「実効空力」とはナニモノだ!? たった「時速20km」で“効果アリ”って本当なの? ホンダアクセスの“コンセプト”を愛車「ロードスター」で実体験してみた

「実効空力」の効果ってホント?  ホンダアクセスが取り組んでいる「実効空力」。そのコンセプトは「日常の速度域でも体感できる空力効果を発生させること」です。    正直、筆者(西川昇吾)は、「空力って高速域じゃないと分からないのでは?」と思っているのですが…。    その実効空力を体感すべく、マイカーであるマツダ「ロードスター」でワークショップに参加してきました。 「実効空力」って何ですか? 愛車で体感  筆者のように、空力は高速域でなければ効果を発揮しないと思っている人も多いと思います。 【画像】「えっ…」 これが「実効空力」の効果です! 画像で見る(30枚以上)  しかし、ワークショップの最初の説明で、 「低い速度でも風の影響はあるんです。自転車で走っている時、速くても時速20〜30キロ程度だと思いますが、空気抵抗を感じますよね?  クルマは自転車を漕ぐ人間よりも大きな面積で走行風を受けています。それなら空力の影響はあると思いませんか?」とのこと。  確かに、自転車で風を受ける感覚は多くの人が味わったと思いますし、子どものころ自転車で速く移動したいから姿勢を屈めながら漕いだ、なんて人(筆者もその1人)もいるのではないでしょうか。  そう思えば、低速域でも空力の効果があるかもしれないと思えてきました。  実効空力の狙いは、速く走らせるためにダウンフォースを作るのではなく、空力によってクルマの接地バランスを取って、4つのタイヤとサスペンションの性能を最大限に引き出すことです。  これにより、ハンドリングや直進安定性、乗り心地を向上させるのです。  実効空力のアプローチは様々ですが、今回はギザギザ形状の「シェブロン」というデバイスを使用。実際にスチレンボードをカッターで切り取り、製作したシェブロンをマイカーに装着してみて色々と実験してみます。 時速20kmの「N-BOX」で“効果アリ”  自作でシェブロンを作ったら、今度はコースへと移動。  シェブロンをマイカーに取り付ける前に、まずはノーマルのホンダ「N-BOX」でその効果を体感します。装着するのはルーフエンド、シェブロン取り付け前後で乗り比べてみました。 たった20km/hなのに効果を実感!  最初に外した状態で試乗し、その直後に装着して走行。  すると、時速20キロにも満たないような最初の凸凹道でもその違いが分かります。振動の収束が速く、角が取れて乗り心地が良くなった印象です。  また、コーナリングに向かう時のブレーキングやターンインでの安定感が増していて、より楽にコーナーを走ることが出来ます。  後席でも乗り心地が良くなっているのは体感できるので、実効空力は全席にメリットがあると感じました。  ただし、このように書くと「本当?」と言われてしまいそうですが…最初の凸凹道での試乗はちょっとした駐車場でも出来そう。  なので、筆者は「この部分だけでもいいから、是非ディーラーでの体感試乗会を開催してください!」と思いました。それだけ多くの人にも分かりやすく効果が出るのです。 愛車「ロードスター」の走りも変わった!  実効空力、アリとナシの違いを体感したところで、今度はマイカーでの効果を見ていきます。  使用するのは「ロードスター(ND型)」の“パーティレース”仕様。レース用にロールバーやシートは変更されていますが、空力に関係するパーツは一切付いておりません。 トランクにシェブロンを装着した「ロードスター」と筆者、土屋圭市氏  まずは何も装着しないで走行した後、トランクエンドにシェブロンを装着してみました。  するとN-BOXで感じたように乗り心地は良くなっている印象。コーナリングもリアが落ち着いた印象で、同じ速度でも楽に旋回できます。  そして次に3本装着したシェブロンのうち、2本を取り外して、フロントフェンダー後方にそれだけ1本ずつ装着しました。  コーナー進入時にノーズが軽やかに入っていくフィーリングが増し、ロードスターらしい軽快なハンドリングに。ただ、乗り心地やリアの落ち着き感は薄れた印象です。 シェブロンの場所を変更して試してみる  ここでフェンダーのシェブロンはそのままに、トランクエンドのシェブロンを2本増やしてリアは最初と同じ状態とします。  すると軽やかなノーズの入りはそのままに、リアの落ち着きが増して乗り心地が良くなり、これがこの日一番のバランスだと感じました。  試しにフロントフェンダーのシェブロンを前にしてみましたが、ノーズの入りはやや悪くなった印象。  シェブロンは整流効果で空力を発揮しているようで、空気の渦が出来るポイントに装着するのが良いみたいです。タイヤの前よりも後ろの方が、渦が出来やすいのを改めて実感することができました。 何度も「変えては走り」の繰り返し。開発陣の苦労も実体験  ちなみに実効空力では、様々な部分でパーツを装着して実車走行での評価を重ねているそうです。高速域ではないからこそ、実車でのテストが重要とのこと。  取材日には実際に開発ドライバーを務める土屋 圭市さんもいらしていましたが、「ダメだったと感じたパーツが、他と組み合わせると良いバランスだったりするんだよね。実効空力は実車テストだから、その組み合わせを見つけられるんだ」とコメントされていました。  そんな風に色んな場所にシェブロンを付けたり外したり、移動したり…色々試して気分はテストドライバー。 「自分がロードスターで実効空力パーツを造るならどうする?」イメージしながらのテストは、楽しい勉強の時間となりました。 シェブロン形状を採用した「シビック」用テールゲートスポイラー  最後に「シビックe:HEV」に試乗します。こちらは実効空力のリアウイングとそうでないリアウイング、2種類のリアウイング装着車が用意されていました。  実効空力ナシ車のあとに実効空力アリ車を乗ってみると、同じ速度の旋回でも舵角が小さく曲がれて、加速体制を楽に作れるため、コーナー立ち上がり時に思ったよりも早いタイミングで速度が乗ります。  ドライバーの意図に素直に反応し、より運転が楽しく、そして安定性が高いため、より運転での疲労度が少なくなるのが実効空力だと感じました。  実際に乗り比べてみるとその違いがハッキリと体感できる実効空力。各種イベントでの試乗会も実施されているので、皆さんも機会があったら乗り比べてみるのをオススメします。

もっと
Recommendations

レクサス「新型ES」世界初公開! 7年ぶり全面刷新で全長5.1m超え「流麗ビッグボディ」×赤く光る「LEXUSエンブレム」採用! 来春発売の「新たなセダン」どんなモデル?

26年に国内発売 ボディサイズ拡大&新デザイン採用レクサスは2025年…

【渡辺敏史が試乗】仕立てのいいスーツの下は筋骨隆々!007の世界観を地で行くアストン マーティン・ヴァンキッシュ

初代はアストン マーティン復活の狼煙21世紀の幕が開けるや、アストン…

安田大サーカス“団長”の「外車」に悲劇! 痛恨の「事故」で信じられない姿に!? 「やってもうた〜」な団長安田の“愛車”とは

団長安田さんの愛車に「まさかの事態」が!?お笑いトリオ・安田大サ…

「ウォッシャー液」ケチって“水道水”で薄めても大丈夫? 「意外なリスク」と正しい選び方とは?

「ウォッシャー液」薄めて使うのはNG?ウインドウの水滴や油膜、汚…

全長4.6m! 三菱「“新”7人乗りSUVミニバン」に反響殺到!? 「魅力ある」「欲しい」 黒すぎ「ダイナミック顔」×画期的MIVEC HEV採用! 新「エクスパンダークロス PLAY」タイで実車公開

「エクスパンダークロス」の新モデル「HEV PLAY」を展示

ヤマハが誇る“絶版名車”「RZ250」がスゴかった! 軽量×高出力の“ピュアスポーツ”バイク! 逆風の時代に挑んだ最後の「“2スト”モデル」とは

ヤマハの誇りを詰め込んだ「最後の2ストローク」ヤマハが1980年に発…

なぜタイヤが外れる? 全国で相次ぐ脱落事故の原因は? 重大事故を防ぐナットの正しい締め方とは

タイヤのナットは緩すぎても締めすぎてもダメで、締めることが肝要

「謎のアルファード 4×4」発見! 全長5m超え「内装めちゃ豪華グランビア」発見! 高級チェアなど搭載!? 海外オークションで出品中

まるでホテルのラウンジ?超豪華なトヨタのミニバンとは?見た目は…

ダイハツ「軽ワゴン」に大反響! “軽自動車初”の装備に「乗り降りがラク」「高級感ある」の声も! 「スタイリッシュで軽っぽくない」見た目の「タント」に注目!

ネットの声とともに「タント」の進化を振り返るダイハツの軽自動車…

停まったその場で「ハンドルくるくる」実はクルマ傷つけていた

止まった状態でのハンドル操作はものすごい「負荷」だった何気ない…

loading...