【ソウルモビリティショー2025】エンタメと新技術が融合!変わりつつある韓国自動車市場における情報発信の方向性

モーターショーからモビリティショーへと名称を変更 日本から空路で約2時間半、韓国ソウルで開催されている『ソウルモビリティショー2025』を取材した。 【画像】4月13日まで開催中!ソウルモビリティショー2025 全26枚 昨年は、韓国南部の都市である釜山で、釜山モビリティショーが開催されていたが、ソウルでモーターショーからモビリティショーへと名称が変わったのは今回が初めてだ。 KINTEXで4/13まで開催中となる『ソウルモビリティショー2025』の様子。 桃田健史 筆者が感じたキーワードは『エンタメ×クルマ』である。 会場であるKINTEXは、日本でいえば千葉の幕張メッセのようなイメージの大型展示ホールだ。中に入ると、全体的な展示のイメージとしては、いわゆるモーターショーに近い。それでも、CASE、MaaS、SDV、AIといった最新技術に関する韓国独自の出展がいろいろあり、韓国の自動車産業界が自ら変革していこうという意思を感じた。 ちなみに、CASEは通信によるコネクテッド、自動運転技術、シェアリングなどの新サービス、そして電動化を連携させる意味を込めたマーケティング用語だ。 MaaSは、モビリティ・アズ・ア・サービスで、公共交通などをIT技術を活用して最適化する技術や政策を指す。 また、自動車産業全体として注目が集まっているのがSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)で、ソフトウェアが自動車開発の軸になるという設計思想だ。 こうした各種技術については、2010年代半ば頃からグローバルで研究開発が進んできたが、量産化に向けては次のステップに向けた準備段階といった状況にある。特に電動化については、欧州、アメリカ、そして中国の政治的な思惑から需要が高止まりする、いわゆる『踊り場』にあるのだ。 そうした中で筆者が韓国で感じたのは、広義における『エンタメ』が自動車ユーザーに与える影響を上手くコントロールしている点だった。 ヒョンデの発表で感じたエンタメ ここでいうエンタメとは、K-POPや韓国ドラマを指しているのではない。または、ワールドプレミアでプロジェクトマッピングを活用する、といったことでもない。 焦点は、ブランド戦略である。その筆頭は、ヒョンデだ。 会場で初公開された『ヒョンデ・アイオニック6Nライン』のリアビュー。 桃田健史 今回ワールドプレミアとなったのは、燃料電池車の『ネッソ』と、中型EVの『アイオニック6』。ネッソは2018年に初代モデルが登場して以来、7年ぶりのフルモデルチェンジとなる。 水素を活用する技術開発については、ヒョンデは1990年代から自社開発を進めており、トヨタ、BMW、GMなどと並ぶ、燃料電池車のパイオニアのひとつだ。今回は燃料電池システムが改良され、満充填での航続距離は700kmとした。 さらに、大きく変わったのが、ライフスタイル系のブランドマーケティング手法だ。クルマ本体としては、エクステリアで先進性だけではなく、日常で使うオシャレなクルマというイメージを主張している。 車内に入ってみると、インテリアも『アイオニック5』に代表されるヒョンデ独自の世界観があり、使い勝手と独自性が上手く融合している。 会場で流れている商品訴求用の動画では、買い物や通勤だけではなく、アウトドアでの活用もアピールし、ユーザーに対して燃料電池車をもっと身近に感じてもらおうという、エンタメ的な演出が興味深かった。 また、アイオニック6は従来からの独創性が強いボディスタイルがさらに強調されたデザインへ進化。合わせて、スポーティなNラインも登場した。さらに、本格的なハイパフォーマンスバージョン『N』の存在を予告するような画像も初公開する、エンタメ的な要素もあった。 レクサスは独自の発信拠点でエンタメ そのほか、キアでは日本にも導入が予定されている商用車『PV5』が注目を集めていた。商用向けのみならず、リアカーゴスペースをキャンピングカーにようにアレンジしたバージョンも披露された。ファッション性も加味したエンタメ的な展示である。 日本でも、トヨタ・ハイエース、日産キャラバン、さらにはホンダ・フリードを活用して、商用から乗用まで様々な仕様をメーカーや、キャンピングビルダーが提案することが一般化している。だが、この領域でのEVについては、日本ではまだ本格的な動きがない。 レクサスは、ソウル市街近郊に2014年からカフェ中心のブランド発信拠点『コネクト・トゥ・レクサス』を展開。 桃田健史 まずは、商用車として日本に導入されるPV5だが、ステランティスのフィアット・デュカトのように、ホワイトボディでの販売が始まれば、EVキャンパー市場の拡大への道が切り開かれるように感じる。 そのほか、メルセデス・ベンツはGクラス、BMWはミニ・ブランド中心、BYDはシール、ポルシェはマカンといったコリア・プレミアなどが、来場した報道陣や韓国自動車業界関係者の注目を集めていた。 業界関係者によれば、韓国の年間国内販売総数約180万台のうち、ラグジュアリー分野は約40万台で市場の四分の1に達する。ブランド別では、メルセデス・ベンツとBMWがそれぞれ年間7〜8万台規模で、韓国ラグジュアリーカー分野のツートップとして君臨しているという。それを、ボルボやレクサスを追う展開だ。 今回、レクサスは出展していないが、ソウル市街近郊に2014年からカフェを中心としたブランド発信拠点『コネクト・トゥ・レクサス』を設けるなど、エンタメ性を加味した独自のマーケティング戦略で韓国市場での販売促進活動を行っている。 SNSやネット媒体を含めて、韓国の自動車市場のおける情報発信の方向性が変わってきているなか、ソウルモビリティショーの今後の行方にも注目していきたい。

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