【花蓮（台湾東部）＝園田将嗣】台湾東部・花蓮沖を震源とする地震から、３日で１年を迎えた。 消防当局によると、地震で外国人を含む２０人が亡くなり、１１６５人が負傷した。最大震度６強を観測した花蓮では、住宅再建の見通しが立たない被災者も多く、復興への道のりは遠い。 花蓮中心部で２日朝、無職の呉聲輝さん（６５）が、数か月先に入居予定の集合住宅の建築現場を訪れ、工事の進捗（しんちょく）を見つめた。呉さんは１年前の地震で、兄の永和さん（７５）と３０年前に建てた５階建ての自宅兼店舗を失っている。 呉さんの家族９人と永和さんらが住んでいたビルは、娘夫婦が営む朝食店が入っていた１階部分が地震で潰れ、大きく傾いた。呉さんは「車だけが唯一の財産になった」と語る。 地震後、呉さんの家族と永和さんは賃貸住宅で暮らしている。観光客が減り、調理器具を購入する資金もないため、娘夫婦は朝食店を再開できず、清掃とパン屋の仕事を始めた。自宅の再建に約２０００万台湾ドル（約９０００万円）が必要で、図書館の臨時パートを今月末で打ち切られる永和さんは「私たちが出せる金額ではない」と頭を抱える。 台湾の中央通信社によると、花蓮では地震で約２００棟の建物が損壊し、約２０００人が影響を受けた。住宅再建の見通しが立たない被災者は多い。花蓮県と台湾の仏教団体がマンション（１４４戸と３０戸）を建て、呉さんと永和さんも１０月以降に入居する予定だ。 ただ、家賃が必要ない代わりに、入居期間は２〜３年に限られる。退去までに生活の立て直しを迫られる呉さんらは、「２〜３年後にどうなっているか想像ができない」と、暗い表情を浮かべた。
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