最近増えている、席が決まっていないオフィス・フリーアドレス化。働き方改革の1つでもありますが、これを学校の職員室に導入しようという動きが名古屋市内で出ています。雑然としたイメージの職員室が大きく変わりました。 【写真を見る】変わる職員室 “全席自由”のなぜ? 進化したオフィス空間 約40年前から!日本初フリーアドレス企業のイマに潜入 名古屋市南区の市立明豊中学校。学校の職員室といえば、学年ごとに先生の机が固まって並び、机には山積みの書類というのがお馴染みの風景ですが、そのイメージが大きく変わろうとしています。 (明豊中学校 梶田勉 校長) 「固定席ではなくて自由席、アドレスフリーに変更します」 今やオフィスの世界的なトレンドにもなっている席を決めない「フリーアドレス」です。 (梶田勉校長) 「以前の職員室はもっと汚かった。雑多な書類の中で囲まれて書類を探したり紛失したり…。快適さとは程遠く、まずここを快適な空間にしようと」 職員室が変わる 先生たちはドタバタ… 3月中旬、職員室では、机の撤去や書類の整理などフリーアドレス化の準備が進められていました。 (大石邦彦アンカーマン)「ここはどういう島なんですか?」 (英語担当の教諭)「ここは3年生の島です」 (大石)「そうすると周りの顔ぶれは決まってくるわけですね?」 (英語担当の教諭) 「そうですね。他の学年の先生と情報共有したり、違う分掌の方とお話したり、そのような機会はできやすいかなと思います」 学年単位など決まった相手としかコミュニケーションしない傾向もあったと言いますが、それを解消します。各自、机の上に置いていた大量の「もの」も… (女性教諭)「必須アイテムだと授業で使うタブレットや教科書、文具系が多い」 (大石)「生徒の資料など結構ありませんか?」 (女性教諭)「多いです。がっさりと持っています」 (男性教諭)「結構、断捨離をしました。ロッカーもパンパンなので」 今後、教科書や資料などは約40人の教職員がそれぞれロッカーで管理。仕事で使う時だけ持ち出すスタイルです。 (大石)「変わりますね、この職員室」 (梶田勉 校長)「そうですね、変わりたいですね」 見たことのないオフィス空間 大きく変わることから当初は不安の声もあったというフリーアドレス。しかし、これに以前から取り組んできた先進的な企業を見に行くと、さらに驚きの光景が。ここはゼネコン大手の清水建設・名古屋支店です。 (大石) 「すごいですね。このフロアと上のフロアが吹き抜けになっています。開放感ありますね。こちらには壁一面にモニターがあり、いろいろな映像が映し出されています」 清水建設がフリーアドレスに取り組み始めたのは実に約40年前(1987年)。もちろん国内初でした。去年7月に移転した名古屋支店はその最先端の事例です。2つに分かれたフロアには社員約400人がそれぞれ好きな場所で仕事をしています。 (大石)「隣に座る人はいつも違う?」 (社員)「違います。隣がどなたになるか楽しかったり、業務でもいつもとは違う情報が入ってきたり」 さらに業務はこんな場所でも。 (清水建設 関西支店 嶋田将吾 副支店長)「打ち合わせをここでしたりします」 (大石)「眺めがいいですね。名古屋駅の高層ビルを目の前に」 名古屋城も見える屋上もオフィスになっています。 (清水建設 関西支店 嶋田将吾 副支店長) 「外でディスカッションするといろんなアイデアが出てくる」 フリーアドレスだとどこに居るのかわからなくなりそうですが… 「いまどこにいる?」も一目でわかる (清水建設 関西支店 嶋田将吾 副支店長) 「こちらは位置情報を示す画面になっています。人が今どこにいるのか目に見えて分かるようになっている」 携帯のGPS機能を使って、社内であればどこに居るのか、常にわかるようになっています。 (大石)「では、“知野見さん”を探しに行きましょうか」 モニターを見ながら探しに行くと…。 (大石) 「知野見さん、初めて会ったのに初めて会った感じがしないですね。画面上で知野見さんの動きは確認しておりました」 実際、名古屋支店では他部署とのコミュニケーションが活発になり、業務の効率化が1割以上アップしたということです。 (大石)「支店長から見ても社員の仕事の効率化は進んでいますか?」 (清水建設 名古屋支店 坂尾彰信 支店長) 「進んでいますし、皆さんの表情もより良くなっていると思います」 生まれ変わった職員室 その効果は… 職員室のフリーアドレスに取り組む名古屋の明豊中学。模様替えが完了したと聞いて、今月3日にもう一度取材に行くと… 正面には今までなかった巨大なモニターが3面。行事予定などがこれでわかるようになっています。 そして…。 (大石) 「先生方が座っています。フリーアドレス化されていますから、デスクはないということなんですね」 デスクは引き出しのない長机。各自必要な荷物だけを持ってきて自由な場所で仕事を始めていました。 (大石)「変えてみてどうですか」 (明豊中学校 梶田勉 校長)「職員室が明るくなったかなと思います」 教職員が実感していたのはコミュニケーションが増えたことです。 (英語担当の教諭) 「前よりいろんな人と話すようになった。いろんな学年の先生とか。この仕事をしたいからこの先生の近くに行こうと、荷物を持って聞きに行きやすくなった」 机の上に物が少なくなったことで互いの顔が見え、会話も増えたということです。一方で、収まりきらない授業の荷物が足元にあったり…。 (教諭) 「いろんな先生と話せるのはいいが、学年で話し合いたいときに、点在していると集めないといけない」 まだ慣れない点もあるようです。 (明豊中学校 梶田勉 校長) 「仕事の優先順位を考えられると思う。それにより子どもにパワーを持って接することができると思う」 とりあえず形は整ったフリーアドレスの職員室。教職員の働き方改革が何より子どもたちの教育や指導の充実につながって欲しいものです。