トランプ関税ショックで値下がりが続いていた日経平均株価は、きょうは過去4番目の大幅反発となりました。上昇の背景には、やはり「トランプ関税」をめぐる思惑がありました。 きのうまでの3日間で4500円以上値を下げた日経平均株価。きょうは一転… 「買い戻しです、きょうは」 「値動きがまだ荒いのかな。読み切れないという感じ」 取引開始から全面高の展開に。日経平均株価は一時2100円以上値上がり、結局、終値は1876円高い3万3012円で取引を終えました。 背景にあったのは、やっぱり「トランプ関税」です。 アメリカ ベッセント財務長官 「日本は軍事的、そして経済的にとても重要な同盟国です。日本は交渉に非常に早く名乗りを上げたので優先されるでしょう」 石破総理とトランプ大統領の電話会談を受け、日米協議の担当閣僚に指名されたベッセント財務長官が「日本に優先交渉権がある」と発言。関税見直しの交渉が進むのではと期待感が広がりました。 ただ、懸念材料が消えたわけでなく、トランプ関税はあす、発動される見込みです。 日本製品には24%の関税が課されることになり、国内の名産品に影を落としています。 温室農協クラウンメロン支所 鈴木陽介 事務長 「こちらが『クラウンメロン』を栽培している温室。もうまもなく収穫になる『クラウンメロン』」 濃厚な甘みと芳醇な香りが特徴の高級ブランド、クラウンメロン。アメリカで右肩上がりに売り上げを伸ばしてきました。しかし、トランプ関税の影響が及ぶのではないかと不安を漏らします。 温室農協クラウンメロン支所 鈴木陽介 事務長 「元々高い商品ですし、それがさらに値上げになると、ファンが『高すぎて手が出せない』となってしまうのは怖い」 さらに影響は意外なところにも。埼玉県内にあるこちらの会社。 イワコー 岩沢努 社長 「ちっちゃくてかわいい、例えばケーキとか動物とか、分解できる立体消しゴムを作っています」 パンダや雪だるま、ケーキなどの消しゴム。しかし、少子化で国内の需要は低迷。15年前から輸出を始め、いまでは売り上げ全体の2割にのぼっています。 イワコー 岩沢努 社長 「イギリスとアメリカ向けのものが、ここからこのへんぐらいまで」 ここでもトランプ関税が影を落とします。アメリカ企業との新たな取引が風前の灯火だとし、年間、数百万円の損失になる可能性を明かしました。 イワコー 岩沢努 社長 「消しゴムは絶対必要な、それがないと生きていけないっていうものじゃないので、高い値段を出して子どもたちが買うか心配はしている」 あすから関税が発動されても、しばらくは価格を据え置く一方、東南アジアなどへの輸出を増やす予定だといいます。 イワコー 岩沢努 社長 「子どもたちが買えない値段になるんじゃないか、それが一番困る」 戦々恐々のトランプ関税。政府も手をこまねいている訳ではありません。 石破茂 総理大臣 「相互関税はあらゆる産業に大きな影響を与えかねず、政府を挙げて対応してほしい」 きょう、政府はトランプ関税の「対策本部」を開き、赤澤経済再生担当大臣を日米協議の担当大臣に任命しました。 赤澤亮正 経済再生担当大臣 「できるだけ早く顔を合わせることは考えていかないといけない」 果たして事態は好転するのか。専門家は… みずほ証券チーフエコノミスト 小林俊介氏 「相手に響く材料で交渉することが重要で、逆に響かないものを持っていっても日本にとってダメージにしかならない。アメリカ政府としては、これを財源として減税を通したい意図があるんだろう」 不安と警戒が交錯するトランプ関税。あす発動されて、どのような影響が出るのかは未知数です。