宮粼支局長　村岡経世 　宮崎県内で食事をすると、レタスを具材にした巻きずしがよく出てくる。 　スーパーで目にすることも多い。発祥の店として知られる宮崎市の「一平寿し」を訪ねた。 　「ずっと前に来た人にも、『変わらないね』と言ってもらいたい」。２代目店主の村岡浩司さん（５５）は、こだわりを語ってくれた。 地元の食文化を支える熱い思い 　店の看板メニュー「元祖レタス巻」（１４００円）は、村岡さんの父で初代の正二さん（故人）が試行錯誤して１９６６年に作り上げた。店を開く際、友人だった歌手で作曲家の平尾昌晃さん（同）と「ヘルシーで、若い女性や家族連れが食べてくれるすしを作ろう」と話したことがきっかけだった。 　ノリとしゃりの中には、ゆでたエビ、レタス、マヨネーズソース。父の味を守るため、ソースは店で仕込んでいる。ノリは有明産を使い、レタスは時期によって産地を変えているという。一つ口に入れると、ノリがパリッと音をたて、具材の甘みが口に広がった。 　レタス巻きは、宮崎の一般家庭でも作られる郷土の食文化になった。村岡さんは「気軽に来てもらえる大衆店として味を守りたい」と話す。シンプルでどこか懐かしさを感じる逸品には、地元の食文化を支える熱い思いが込められている。 こちらもオススメ…日向夏のジュース 　宮崎の食といえば、完熟マンゴーに代表されるフルーツは外せない。大正時代に創業した「ＦＲＵＩＴＳ　ＧＡＲＤＥＮ　フルーツ永野」に足を延ばした。 　店内にパフェや飲み物を提供するコーナーがあり、壁には「メロンジュース」や「きんかんヨーグルトジュース」などの品書きが貼られている。特産のかんきつ「日向夏(ひゅうがなつ)」のジュース（８００円）を頼むと、その場で搾ってくれた。 　この日の最高気温は約２０度。甘酸っぱい爽快な味わいは、宮崎の春にピッタリだった。 　※税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。 ◇ 　国内外の総支局長が、日頃通っている店のおすすめメニューなど、地域の自慢の味を紹介します。 一平寿し 　宮崎市松山１の８の８ 　詳しくはウェブサイトで。 ＦＲＵＩＴＳ　ＧＡＲＤＥＮ　フルーツ永野 　宮崎市橘通東３の５の４ 　詳しくはウェブサイトで。