「命を救う技術開発」 ロボットや飛行機 地下空洞を調べる「スケルカー」も…いつ起こるかわからない災害や事故に備える

全国で相次ぐ道路の陥没、そして自然災害。いつどこに危険が潜んでいるか分かりません。そんな中、命を救うための技術開発が進んでいます。 【写真を見る】「命を救う技術開発」 ロボットや飛行機 地下空洞を調べる「スケルカー」も…いつ起こるかわからない災害や事故に備える 今年1月、埼玉県八潮市で発生した道路の陥没。地中に埋まった下水道管の破損が原因とみられ、男性1人の行方がいまだわかっていません。 さらに、この地方でも… (中島胡桃記者)「あちらの車の前輪が道路に開いた1mほどの穴にはまってしまったということです」 2月には名古屋市緑区で、道路が陥没し、乗用車のタイヤがはまる事故が発生しました。この道路では、名古屋市が古くなった水道管を取り替える工事を行っていました。 各地で相次ぐ陥没事故。埼玉県の事故を受け、全国で下水道施設の緊急点検が行われました。ただ、下水道管の長さは名古屋市だけでも約7900km。そのうち4分の1にあたる約2000kmが、一般的な耐用年数といわれる50年を超えています。広範囲に広がる調査には人手も時間も必要です。 道路が“透ける”「スケルカー」の実力は? そんな中、活躍しているのが、センサーが取り付けられた作業用トラック「スケルカー」。その名の通り、地下が「透ける」ように分かる、「見えない空洞」を調べる車です。 電磁波の跳ね返りで地下の状況を調べます。道路を走るだけで地下の調査ができるため、交通規制などをかける必要がありません。2008年に実用化され、改良を重ねながら愛知県や名古屋市など、全国で調査を行っています。 (ジオ・サーチ中部事務所 佐藤竜聖さん) 「(Q:通常の走行スピードでデータが取れるのか?)そうですね。時速100キロまで出して計測できるので、普通の道路だけではなく高速道路の橋梁(きょうりょう)調査などでも使用されている」 一見、問題ないように見える道路にも思わぬ危険が潜んでいるといいます。 壊れた場所を直す前に「防ぐ」 こちらは過去の調査で見つかった、地下の空洞。道路には、少しひび割れがある程度ですが… (ジオ・サーチ中部事務所 佐藤竜聖さん) 「深度を深い方向にどんどん下げていくと、丸くちょっと黒くなるのが分かると思う。ここは実際に空洞がある」 埼玉県の陥没事故を受け、愛知県を含む6都府県からの委託で、延べ1600kmで緊急調査を行ったスケルカー。全国で相次ぐ、道路の陥没。「壊れた場所を直す」のではなく、「事前に防ぐ」計画が必要だと訴えます。 (ジオ・サーチ中部事務所 横山陽子 所長) 「平時から危険な空洞を見つけて先に直す。空洞があるような所は、下とか周りにあるインフラが悪いんじゃないか。そこを今度はインフラの点検をしていく」 災害時に活躍 命救うロボット 去年の元日に起きた、能登半島地震。多くの住宅が倒壊し、道路がふさがれたことで、車や救急隊が通れず、救助や支援に時間がかかりました。 雨の中、訓練用のがれきの山を軽々と乗り越えるのが、ロボットです。 (愛知工業大学 奥川雅之 教授) 「モーターを入れずに、フリーで動くようにしているのが特徴。ロボットが移動して障害にぶつかると、自然にサブクローラーが持ち上がる。障害がなくなると重力によって下がる。そういう移動ができる」 愛知工業大学と東京の機械メーカーが共同開発しました。災害時の活用を視野に、約10年前から豊田市と訓練を重ねています。 (愛知工業大学 奥川雅之 教授) 「ロボットが遠隔操縦によって、先に中に入っていって様子を調べる。特に温度がどうなっているか、空間の広さ、間取りを主に調査する」 火事などで人が入れない建物に、人が倒れている場合、建物の中が見えない場所からでも、ロボットからの映像で操作できます。 (愛知工業大学 奥川雅之 教授) 「センサーを使って、体育館の空間の広さを表示している。レスキュー隊員からは通路の幅や壁までの距離を知りたいと言われている」 “未知の空間”にいかに行けるか ロボットは、建物内の情報を取りながら奥まで進み、温度などの情報をもとに物陰に隠れて倒れている人を発見しました。 実際に救助を行う消防隊員は… (豊田市消防本部 大谷和也 消防士長) 「検知機などで見えない物の情報を持って帰ってきてくれる。またはその場で(温度などを)数値として見られるところはすごくロボットのメリット」 AIを使い、道の凹凸などを認識する方法もありますが、"お金がかかる"ことに加え、"壊れやすく"、"操作が難しくなる"など現場でのトラブルが起こりやすくなります。奥川教授が目指すのは、単純な仕組みで、丈夫な、誰でも操作できるロボットです。 (愛知工業大学 奥川雅之 教授) 「ロボットの機構を工夫することによってシンプルなやり方で、未知な空間で凹凸の激しい所を、いかに行けるかにチャレンジしている」 災害直後に“空”から力を発揮 富士山をバックに、空を飛ぶ航空機。人は乗っておらず、翼は長さ4mほどの小型なものです。 (テラ・ラボ 松浦孝英 社長) 「ズーム付きのカメラ。あとは赤外線カメラが搭載されているので、さまざまなデータを取得して、地上に送り込むことができる」 この航空機が目指すのは、南海トラフ巨大地震などの災害が起きた"直後の調査"です。 (テラ・ラボ 松浦孝英 社長) 「重度の被災をしている場所をいち早く特定する。しかもそれが複合的に起きると思うので、それを3時間以内に特定していく」 津波被害や火災の場所、救助に向かうために必要な幹線道路などの情報を短時間で集め、自治体などに伝えるのが目的です。 開発したのは、愛知のスタートアップ「テラ・ラボ」。プロペラ付きの、垂直に離陸できる無人航空機です。 (テラ・ラボ 松浦孝英 社長)「ちょっと持ってみてください」 (記者)「軽いですね」 (テラ・ラボ 松浦孝英 社長)「とても軽くできていて、しなやかなんですね」 テララボは県営名古屋空港に拠点があり、航空機で映像を集めるだけでなく、地図に落とし込んで情報を発信するまでの仕組みづくりを目指しています。 進化する「命を救う」技術開発 去年の能登半島地震の後には、検証のために試験飛行も行いました。 (テラ・ラボ 松浦孝英 社長) 「道路の状態を把握するということと、被災した場所の状態がどうなっているか、別の道路の状態を撮って帰ってくると、1回のフライトで重要な所の撮影ができる」 (テラ・ラボ 松浦孝英 社長) 「初期の道路状態をまず可視化するということと、デジタルデータ上でどこが通れる、通れないというのを早く共有できれば、救助する人たちの動きももっと変わってくる」 より広い範囲で調査をできるよう、1回の飛行で1000km続けて飛べることを目標に、現在、海外で飛行実験を重ねています。 (テラ・ラボ 松浦孝英 社長) 「南海トラフ巨大地震でいくと、拠点は名古屋空港だけでいいのか、例えば三重、和歌山、四国、九州の方にも影響する。多拠点化する中で、複数の同時運航ができるようなシステム。それを無人化できるとステップとしてより進んでいく」 いつ起こるか分からない災害や事故。命を救う技術開発が進んでいます。

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