甲府市で行われる「信玄公祭り」に合わせ、５日、長野県・諏訪地域と同市を結ぶ「狼煙（のろし）リレー」が行われ、特急あずさを利用する伝令隊とどちらが早く伝達できるか競い合う。 初レースとなった前回は、８分差で狼煙リレーが勝利した。狼煙上げには長野、山梨両県の有志が参加し、伝統文化の継承につなげたい考えだ。 戦国時代、甲斐を拠点に信濃を勢力下に置いた武田信玄は、遠方の敵の動きを、配下に上げさせた狼煙リレーで察知した。南信地域では伝統を復活させようと２００８年から各地で狼煙上げが行われ、２１年には信玄生誕５００年を記念して根羽村から甲府市まで狼煙リレーが実施された。 狼煙リレーとあずさ利用の伝令隊による伝達競争は、５０回目の信玄公祭りに合わせて２３年１０月に行われ、今回で２回目となる。 ５日の狼煙リレーは、史実を基に「松本を根拠とする小笠原勢が伊那に侵攻した」との想定で、午前１１時半に諏訪市の有賀城跡で狼煙が上げられる。２０か所を狼煙でつなぎ、甲府市の武田氏の居館跡、躑躅（つつじ）ヶ崎館（がさきやかた）（武田神社）に伝える。 一方、山梨県から来訪した足軽姿の伝令隊は１１時３３分・上諏訪駅発、午後０時１６分・甲府駅着予定のあずさに乗り込み、同駅下車後は約２キロ先の同神社へ自転車で向かう。前回、伝令隊を引率した山梨県甲斐市の保坂武市長は「あずさという早馬になぞらえて狼煙に負けないようにしたい」と奮起を促している。 狼煙上げには、県内からも約１２０人が参加する。諏訪市の狼煙文化調査会代表、秋山大一さんは「狼煙文化を次世代につなげていきたい」と話す。 当日は、上諏訪駅前で午前１０時５０分から伝令隊への書状伝達が行われ、有賀城跡に上がった狼煙がモニターに映し出される予定だ。
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