激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟を『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。 『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第55回 ｢S＆P500」「オルカン」だけでもいい 新NISAのつみたて投資枠で買うべき商品として、「S＆P500」や「オルカン」がよく言及される。これら2商品に資金を集中するのはリスクが高い、という意見もあるが、私は多くの個人投資家の場合は気にする必要はないと思う。 デイトレーダーや専業投資家なら、個別銘柄を選別したり、あるいは短期的な値動きを追うこともできるだろうが、多くの人は仕事をしながら、資金の一部を運用しているに過ぎない。そうした場合、投資の勉強に割ける時間も限られているだろうし、「ある程度簡単で、かつ安全」な方法を取るしかない。 そういう人におすすめな投資手法が、いわゆるインデックスファンドの長期積立投資だ。 長期積立投資でどのファンドを買おうかという場合に、過去の運用成績から考えて、米国株中心のファンドを選択するのは当然の判断だろう。「S＆P500」や「オルカン」はインデックスファンドであり、組み入れ銘柄は定期的に見直されているので、下落のリスクもある程度限定されている。それに運用コストも低く設定されているので、初心者におすすめできるファンドとして、人気が集まるのは当然だろう。 何も考えずインデックスファンドに投資する インデックス投資は単に簡単なだけでなく、「最も儲かる方法」でもある。 1973年に刊行された『ウォール街のランダム・ウォーカー』（日本経済新聞出版）という投資の名著があるが、この本は「株式相場が上がるかどうかは完全にランダム」であり、「上がるかどうかを予想することはできない」としている。 相場が上がるかどうかを知ることは不可能なので、普通に投資していても「絶対に儲かる」ことはなく、儲ける難易度は高い。唯一リスクと難易度を抑えて儲ける方法は、「いろいろな銘柄に分散投資するインデックスファンドに長期積立投資すること」だ、というのがこの本の主張だ。 実際、「投資の目利き」が銘柄を選んで買う「アクティブファンド」の成績はたいてい「株式指数に合わせて買うインデックスファンド」に劣る、と言われる。 もちろん、インデックスファンドを超える成績をあげているアクティブファンドも存在している。だが、「何も考えずインデックスファンドに積立投資する」ほうが儲かることが多いわけだ。 「相場は見ない・何が起きても買い続ける・個別株には手を出さない」…投資初心者の「鉄則」を森永卓郎さんの息子・康平さんが解説！