体操の名門・コナミスポーツのトップ選手部門の事実上の活動休止に伴い、２月で同社を退社した加藤裕斗（２７）が３日、プロ転向を宣言した。 　「ロサンゼルス五輪を目指すとともに、地元の活性化にも貢献したい」といい、地元・埼玉県草加市の廃棄物収集会社「エスシーエス」と所属契約。２０１６年リオデジャネイロ五輪男子団体総合金メダルの兄、凌平さん（３１）も退社してコーチとなり、二人三脚で大舞台を目指す。 　活動休止後は、兄弟で発表資料をつくって自らを売り込み、スポンサー企業を募った。３日に草加市役所で会見した加藤裕は「活動休止がきっかけではあるが、チャンスと思い、『草加市から世界へ』のキャッチフレーズとともにプロ転向を決意した」と表明した。 　加藤裕は順大時代には主将を務め、１メートル６９で長い手足を武器にしたダイナミックな演技を武器とする。得意種目はあん馬。昨年の全日本個人総合選手権１１位などからの飛躍と代表入り、国際舞台を目指すシーズンが間もなく始まる。 　コーチとなった凌平さんから指導を受け始め、「私にはない要素を持っているので、うまく練習に落とし込んでいきたい。（指導を受けて）約１か月とは思えないほど成長している」と手応えを語る。 　昨年現役を引退したばかりの凌平さんも「（弟は）非常に真面目で、練習の積み重ねが試合でそのまま発揮できる選手。仕上がりがよく、今年は特に期待が持てる」と評価。２０２５年からのルール改正もあって、「（上位が）ギュッと点差がつまると思う」と躍進のチャンスと見る。 　２人はプロ選手、専属コーチとして拠点とする草加市内で、今後はイベントや体操教室の企画など普及活動も進めていく予定という。 　ただ、課題は練習拠点。加藤兄弟によると、これまで拠点だった同市内のコナミスポーツの体育館で使用料を払ってトレーニングを積む予定だったが、コナミスポーツから「ジュニア選手の練習施設」として使用期限を５月末までに設定されたという。２人は３日、山川百合子・草加市長に対し、継続使用に市も協力してもらえるよう要望書を提出。練習環境の維持を図っている。