資産運用のハウツーは通じなくなる…森永卓郎さんの息子・康平さんが「有事」に備えてオススメする「金への投資」

今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。 「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」 彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。 「闘う経済評論家」として世の中の歪に注目する息子の康平が、父・卓郎の「最後の問題提起」を真っ向から受け止め、私たちのこれからの人生に必要な「解」を紡いでいくーー。 『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする 『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第52回 「投資で資産を増やす」どころではなくなる事態 有事になれば「投資で資産を増やす」どころではなくなる。現在出回っている資産運用のハウツーの大半は、平和な生活が続く前提の話だ。戦争が起きた場合はまったく考慮されていない。 資産をすべて日本円で持つのは、有事に際してのリスクを高める行為だろう。一定程度は外貨を持っておくとか、アメリカ株など外貨資産を保有するなど、資産の分散が有効だと思う。 また、金への投資も資産保全の上では有効な選択肢だろう。「有事の金」とも言われるように、地政学リスクが高まると金の価格は上がるとされている。 一方、同様の理由で「有事のドル買い」も有効とされていたが、ドルの先行きには不安も漂っている。 「脱ドル」をする時代が来た? いわゆるグローバルサウスの諸国が力を付けつつある中、貿易決済などにおいて「脱ドル」を進めており、基軸通貨としてのドルの力が落ちていると指摘されている。 かつて、貿易の決済はすべてドルで行う必要があり、そのために世界中の国は決済用のドルを保有しておく必要があった。だが、ドルの代わりに人民元や、その他現地通貨での決済が少しずつ増えてきており、各国がドルを保有する必要性が薄れてきている。 代わりに新興国の中央銀行が買っているのが金だ。まだ議論がなされた程度ではあるが、BRICS諸国でいわゆる「金本位制」に基づく共通の決済通貨を導入するという構想もあり、足元では新規に採掘された金の3分の1近くを新興国の中央銀行が購入している。 2022年3月以降、アメリカのFRBがインフレ対策として金利を引き上げたことで、アメリカの株価は大きく下落したが、その中でも金価格は上昇を続けていた。教科書的に言えば、金利が高い時は金投資の魅力が下がり、金価格は下がるとされているが、高金利下でも続いた金価格の上昇は「ミステリアスラリー」と称された。その背景として、こうした新興国による金買いがあったと思われている。 そういう意味でも、不確実性が高い時代には、資産の一部を金にしておくのがいいかもしれない。 「現在の株価水準は割高」は本当か? インフレ対策としても、金投資の意義が高まっている。地政学リスクが高まれば、物資の供給が不足し、インフレが進む可能性が高まるだろう。そうなると、金の価格もますます上昇すると考えられる。 このように、有事を想定した投資スタンスをとる必要はあるだろうが、父が言うように「いますぐ投資から撤退すべき」とまでは考えていない。 そもそも、投資するかしないかを決めるのは各個人であり、各々が儲かると思うならやればいいし、損をすると思うならやらなければいい。国や他人がそれについてどうこう言う筋合いはない。 父はいくつかの指標をあげて「現在の株式相場は割高」だと指摘している。 その一つに、ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー氏が開発した「CAPEレシオ(シラーPER)」がある。企業の利益を物価上昇の影響を加味したうえ、10年移動平均にしたもので、より正確に割高感がわかるとされている。 アメリカの株価指数「S&P500」のCAPEレシオの推移を見ると、2014年6月以降、バブルの目安とされる25を超えた状態が120ヵ月以上継続しているという。 また、伝説的な投資家として知られるウォーレン・バフェット氏が作ったという、「バフェット指数」もある。 バフェット指数とは、株価市場全体の時価総額を名目GDPで割ったもの。目安として100を超えると株価は割高と判断されるが、いまアメリカ株のバフェット指数は200に達している。つまり、あるべき水準の2倍に達しているということだ。 これらの指標によれば、いまの株価水準は割高ということになる。 森永卓郎さん最期の提言「投資はこれから暴落するから危険」は本当なのか?…息子・康平さんが解説する“納得”の「投資論」

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