京都の老舗企業による団体を調査 1割強が「自分の代」での廃業を検討

 創業100年以上の老舗企業がひしめく古都・京都。  老舗企業による団体「京都老舗の会」(約2000社)に、龍谷大経済学部の辻田素子教授(中小企業論)らがアンケート調査をしたところ、自分の代で廃業を考えている経営者が1割強いることが分かった。(矢沢寛茂)  調査は昨年秋に実施。団体に加入する約1400社に、事業の承継やコロナ禍の影響など計約30問を尋ね、527社(回収率37・9%)の回答を分析した。  従業員数は4人以下が43・1%、5〜10人が21・3%で、全体のほぼ3分の2が10人以下で操業していた。32・8%が売上高1000万円以下の小規模な経営実態だった。  経営者の平均年齢は62・9歳。後継者の有無とそれに伴う事業承継について聞くと、自分の代で廃業の予定は12・3%に上り、4人以下の事業所でみると、25・1%にまで増えた。全体の26・8%が「継続を模索中」で、残りの26・6%が「(後継者を)決めている」、28・5%が「候補はいる」だった。  老舗の強みについては「信用第一」を1番目に選んだ割合が61・5%だった。経営の存続に必要なものとして「信頼の維持・向上」と回答したのは56・2%。「品質の向上」「技術の継承」といったほかの項目を大きく上回った。  経営課題の解決で重視するものは「自身の経験や信念」が53・6%に達し、「社会・経済、物価情勢」(40%)と続いた。「先代の助言」(5・7%)、「社是や家訓」(5・4%)といった老舗のレガシー(遺産)を意識した経営観は少数派だった。「(従業員の)基本給の上昇」(63・3%)、「労働時間の抑制・短縮」(53%)など、人手確保のための労働条件の改善についても、経営者が問題意識を強く持っていることがうかがえた。  辻田教授は「老舗の強みを実感し、事業を続ける意思はあっても、後継者確保への不安が大きい。規模が小さいほど業績の低迷や後継者の不在、さらには廃業という負の連鎖に入っていることが見えてきた」と指摘している。

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