石破首相は1日の記者会見で、物価高対策や米国による自動車追加関税への対応に注力する姿勢を打ち出した。 夏の参院選を前に国民の負担感を減らし、政権の成果をアピールしたい考えだが、狙い通りの結果を得られるかは不透明だ。(太田晶久、堀和彦) 「国民が感じている様々な不安に向き合い、安心な暮らしの実現に取り組む」 首相は1日の記者会見でこう述べ、家計への影響を重視した政策に力を入れることを強調した。ガソリンやコメの価格抑制策や、「年収の壁」見直しの検討など、手取りを増やす対策を列挙したのは、夏の参院選を考慮したためだ。 自民党の松山政司参院幹事長は1日の記者会見で「国民に寄り添った政策を打ち出していくことも必要だ」と政府に注文を付けた。自民参院内には「『手取り増』を野党にばかり主張させるべきではない」と不満がくすぶる。 もっとも、国民の多くに恩恵が及ぶ対策は、必要な財源も膨大になる。政府内では「野党のように財源を考えず無責任な打ち出しはできない」(高官)との声が根強い。首相は3月28日の参院予算委員会で食料品に限った消費税減税の可能性に言及したが、この日は消費税が社会保障財源となっていることを挙げ、減税を否定した。 石破内閣の支持率が低迷する中で、政府内では1回限りの所得税などの定額減税や給付金支給の案も浮上している。ただ、2024年に定額減税を実施した岸田内閣では、支持率の回復につながっておらず、財務省幹部は「バラマキは国民に見透かされるだけだ」と指摘する。 首相は記者会見で、トランプ米大統領が表明した自動車追加関税の見直しに向け、「必要であれば私が(米国に)赴く」と意欲を見せた。日本の基幹産業である自動車業界への打撃を可能な限り抑えるため、日本の適用除外に向けた交渉に全力を挙げる構えだ。首相は周囲に「トランプの拳を下ろさせる」と語り、参院選前に適用除外を勝ち取りたい意向を示している。 安倍晋三・元首相がトランプ氏から同様の自動車追加関税を突きつけられた際は、日本が輸入農産品の関税を引き下げる貿易協定を締結して回避した。外務省幹部は「今回はトランプ氏が何を求めているのか見えない」とこぼしており、交渉が成果を上げられるかどうかは見通せない。 首相記者会見要旨 【米国の関税への対策】 自動車などに対する追加関税措置について、米国に日本の適用除外を強く求める。発動された場合、全国1000か所に特別相談窓口を設置し、企業の資金繰り支援に万全を期す。 【物価高対策】 レギュラーガソリンが全国平均で1リットルあたり185円程度となるよう支援を継続する。ガソリンの暫定税率の廃止については必要な法改正に向け、真摯(しんし)な政党間協議が加速されていく。コメの価格は高止まっており、政府備蓄米の活用に踏み切った。動向を注視し、必要であれば、ためらうことなくさらなる対応を行う。 【賃上げ】 物価上昇に負けない賃上げを早急に実現させる。最低賃金の引き上げに向け、5月までに効果的な対策をとりまとめる。 【消費税減税】 消費税は全世代型の社会保障を支える重要な財源だ。(食料品を対象とした消費税でも)税率を引き下げることは適当ではないと考えている。 【衆院解散、連立】 解散・総選挙、衆参同日選、連立の組み替え、そのようなことを現在考えているものでは全くない。少数与党でも予算を成立させることができた。この状況下で謙虚に全力で取り組む。