「降圧剤」と「痛み止め薬」を一緒に飲むとマズい⋯知らなかった「痛みに効くクスリ」の副作用を一挙公開する

「降圧剤を複数飲んでいる人」が危ない 高齢者だけでなく、ふだんから胃腸が弱い人、胃腸炎などの持病がある人も、「なるべく胃腸に負担をかけない痛み止めはないのか」と思うに違いない。 近年では、NSAIDsの一種「COX—2選択的阻害薬」に分類されるセレコキシブ(商品名セレコックス)などが、胃腸に優しいとして注目されている。セレコックスの適応(使用対象となる病気)はリウマチ・変形性関節症・腰痛・腱鞘炎などだが、海外ではロキソニンよりもポピュラーな痛み止めとして利用されており、医師に相談すれば処方してもらえることがある。 また、高血圧との兼ね合いが気になる人も多いはずだ。第1章でも触れたが、NSAIDsは血圧上昇を招くおそれがある。大阪市の谷口医院院長・谷口恭医師が言う。 「NSAIDsに高血圧や心筋梗塞のリスクがあることは、一般の人はあまり気にしていないかもしれませんが、医療者にとっては常識です。NSAIDsは一般に腎臓に負担をかけます。腎臓に負担がかかると、体内の水分調節がうまくいかなくなり、結果として血圧が上がる。ひいては、心筋梗塞といった心血管系疾患や脳卒中のリスクが上昇するのです」 とくに危ないのが、ふだん降圧剤を複数飲んでいる人だ。カナダで行われた大規模研究では、利尿薬とACE阻害薬かARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)のいずれかを併用している患者がNSAIDsを飲むと、急性腎障害の危険が跳ね上がることがわかった。前出の佐野氏が言う。 「高血圧や腎機能障害の持病がある人に痛み止めを処方しなければならない場合は、私なら、半減期が短く体への負担が少ないロキソプロフェンやイブプロフェンを少量使うか、湿布薬を検討します。基本的には、特に腎機能障害のある人には、なるべくNSAIDsは使わないようにします」 多くのNSAIDsの添付文書で明確に「禁忌」と書かれているのが、喘息患者への投与だ。特に大人になってから喘息を発症した患者がNSAIDsを服用すると、「アスピリン喘息」とよばれる重い喘息の発作を起こすことがある。発症してしまった場合は、アスピリン以外のNSAIDsも飲んではいけない。 知られざる痛み止め薬の「依存性」 また、肝機能に不安がある人は、NSAIDsだけでなくアセトアミノフェン(商品名カロナールなど)にも注意したほうがいい。 「NSAIDsは『肝障害・腎機能障害の既往がある人は、症状悪化のおそれがあるため服用してはいけない』とされているものが大半です。一方で、アセトアミノフェンはNSAIDsと違って消化器や腎臓の障害は起こしませんが、量が増えると肝機能障害のリスクがあります。特にアルコールをたくさん飲む人は、肝臓に負担がかかりやすい。 市販の痛み止め薬には、主成分がNSAIDsでも、アセトアミノフェンを配合しているものが少なくありません。知らず知らずのうちにアセトアミノフェンの服用量が増えてしまわないように気をつけてください」(前出・橋口氏) ここまで内臓の疾患と痛み止め薬の関係を見てきたが、メンタル面のリスクも見逃せない。前出の谷口医師は、「痛み止め薬で特に注意すべきは『依存性』です」と言う。 「痛み止めを飲んでいるうちにだんだんと量が増え、常に飲んでいないと痛みがおさまらず、精神状態が不安定になる……という悪循環に陥るケースがあります。そうした患者さんには、もともとメンタルが不安定な人が多い印象も受けます。 特に怖いのが、ブロモバレリル尿素とアリルイソプロピルアセチル尿素を含む痛み止め薬です。どちらも依存性・毒性が強く、ブロモバレリル尿素は太宰治が自殺を試みた際に使ったことでも知られています。それなのに、病院や薬局でこれらの成分の危険性を教えてもらったという患者さんはほとんどいないのです」 ブロモバレリル尿素を配合した市販薬は近年少なくなってきているが、アリルイソプロピルアセチル尿素はロキソニンSプレミアム、イブA錠EX、ノーシンピュアなどの有名な市販薬にも含まれていることを覚えておきたい。 ひどい腰痛などの場合、病院でNSAIDsの座薬を処方されることがある。第1章では「飲み薬と湿布は併用してもいい」と述べたが、座薬と飲み薬はいずれも効き目が強いため、併用するのは禁物だ。 「通常、ひとつの病院で複数のNSAIDsを処方することはありませんが、病院にいくつも通っていたり、自己判断で痛み止め薬を飲んでいる患者さんは、効き目の強いNSAIDsを併用してしまうことがあるため危険です。たとえばロキソニンとボルタレンサポ(座薬)は、併用すべきでないとされています」(前出・佐野氏) どんなに親しみやすいCMを流していても、どんなにキラキラしたパッケージに入っていても、クスリにはリスクが必ずある。お店で簡単に手に入るからといって、やたらと痛み止め薬を試したり、「効かなくなった」と次々に違うクスリに手を出したりするのは、絶対にやめておこう。 「週刊現代」2025年4月5・12日合併号より グルコサミン、ウコン、マカ、黒酢…「飲んでも効かない」サプリ一覧

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