中央アジアの「法の支配」定着を支援…政府が5か国と来年法相会合、対中露念頭

 政府は、中央アジア5か国との法相会合を来年、初開催する方向で最終調整に入った。  中国やロシアが影響力を強める地域で、「法の支配」や「基本的人権の尊重」などの共通の価値観の定着を目指す。7月末には太平洋島嶼(とうしょ)国で初めてフィジーと司法分野での協力覚書を締結しており、今後も「司法外交」に力を入れていく方針だ。  中央アジア5か国は、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン。鈴木法相は4月末〜5月にウズベキスタンとキルギスを訪問し、5か国の法相との新たな対話の枠組みをつくることで一致していた。来年春以降の都合の良い時期に法相会合を実施し、会合の定例化を確認するほか、法制度整備支援や司法人材の育成などの協力策について議論するとみられる。  中央アジアは、中露の間に位置する地政学上の要衝にあたり、天然資源が豊富だ。歴史的に中露の影響を色濃く受けており、強大な権限を握った指導者が長期間、独裁的統治を続けているケースが多い。  政府は、5か国との司法協力を通じて、「法の支配」の浸透を進めて地域の安定化を図り、関係強化も目指す考えだ。米国もバイデン前大統領が2023年9月に初めて5か国との首脳会議を開くなど関係強化に乗り出しており、岸田前首相も24年8月の首脳会談開催を調整した経緯がある。  一方、法務省は7月31日、フィジー法務省との間で協力覚書に署名した。幹部同士の交流を進めるほか、フィジー側の裁判の迅速化や司法のデジタル化などで協力していくとみられる。  島嶼国を巡っては近年、中国がインフラ(社会基盤)整備に巨額の資金を投じ、警察協力を進めるなど、影響力を強めている。島嶼国は資源や食料を供給する豪州から日本や米国へのシーレーン(海上交通路)にある要衝で、政府は司法協力を通じて島嶼国の政情の安定化や関係強化につなげたい考えだ。政府は23年7月、東南アジア諸国連合(ASEAN)とも特別法相会合を開いており、新興・途上国「グローバル・サウス」との司法協力を今後も強化していく。

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