2分に1回という頻度でかかってくる110番通報をすべて受理する静岡県警の通信指令室。受信とともに初動捜査につなげるその業務には、高い専門性が求められます。その内部にカメラが入りました。 (静岡県警本部 通信指令室) 「はい、緊急回線110番です。事件ですか、事故ですか」 ここは、県警本部の中にある通信指令室。静岡県内すべての110番をこの場所で受け付けています。 (静岡県警 佐野 信彦 警部) 「通信指令室は初動警察活動の要であります」「事件発生直後、被害拡大の防止や犯人確保のために、その事案の情報の集約をして、必要な人員やパトカーを現場に派遣しています」 通信指令室の中央にあるのは巨大なモニター。このシステムでは、県内で出動しているすべてのパトカーが表示されています。 (静岡県警 佐野 信彦 警部) 「青色は110番通報に対応中のパトカー」「黄色はほかの仕事をしていて、110番通報に対応できないパトカーとなっている」 2024年1年間の通報件数は約22万1千件で、1日あたり604件。2分23秒に1件、この場所に電話がかかってくる計算です。 110番を受理する場所にある3色のランプ。その色には意味があります。受付準備が完了しているのが緑色。黄色のランプは110番通報を受け付けている状態。一番上の赤色のランプは、大きな事件や事故の110番通報を受けている最中で、現場にも緊張感が走ります。 正確に情報を聞き取り現場に伝えるという技術が求められる通信指令室。専門性が求められる一方で課題も…。 (静岡県警 佐野 信彦 警部) 「110番通報をする人は、非日常的なことに遭遇して落ち着きを失っている。その中で、事案対応に必要な情報を聞き出すというのは、一朝一夕でできることではない」 こうしたなか、3月、3年目の通信指令課員を対象に訓練が行われました。指導係は、全国でも10人しかいない警察庁指定 通信指令部門の二俣雅人広域技能指導官。3月で定年退職するのを前に、プロの目を光らせました。 (訓練者) 「緊急回線110番です事件ですか事故ですか」 訓練の想定は「闇バイト」の強盗事件。左の女性が110番の受理役、右の男性が指令役です。 (指令役) 「至急至急~、静岡本部から各局、中央PS管内強盗致傷事件発生」「10時09分 緊急配備、種別 指定署配備を発令する」 訓練では、強盗事件の被害者の隣人から通報を受け、その後も連続して入ってくる当て逃げ事故や不審車両の目撃情報など複数の通報に対応し、容疑者を確保するまでの流れを確認しました。緊張感の走った約20分の訓練。二俣指導官は…。 (県警本部 通信指令課 二俣 雅人 広域技能指導官) 「途中で指令者が『なんて書いてある?』と質問があった」「人が見てわかるように早く書くということは大変ですが、忘れないようにしてください」「非常に受理・指令ともにできていたと思います。引き続きよろしくお願いいたします」 尊敬する存在だという二俣指導官の評価に2人は…。 (通信指令課 巡査部長・39歳) 「3年半勤務していると指摘してくれる人も少なくなってきますので、自分で指令しているだけでは自分だけでは気づかないところが出てくる」 (通信指令課 巡査部長・42歳) 「スピード重視に重きを置いてしまうと、どうしても字が雑になってきてですね」「それの温度感なり、その重要性みたいな部分が伝わらなくなってしまうこともあるので、こうやって教養を受けることで、また、改めて初心に帰って、その字の丁寧さなり、仕事の一つ一つ大事にしなければいけないなというのを痛感してまいす」 (県警本部 通信指令課 二俣 雅人 広域技能指導官) 「(事件に)的確に対応するためには、常に訓練を研さんしておかないと、どんどんパフォーマンスは下がっていく、それを維持・継続・さらに安定して業務を推進していく」 ベテランが技術伝承し現場のスキルアップを目指す一方、県民に理解を求めているのが、適切な110番通報の利用。警察は、緊急性のない通報は、最寄りの警察署や警察総合相談ダイヤル#9110にかけるなど、適切な110番通報の利用を呼び掛けています。