2006年に誕生して以来、初めての事例となるかもしれません。iPS細胞を活用した心臓病の治療に使うシートについて、大阪大学発のベンチャー企業が8日、厚生労働省に対し、製造や販売を行うための承認申請を行いました。国に承認されれば、iPS細胞を使う治療としては世界で初めてとなります。 【画像】承認されれば“世界初”iPS細胞由来の『心筋細胞シート』大阪大学発ベンチャー企業 大阪大学の研究室。赤い液体の中に入っていたのは…。 （Q.波打っている。動いていますね） 「心臓と同じように拍動する。これがiPS心筋細胞シート」 内臓や神経など様々な細胞に変化できる『iPS細胞』を1カ月ほど培養し、現れたのは白い粒。心臓の細胞です。これをシート状にすると自ら動きます。 心筋梗塞や狭心症など、血流が悪くなり、心臓がうまく働くことができない『虚血性心疾患』。重症化すると、主に人工心臓や心臓移植しか治療法は残されていません。その手前の段階で、弱った心臓に直接シートを貼ることで心機能の回復が期待されています。 大阪大学大学院　澤芳樹特任教授 「心臓の表面に乗せると、くっつくのが15分〜20分。血管が生えるのが6時間以内。こんなものできるわけないとか、たくさんの乗り越えるべきハードルがあって、我々の前に道はないから越えられない絶望感の時期もあった」 澤教授のグループは、山中伸弥教授がiPS細胞の研究成果を発表した直後から研究をスタート。これまで8人の患者に治験を行い、経過は順調だということです。多くの心臓手術を行ってきた澤教授。 大阪大学大学院　澤芳樹特任教授 「日本は“最長寿国”ですから、やはりその中で心不全の克服というのは大変重要。心臓病ではなかなか亡くならない、死なない世界をつくりたい」 承認された場合、iPS細胞を使う治療として世界初となる見通しです。今後、国は1年ほどかけて、安全性や有効性など審査し、評価を行います。 大阪大学大学院　澤芳樹特任教授 「先端医療のほとんどは海外製品。これをなんとか日本発で。そして日本から世界にということは、今の流れを少しでも改善できる方策になるのではないか」