ホンダ「新型“Z”」!? 旧車デザイン&MT採用の「“水中メガネ”」! 44年ぶり復活の「“軽”クーペ」…じゃなくなった「Re:Z」どんなモデル?

現代に蘇った、伝説の軽スペシャリティカー  コンセプトカーは、自動車メーカーが未来の技術やデザインの方向性を示すために製作されますが、中には、メーカーのアクセサリー部門が、純粋なクルマへの愛情と遊び心で生み出す特別な一台も存在します。 44年ぶり復活なZどんなクルマ?  2018年にホンダアクセスが公開した「Re:Z」は、まさにそんな夢のようなコンセプトカーでした。 【画像】超カッコイイ!ホンダ「新型“Z”!?」を画像で見る(20枚)  このクルマの正体は、ハイブリッドスポーツカー「CR-Z」をベースに1970年代に一世を風靡した軽スペシャリティカー、初代ホンダ「Z」のデザインを蘇らせたカスタム・コンセプトカーです。  その開発は、一人のデザイナーの「現代の信頼できるクルマで、理想のZを作れないだろうか?」という個人的な夢からスタートしました。  このプロジェクトは、ホンダ独自のボトムアップ開発文化「ワイガヤ」や、社員の自発的な創作活動を支援する「N-Lab.(エヌラボ)」といった、個人の情熱を尊重する企業風土があったからこそ実現した奇跡といえるでしょう。  古いものを大切にし、自分好みに作り変えて長く楽しむ「リノベーション」という思想が、このクルマの根幹にあります。  車名に込められた「リバイバル(Revival)」「リユース(Reuse)」「リラックス(Relax)」そして「リノベーション(Renovation)」という4つの”Re”が、その哲学を象徴しています。この思想は、既存のモノを最大限に活かす日本の伝統的な美意識「もったいない」にも通じています。  エクステリアの最大の特徴は、リアにあります。ベースとなったCR-Zの流麗なハッチゲートは大胆に作り変えられ、FRP製の新規パネルによって、初代Zの象徴であった「水中メガネ」と呼ばれる極太フレームのリアウィンドウが見事に再現されています。  フロントマスクも、初代Zを彷彿とさせる低いノーズへと変更。ヘッドライトには軽自動車「N-ONE」の丸目2灯が、テールランプには「モビリオ・スパイク」のものが流用されています。  さらにリアの「Z」エンブレムは「N-BOX」の”N”を90度回転させたもの、サイドミラーには当時のカスタムの定番であったヴィタローニ製が装着される、といった開発者のホンダ愛と知識の深さがうかがえる、遊び心に満ちたディテールも魅力です。  インテリアも、CR-Zの面影を消し去るほどの徹底した作り込みがなされています。ダッシュボードはブラックレザーとレッドステッチでクラシカルに一新。メーターは未来的なデジタルから、米・オートメーター社製のアナログメーターへと変更されています。  シートには、ホンダの名車、バイクの「モンキー」50周年記念モデルと同じチェック柄の生地が採用されるなど、ホンダファンならずとも唸る、愛情あふれるディテールが満載です。  パワートレインは、CR-Zの1.5L i-VTECエンジンとIMAハイブリッドシステムをそのまま受け継いでいます。そして、このクルマのキャラクターを決定づけているのが、ベース車に設定されていた6速MTの存在です。自分でギアを操る楽しさが、このクルマのコンセプトをより際立たせています。  この「リノベーション」という発想の動機は、新旧モデルの圧倒的な性能差にあります。Re:ZのベースとなったCR-Zが約1150kgの車重で120馬力以上を発揮するのに対し、インスピレーションの源である初代Zは約530kgの車体で36馬力。  車重は2倍以上、パワーは3倍以上という、半世紀近い技術の進化があります。愛すべきクラシックスタイルを、現代の動力性能と信頼性で楽しみたい、という夢を形にしたのが、このRe:Zだったのです。  では、これほどまでに多くのファンから市販化が熱望されたRe:Zは、なぜ幻に終わったのでしょうか。  最大の障壁は、ベース車両であるCR-Zが、Re:Zが発表されるより前、2016年にすでに生産を終了していたことにあります。現行車ではないモデルのカスタムキットを発売することは、ビジネスとして極めて困難だったようです。  また、少量生産のFRP製ボディパネルは非常に高コストです。もし市販された場合、中古のCR-Zの車両価格に加えて、高額なキット費用が必要となり、採算を取ることが難しかったと考えられます。  Re:Zが後の市販車に直接的なデザインの影響を与えることはありませんでした。しかし、その「歴史への敬意」と「人間中心の温かみのあるデザイン」という哲学は、後に登場したEV「Honda e」にも通じるものがあります。  Re:Zは、CASEという無機質な言葉が自動車業界の未来を語り始めた時代に、クルマを所有する喜びや、運転そのものの楽しさといった、人間的な価値を改めて問い直した一台でした。市販はされなくとも、この一台が残した物語は、今も色褪せることなく輝き続けています。

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