山崎賢人「30代はもっといろいろなことを知りたい」 海外も視野に貪欲にチャレンジ

 数々のヒット作の主演を担い、20代をとことん熱く駆け抜けた山崎賢人。花沢健吾による同名漫画を実写映画化した『アンダーニンジャ』では、福田雄一監督と3度目のタッグが叶い、笑いと斬新なアクションが炸裂する世界でまた新たな表情を見せている。国内外で高い評価を受けた作品を生み出し続けた20代について、「自分が本気で向き合ったことは、確実に経験値となって積み上げていけるものなんだと実感することができた」と全力の姿勢がもたらした幸福を噛み締めた山崎。30代は、海外にも視野を広げながら「ハングリー精神を忘れずに、貪欲にチャレンジしていきたい」と力強く語る。山崎が本作における新境地や、福田監督との出会いによって変化したこと、未来への展望までを明かした。 【写真】クールな表情から笑顔まで! 山崎賢人のキラーショットがスゴすぎる! ◆浜辺美波と本格的に共演するのは初!「福田組の洗礼を受ける美波ちゃんを『頑張れ』と応援していました」  原作は、現代社会に潜む新たな忍者像を描いた同名漫画。忍者組織「NIN」の末端であり、重大な“忍務(にんむ)”を任されることとなる雲隠九郎(山崎)と、忍者たちの戦いに巻き込まれていく女子高生・野口彩花の運命を描く。山崎にとっては、『斉木楠雄のΨ難』(2017)、『ヲタクに恋は難しい』(2020)に続いて、3度目の福田組となる。  山崎は、友人であり、本作に「NIN」から脱獄した忍者の猿田役として出演している岡山天音から勧められ、もともと原作を読んでいたという。大好きな原作で福田監督との再会が叶ったというわけだ。山崎は「日本人としてはやっぱり忍者というものに惹かれる部分があるし、実は現代にも忍者が潜んでいるという設定からワクワクが止まらなくて。九郎が近所の人たちと繰り広げる緩い笑いがありながら、かっこよくてリアルな戦いもある。『アンダーニンジャ』にしかない雰囲気がものすごく好きです」と原作愛を吐露。  実写版のオファーが舞い込み、原作と福田監督との相性の良さもひしひしと感じたと話す。「原作を読んでいると笑いの要素も多いので、福田監督が映画化したらすごくいい化学反応が起きるんじゃないかと思いました。僕自身、近年はアクションをたくさんやらせていただいているので、自分の経験値も活かしつつ、また福田監督とご一緒できることがとてもうれしかったです」と喜びをにじませ、「福田監督は、今回もかなり気合が入っていましたね。九郎の髪型などビジュアルを含め、いろいろと細かく話し合っていきました。九郎の何を考えているかわからないようなところや、掴めないようなところをうまく表現できたらいいなと思っていました」と役作りを振り返る。  忍者の戦いに巻き込まれていく女子高生の野口役を演じたのは、浜辺美波。山崎と浜辺は、本格的に共演するのは今回が初。福田組に初参加となった浜辺は、劇中で大胆なコメディー演技に挑戦している。  「美波ちゃんは明るくてチャーミングで、現場にいるだけでその場が華やかになるような方。この映画には変な人がいっぱい出てきますが(笑)、ヒロインとしての華がある」と浜辺の印象を口にした山崎は、「周りに特殊な忍者たちがいるのに、野口は何が起きているのかまったく気づいていない。その対比が、すごく面白いものになっています。美波ちゃんがすばらしいバランスを見せてくれたからこそ、それが成立している」と浜辺の演技に惚れ惚れ。「野口が気絶するシーンなど、福田監督から演出を受けている美波ちゃんを見ていると『福田組の洗礼を受けているな』と感じて。『頑張れ』と思いながら、僕も頑張ろうと思いました」と刺激も受けた様子で、「美波ちゃんは『大切なものを失っているような感覚』だとも話していました。みんなで『新しいものを得たんだよ、新しい扉が開いたんだよ』と声をかけていました」と笑い、「僕自身、やっぱりいろいろなことをやれた方が楽しいと思うんです」と振り幅のある役を行き来することも、役者業の醍醐味のようだ。 ◆福田雄一監督が教えてくれた、“すべてを楽しむこと”  昨年9月に誕生日を迎え、山崎は30代に足を踏み入れた。原泰久の同名漫画を実写化した『キングダム』シリーズでは、雑草魂を胸に大将軍になるという夢に突き進む主人公・信として、剣を手に大暴れするアクションを披露。野田サトルによる同名漫画を実写化した『ゴールデンカムイ』シリーズでは、死戦を潜り抜けてきた杉元役として、体重を増量して相手との素手での接近戦にも挑むなどさまざまなアクションをスクリーンに刻んできた。  「20代はいろいろなアクションにチャレンジをさせていただき、アクション面でも得られたものがたくさんあった」とアクション力は、20代で手にした武器のひとつだと明かす。「キャラクターの性格や過ごしてきた人生によって、アクションも変わってくる。こういう性格は、こういった動きに出るはずだと考えていくことも好きですし、実際にアクションとしてそのキャラクターを表現している時間もすごく面白い」と充実感を握り締め、『アンダーニンジャ』の九郎役では、忍者のアクションとしてさらに新境地を開いたという。「足技も使っていますし、手や足の指も柔らかく使えるようにめちゃくちゃ練習しました。アクロバティックな動きもあり、日本刀を持って戦ったりと、一つ一つがとても新鮮でした。漫画のシーンを忠実に再現していくことも楽しかったですし、クライマックスの戦いはお客さんにも緊張感や衝撃を与えられるものにしたいと思いながら臨んでいました」。  インタビューやイベントでは、山崎の口からはどんな質問にもまっすぐな答えが返ってくる。周囲のキャストやスタッフからは、山崎のピュアで努力家な姿に背中を押されるという話もよく耳にするが、どんな時も熱く、体当たりでぶつかっていくのが“山崎流”と言えそうだ。20代について「自分が本気で向き合ったことは、確実に経験値となって積み上げていけるものなんだと実感することができた」と表現した山崎だが、20代前半で初めて作品を共にした福田監督との出会いも「とても大きなものだった」と語る。  「福田監督の現場には、常に笑いがあるんです。スタッフもキャストもみんなが楽しくやっていて、映画ができた時にはそれを観てお客さんも笑ってくれる。みんなが幸せになれるって、すごいことだなと思う」としみじみ。「福田監督の現場にいると、真剣に映画づくりに向き合いつつ、“本気で遊ぶ”という一面も大事だなと気付かされます。楽しむという気持ちはエネルギーになるし、それはきっと作品にも映し出されるもの。楽しんで作品に臨むことで、お客さんにも楽しんでもらえる作品ができるという喜びを福田監督に教えてもらったような気がしています。そういった気持ちは、他の現場でも大事にしたいと思っていることでもあって。そういう意味でも、20代前半から定期的に福田監督の作品に出させてもらえて、とてもうれしいです」と清々しい表情を浮かべる。 ◆「30代はもっといろいろなことを知りたい」 海外挑戦も視野  2024年はニューヨーク・アジアン映画祭で、すばらしい演技を披露した俳優に与えられる「The Best from the East Award」を日本人として初受賞した。映画祭では『キングダム 大将軍の帰還』が現地で初上映されたが、会場の盛り上がりを回想した山崎は「日本には、漫画という誇らしい文化があって。それを映像化して世界中の人に楽しんでもらえるなんて、本当にステキなことだなと思いました。また映画を楽しむことや、キャラクターの伝える熱い生き様には、国境がないんだなと思いました」とにっこり。「日本の作品も、海外の方々に楽しんでもらうことができる。これからもたくさんの人に楽しんでもらえる作品に取り組んでいけたらいいなと思いますし、海外の作品に挑戦できたとしたらまた面白くなるのかなと思っています。英語ももっと勉強したいと思っています」と海外での活躍も視野に入れるなど、山崎の見つめる未来は限りない可能性に満ちている。  大作の主演を担うことにはプレッシャーがつきまとうものだと想像するが、「作品づくりが好きなので、新しい作品に入って、また新しい景色が見えて、新しい仲間に出会えることもとても楽しいです」と微笑んだ山崎。  「僕にとって一番のモチベーションになるのは、作品づくりをしている時に一緒に走っている人がいるということ。いつも、その人たちのためにも頑張りたいと思っています」と仲間と心を一つにする瞬間が最高にみなぎるのだとか。「これまでやってきたことは一つも無駄ではない」と力を込めた山崎は、「僕はもともと負けず嫌いなところがあって。これからも、ハングリー精神を忘れずにいたいです。貪欲にチャレンジしていこうと、自分に言い聞かせるようにしながら進んでいきたい。30代は、もっといろいろなことを知りたいなと思う部分もあります。勉強する時間をしっかりと持って、新しいものをインプットして人間力も高めていきたいです」と宣言していた。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)  映画『アンダーニンジャ』は、1月24日より全国公開。 ※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

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