【バンコク＝水野哲也、竹内駿平】ミャンマーで３月２８日に発生した地震は、発生から６日目となった２日も、被害の全容が明らかになっていない。 　国軍と少数民族武装勢力や民主派との戦闘が続く地域では、救援活動に入れない場所も多いとみられる。一部の少数民族武装勢力は１日、一時停戦を発表したが、国軍の空爆は続いている模様で、内戦が被災者の救援を困難にしている。 　国軍は全土の３割程度しか支配していないことに加え、各地で通信が遮断されているため、被害の全容把握は難しい。国軍によると、１日現在の死者数は２７１９人だが、独自に死傷者数を集計している独立系メディア「ビルマ民主の声（ＤＶＢ）」は、１日時点で３７５６人の死亡を確認したとしている。 　被害が大きい中部マンダレーや首都ネピドー以外にも被害は出ているが、国全体が内戦状態にあるため、外国の救援チームが入ることが難しい地域もある。 　北東部シャン州などを拠点とする三つの少数民族は１日、「被災者に対する人道支援が迅速かつ効果的に実施されることを強く望む」として、１か月間の停戦を発表した。しかし、地元メディア「ミャンマー・ナウ」によると、国軍のミン・アウン・フライン最高司令官は１日、「少数民族側は攻撃の準備のため訓練をしており、軍は必要な防衛措置を続ける」として、停戦を事実上拒否した。 　実際、各地では国軍による空爆が続いていると非難の声が上がっている。東部カヤ州の少数民族武装勢力の幹部は取材に対し、「地震発生以降も各地の少数民族支配地域で空爆が続いており、それに反撃せざるを得ない状態だ」と語った。 　震源に近いマンダレー近郊のサガインでは甚大な被害が出ているが、救援活動が国軍によって妨げられている。１日にサガインに入った読売新聞通信員によると、サガインの救出チーム関係者は「倒壊家屋で活動を始めようとしたら、国軍関係者が来て許可証を求められ、活動できなかった」と明かした。 　一方、建設中の高層ビルが倒壊したタイの首都バンコクの現場では、地震発生から間もなく１週間を迎える中、救助隊や行方不明者の家族に疲労の色が濃くなってきた。 　救助隊にボランティアとして参加するプラユーン・プロムイエンさん（５１）は、積み上がったがれきが捜索活動を困難にしているとし、「こんな災害現場は初めてで、救助隊の体力も限界に近い。ただ、ひとりでも多くの人を助け出すために強く気持ちを保っている」と語った。この現場では２日午前現在、１５人の死亡が確認され、７２人が行方不明となっている。