ボクシングのバンタム級（制限体重５３・５キロ）の世界主要４団体の王座を日本の４選手が独占している。 　キックボクシングから転向した那須川天心（帝拳）もこの階級で、今、最も熱いクラスだ。日本ボクシング界はこれまでにない黄金時代を迎えている。 　４人の日本選手が同階級の主要４団体を独占するのは初めて。世界ボクシング協会（ＷＢＡ）は堤聖也（角海老宝石）、世界ボクシング評議会（ＷＢＣ）は中谷潤人（Ｍ・Ｔ）、国際ボクシング連盟（ＩＢＦ）は西田凌佑（りょうすけ）（六島）、世界ボクシング機構（ＷＢＯ）は武居由樹（大橋）が王座に君臨する。 　堤は２月、ＷＢＣフライ級元王者の比嘉大吾（志成）と引き分けて初防衛。中谷は同じ日、ダビド・クエジャル（メキシコ）を３回ＫＯで退け、３度目の防衛に成功した。西田は昨年１２月にＫＯで初防衛。武居は５月２８日にユッタポン・トンデイ（タイ）を相手に２度目の防衛戦を戦う。 　期待されるのが、統一戦だ。中でも熱望しているのが、３階級を制し、世界的評価も高い中谷。来春には１階級上のスーパーバンタム級世界４団体統一王者、井上尚弥（大橋）との対戦も視野に入れるだけに、統一戦をクリアしてスーパーバンタムでの調整試合をはさみ、ビッグファイトに進むプランを描く。「井上（尚）選手との戦いに向け、より周りから期待してもらえるファイトをしていくことが僕のできること」と、価値ある試合に勝っていくことを望んでいる。この中谷との対戦を希望しているのが、西田。前回の中谷の防衛戦ではリングに上がり、「ずっとやりたいと思っていた」と対戦の呼びかけに応じた。交渉の行方が注目される。 　そして、那須川がいつ世界に挑むのかも興味深い。２月に元世界王者のジェーソン・モロニー（豪）に判定勝ち。ＷＢＣのランキングは１位に位置する。次戦は６月を予定し、世界前哨戦になる見通しで、秋にも初の世界戦に臨む計画。将来的には同じキックボクシング出身の武居とのドリームマッチが待望されている。 　古くはファイティング原田、辰吉丈一郎、近年では長谷川穂積、山中慎介らが王者として活躍した伝統のバンタム。堤に敗れた前王者の井上拓真（大橋）、日本王者の増田陸（帝拳）など、他にも実力を持つ日本選手がひしめいており、今後も目が離せない。（荒井秀一）